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カイト様に作ったものをお見せする為、カイト様を私の部屋にお連れする事になった私。
カイト様と雑談しながら歩いていると、程なく私の自室に着きました。
「カイト様、ここが私の自室です。どうぞ、お入りになって下さい。」
「ああ。お邪魔するよ。」
私が自室の中へと促し、カイト様は頷いて少し遠慮がちに入って来ました。
「随分と華やかな部屋だな。こういうインテリアが好きなのか?」
「はい。こう見えて可愛いもの好きですから。……似合いませんか?」
「そんな事はないよ。それに、とても良いお部屋だと思う。」
「お褒め頂いて嬉しいです。さ、こちらに座って少しお待ち下さいね。」
「うん。」
カイト様を応接間にあるソファーに座るように促し、私は奥の作業場兼寝室に入りました。
チェストに入っているフェイクスイーツをいくつか取り出し、応接間に戻ります。
「お待たせしました。これが私の作ったお菓子の形をした小物です。」
カイト様の目の前のテーブルに、持ってきたフェイクスイーツ型の小物を並べました。
ちなみに持ってきたのは、『カップケーキ型メモスタンド』、『アイスクリーム型のマグネット』です。
「へえ。これが粘土で作ってあるのか。すごいな。」
目の前に並べられたフェイクスイーツの事を繁々と眺めながら、感心したようにカイト様は言いました。
「ありがとうございます。でも、これを作るのはそこまで難しくないのですよ?」
「え、そうなのか?とても難しそうに見えるけど。」
「初めて見る方は、やっぱりそう見えますかね。材料があれば、比較的簡単に作れますよ?」
「うーん……。」
カイト様は私の言葉にちょっと納得していないみたいですね。それなら……
「カイト様、一つ提案があるのですが。」
「何?」
「一緒にこれを作ってみませんか?」
と、アイスクリームの形をしたマグネットを指差しました。
「これ、僕に出来るのか?」
「はい。出来ますよ。私が教えますから、作ってみましょう?」
私の提案に少し迷った後、
「……分かった。やってみる。何事も経験が大事だからな。」
と、カイト様は答えました。
「ふふ。やる気になって貰えて良かったです。……それではまた少しお待ち下さい。準備しますね。」
「うん、宜しくお願いするよ。」
という事で、カイト様への即席フェイクスイーツ講座が開かれる事になったのです。




