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悪役令嬢は可愛いものがお好き  作者: 梓弓
第一章
13/46

10.5

僕は、カイト・イール。

この国の宰相でもあるイール侯爵の息子だ。


ちなみに僕はこの父には逆らえない。

父についてこいと言われれば、何処へでも連れて行かれる。


今回も、渋々ついて行くことになった。


それは父の部下であるローゼット伯爵の子の一人が10歳の誕生日を迎えるのでお祝いに行く、という事だった。

僕と同い年だが、まだ面識はないその子のお祝いになぜ行くのか分からなかった。


会場に着くと、ローゼット伯爵が出迎えた。


僕を見ると一瞬目を見張ったが、すぐに元の表情に戻った。


ローゼット伯爵に案内されて、今日の主役であるローゼット伯爵の子の所へ着いた。


ローゼット伯爵に呼ばれて振り向いたその子は、ローゼット伯爵とは正反対の黒髪、黒瞳の容姿の少女だった。



無理やり連れて来られて少しイライラしていた僕は、ぶっきらぼうに自己紹介した。


それをたしなめた父に、そつなく返事をした少女・シオンに、父はとんでもないことを言い出した。


シオンの婚約者に、僕を進めてきたのだ。


急にそんなことを言われてもと、僕は動揺した。


でもそれは前々から話があったらしく、彼女も知っていたらしい。


僕が黙ってしまうと、父がシオンと二人で話してみなさいと言ってきた。


少しイライラしながら、シオンの案内で屋敷のテラスに着く。


シオンは遠慮がちに話しかけてきたが、無理やり連れて来られたのと、あっさり父に気に入られたのとでイライラした僕は、婚約をしたくなくなるようシオンに暴言に近い言葉を吐いた。


シオンは最初は穏やかに言葉を返してきたが、僕が言い過ぎたと思った暴言に、とうとう怒りを露にしたのだ。……冷笑で。


その後はさすがに頭も冷え、シオンがまた穏やかに僕に諭してきたので僕もだんだん穏やかな気持ちになり、シオンに謝罪した。


シオンはとても驚いていたが、項垂れたぼくの片手を取り握手をして仲直りをしようと言ってきた。

何でこんなに優しいのか。


そして僕は、思いきってシオンに言った。僕の婚約者になって欲しいと。

間違えそうな時は正して欲しいから、と。

不思議と僕と同い年とは思えない彼女が側に居てくれれば、僕は正しい道を行けると思うから。


あと、少し驚いたのはシオンが自然な笑顔を見せたとき。こんな風に笑えるんだと思った。


あれは、家族と僕以外にはなるべく見せないで欲しい。


誕生日パーティーに最初は嫌々行ったけれど、シオンと出会えて良かった。彼女に恥じないような婚約者になるためにも精進しないと。


そう帰りの馬車の中で考えていたのだった。


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