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悪役令嬢は可愛いものがお好き  作者: 梓弓
第一章
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9

私が始めたフェイクスイーツ作りは、家族もとても興味を持ったみたいです。


特に妹は、私が作っているのを良く間近で見ています。

ただ6歳の妹には作るのがなかなか難しいので、スイーツのパーツをたくさん作り、土台にくっつけるだけで完成するようにしました。(良くある、デコレーションキットみたいなものでしょうか?)


妹はそれだけでも楽しいようで、機嫌良くデコレーションに勤しんでいます。

何だかちょっと、フェイクスイーツ作り教室の先生になった気分です。


そんな楽しいハンドメイドライフを過ごしていましたが、とうとうあの日が来てしまいました。


私の10歳の誕生日パーティーです……。

一応、私があまり派手にしてほしく無いと言っていたのでそこまで大きいものではないのですが、

ヒロインさんの攻略キャラクターであるカイト様と私の初顔合わせの場です。


そして、恐らく婚約する事になるのだと思います……。


何となく気分は晴れないですが、こればっかりはしょうがないと割りきって、カイト様との関係を悪いものにしないように頑張りたいと思います。


そう意気込んでいると、


「シオン!」


後ろから、お父様から声を掛けられました。


「……!」


振り返ると、そこには見慣れぬお二方を連れたお父様がいました。


そのお二方はもちろん、この国の宰相様とそのご子息のカイト様でした。


「シオン、こちらは宰相のイール殿。そして、ご子息のカイト殿だよ。」


「初めまして、シオンさん。私はこの国の宰相のイールだ。君のお父上の上司でもあるよ。」


「初めまして。ジーク・ローゼットの次女のシオンと申します。いつも、父がお世話になっております。」


にこにこしながら自己紹介した宰相に、私も腹を決めてご挨拶します。


「……カイト・イールと申します。イール侯爵の息子です。」


「初めまして。シオンと申します。わざわざお越し頂いてありがとうございます。」


宰相様とは真逆の無愛想な表情で、カイト様は挨拶してきました。

それにもめげず、私もご挨拶します。


「こんな無愛想な息子でごめんね、シオンさん。」


「いえ、そんな事は……。見ず知らずの私のお祝いの会にわざわざお越し頂いたのですから。」


「それはありがたい。……それにしてもシオンさんは、年相応な感じがしないね。しっかりしてる。」


「そ、そうでしょうか?」


鋭いですね宰相様。精神年齢はそれなりにいってますからね……。


「うん。やっぱり間違いない。」


「え?」


宰相様は顎に手を当ててうんうんと頷いています。

そして、口を開きました。


「シオンさんはまだ婚約者は居ないよね?うちの息子どうかな?同い年だし。」


「……!」


やっぱり来てしまいました。カイト様との婚約のお話。


「と、父様。何を急におっしゃっているのです!」


カイト様が、それまでの無表情から驚きの表情へと変わりました。


「あまり大きな声を出すのではないよ、カイト。それにこの婚約話は、前からジークとしていたのだから。」


「そ、そんな。」


訳がわからない様子のカイト様。


(カイト様は婚約話をお聞きにはならなかったのでしょうか?)


「……イール殿?まさかまだご子息には婚約の話しておられぬのか?」


「ん?まあね。していたらたぶんついて来ないだろうから。私の部下の、君と同い年の子の10歳のお祝いだからついて来なさいってだけ話した。」


「……イール殿。私の可愛い娘には話しましたよ。あなたから持ち込んだ婚約話でしょうに。」


私が疑問に思った事を父が宰相様に聞き、その答えに不機嫌顔で言いました。


「まあまあ、ジーク。怒らないでくれ。というか、シオンさんは話を聞いていたんだね。」


「はい。一応は聞いていました。カイト様との婚約話がある、と。」


「………。」


宰相様の言葉に、肯定を示します。ちらっと宰相様の横を見ると、押し黙ってしまったカイト様が見えました。


「カイト。まずはシオンさんと二人で話してみなさい。」


「………。」


そんなカイト様に向かって、宰相様が声を掛けました。


「カイト?」


「……はい。わかりました。」


宰相様が無言のカイト様にもう一度強めに声を掛けると、渋々といった表情でカイト様は答えました。


「と、いう事なんだが、どうかなジーク?」


「はぁ。肯定しかないでしょう。」


「はは。そうだな。」


宰相様からの言葉に、父はため息をつきながら答えました。


こうして、私はカイト様と二人でお話する事になったのです……。


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