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悪役令嬢は可愛いものがお好き  作者: 梓弓
第一章
16/46

13

「はい。それでは準備ができましたので、始めましょう。」


即席粘土講座で作るのは先ほどカイト様に話した通り、アイスクリーム型のマグネットです。


用意した材料は、粘土、絵の具、軽量スプーン、楊枝、歯ブラシなどです。


「カイト様。まずは私の真似をしてみて下さいね。」


「ああ、分かった。」


カイト様は頷き、私の手元を見ます。


「粘土は、この軽量スプーンに収まるくらいの量を取ります。次に好きな色の絵の具を少量混ぜます。今回は苺味風アイスを作るので赤の絵の具にします。」


「粘土を取って絵の具を混ぜる。……出来たよ。」


「はい。良いですね。今度はその粘土をちぎって纏めて、ちぎって纏めてを何回か繰り返します。」


「それは何でだ?」


「粘土を少し乾燥させて、アイスクリームの質感を表現する為です。」


「成る程。」


カイト様は納得し、私の言ったとおりに粘土を捏ねます。


「ある程度乾燥してきたらこの粘土を丸めてから粘土板に置き、軽量スプーンで押し潰します。」


「軽量スプーンはこの為に使うのか。」


「はい。ちなみに、あまり強く潰すと質感が無くなってしまうので注意です。軽量スプーンを外したら、はみ出した部分の粘土は楊枝でつついて、ひだを作ります。」


「分かった。」


私は丸めた粘土をゆっくり軽量スプーンで押し潰し、楊枝でひだを作りました。


カイト様も同じように作ります。


「最後に、この歯ブラシでアイスクリームを全体的にトントン叩いて更に質感をつけます。」


「歯ブラシ……。何だか思いがけないものを使うんだな。」


「ふふ、そうですよね。」


カイト様はちょっと驚いた様子でしたが、私の言う通りに歯ブラシでアイスクリームをトントンします。


「質感をつけたらあとは乾燥させて、しっかり乾いたら後ろに磁石を接着剤で付ければ完成です。……あの、カイト様。作ってみてどうでしたか?」


結構さくさく進めてきてしまったので、少し不安になりカイト様に聞きました。


「ああ。確かに簡単だし、楽しかったよ。まあ、先生が教えるのが上手いからだけど。」


「せ、先生なんて。言い過ぎですよ。」


「はは。僕には充分先生だよ。……また今度来た時には違うものを教えてくれるかな?」


謙遜してる私に、カイト様は意外な答えを返してきました。


「えっ、違うものですか?良いですけれど……。」


「じゃあ決まりだな!次も楽しみにしてるよ。」


「……はい。私も楽しみにしてますね。」


カイト様は最初の困惑した表情から笑顔に変わっているので、今回の粘土講座は成功した様です。


ほっとしていると、


「あ、そろそろ帰る時間になってしまったみたいだ。残念だけど今日はこれで帰るよ。」


カイト様が時計を見ながら言いました。


「あ、もうそんな時間ですか?意外に時間が経ってしまったんですね。」


「楽しい時間は早く過ぎるからな。今日は楽しかった。」


「そうですね。私もとても楽しかったです。」


私もカイト様とここまで楽しく過ごせるとは思ってもみなかったので、笑顔で答えました。


その後はカイト様を玄関までお送りし、


「今日は長々お邪魔しました。」


「こちらこそ、あまりおもてなし出来なくてすみませんでした。」


「いやいやそんな事はないよ。シオンさんの趣味も教えてもらったしそれを一緒に楽しめて良かった。」


「私も、カイト様と楽しめて良かったです。」


と、カイト様と今日の出来事を振り返り、


「……じゃあ、名残惜しいけどまた今度。」


「はい。お気をつけて。」


そして私に別れの挨拶をして、カイト様は帰って行きました。


こうして、カイト様の初訪問は無事終わったのでした。


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