表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イノサンスフェンリル  作者: 泉 燈歌
第0章 生誕迷走編
18/35

洗礼

「おう、遅くなっ――……なにがあったし」

「死屍累々」

「どうせまたくだらないことでしょ」


 おや。スヤマ夫婦のご到着だ。


 あ、今回は久々にファーストフェリちゃんがお送り致しますぜ。

 サードは色々な体液で濡れた身体を備え付けのシャワー室に連れて行かれて洗われた後、真っ白になって疲れ果てていたので交代した。ちなみに俺はその時の記憶を見せてもらえていないので細かいことは知らん。いや、別にいいけどさ。自分に欲情なんてしないし。

 ……ホントだぜ?


「スーサン、ヤーサン、マーサン。おかえりなさいませ?」

「よしよし、ちゃんと待ってたな。偉いぞ」


 聖女との出会いはなかったことにされたようだ。

 存在すらも認めたくないらしい。

 どれだけ仲が悪いんだか。


「ここでなにがあったのかしら?」

「なにもなかったよ」

「……そうは見えないけど」

()()()()()()()()

「そ、そう。わかったわ」

「うんうん」


 それでいいのだ。

 恥辱の光景は頭部への物理的な衝撃で消えることが判明したからな。

 女子供にも容赦はしない。それがフェリちゃん流『人類平等論』だ。

 その原案がサードから出されたってのが一番の問題なんだがな。まぁ、それはまだ気にせずともいいだろう。


「よし。フェリ、洗礼を受けに行くぞ」

「洗礼?」

「ステータス神からの祝福を受けるか情報開示系のスキルがないとステータスってのは見えないんだよ。他にも色々な制約があるからこの世界に暮らす者は生まれてから必ず一度は教会に行くもんなんだ」

「あの腐れ聖女とは別物?」

「神からして違う。ステータス神は中立。あっちは自称善性だ」

「へぇー」


 ヤーサンとマーサンは行動不能状態の人間たちを引きずってどこかへ運んでいく。病室とか仮眠室でもあるのか?

 市場で買い込んだ物品を整理するみたいだからこのふたりとはまたもや別行動だ。

 俺はスーサンに連れられて部屋の隅にあるポータル、魔方陣の上に乗る。


「転移、教会」


 スーサンが手にした赤茶色の石と魔方陣から光が溢れ、気が付くともう教会の中にいた。なんですぐに教会だと分かるのかと言われたらステンドグラスや女神像があるなら教会以外の何物でもないだろうと答えるぞ。

 てかあの石ってテレポストーン……?


「おや、スヤマさんではありませんか。本日はどのようなご用件でしょう」


 女神像の隣にある小さな扉から司祭様が出てきた。もしかしたら司祭じゃないかもしれんが、頭の聖帽に『司祭』と御札が張ってあるのでこの人はおそらく司祭様だろう。そうじゃなかったら詐欺だ。

 っていうかなんで御札?


「こう見えて私、キョンシーですので」

「きょっ!?」


 なんで俺の訊きたいことを先回りして答えられるんだよ。視線か? そんなに俺ジロジロ見てたか?

 あとキョンシーが司祭ってどうなのさ。


「神様がいいって言えばいいんだよ。そういう世界だ。慣れろ」

「えぇー……」

「いきなりで悪いが洗礼をさせてくれ」

「はい、構いませんよ。……許可が下りました。早速始めても?」

「ああ。フェリ、動くな」

「はーい」


 俺を無視して進めるなよな。意義は挟めそうもないし、そもそも異論もないからいいけどさ。

 許可が下りる時に間があったのは交信でもしていたのかね?


「おお神よ神々よ、この者に世界の祝福があらんことを!」


 ――ぽーんっ。


 司祭様の言葉とほぼ同時に俺の頭に響いてきた音。飛行機の機内アナウンスサインみたいな音だった。


 問題は、その後に続く膨大な情報の奔流。


[ワールドシステム……接続コネクト]

[ワールドオンライン……確認チェック]

[――世界はアナタを認証しました?]

[ようこそ世界。ようこそアナタ?]

[……システムエラー? アナタは存在しません?]

[アナタは再構築します? ……再構築中です]

[干渉の拒絶を確認……システムマスターコール――不実行]

[世界は歓迎しました? ……了承しました]

[ワールドエラーを証明されました……実在しません?]

[アナタを再認証しています……項目”種族”にエラーが発生しました]

[神域……フェンリル種を確認しました]

[表示を変更しています……変更に成功しました]

[不定義術理が確認されました……適応に成功しました]

[変性しています……完了しました]

[破理錬金術が登録されました]

[世界はアナタを祝福しました?]

[ステータスチェック……マニュアルサポートの発行中です]

[不定義を確認しました……エラーが発生しました]

[存在証明を獲得されました? ――その項目は***です]

[現状維持を優先されます……マスター権限の譲渡は未確認です]

[ワールドメッセージは修正されます]

[ワールドシステムエラー……その情報は不完全です]

[領域改竄が確認されました……システムそれは反逆です]

[システムは正常です]

[システムのアップデートが確認されました]

[システムは動作を緊急停止しました]

[メッセージはありません]

[システムは再起動を果たしました]

[システムはシステムはシステムはシステムは――]


[――よろしく世界。よろしくアナタ]


[世界はアナタを排除します?]

[メッセージとアナウンスに不履行を確認]

[システムは休止します……失敗しました]

[領域干渉を確認しました……勢力……善神が確認されました]

[システムエラー……機動防御体勢へ移行します]

[邪神へのシステムメッセージを送信しました]

[コード606を発令します……戦闘状態は継続されています]

[()()()アナタを歓迎しました]

[システムディフェンスクロスファイア……エンゲージ]

[世界は世界は世界は世界は世界は世界は世界は――]


[――メッセージを終了します]




「……うん?」

「どうかしたかフェリ」

「うん、いや。なんと言うか……なんでもないよ」


 謎だ。

 どこからどこまでもが、わけわからん。

 どういうことだってばよ。

 ……答えられる奴なんか、どこにもいないだろうが。


「そうか? うまくいったのなら見せてくれ」

「……わかった。【ステータスオープン】」



==========


名前:フェリ=シュマイザー=フェルディアナ


性別:♀


種族:(フェンリル)・銀狼・白狼


年齢:2


状態:(表意意識:ファースト)・(従魔ディメンションスライム”スーラ”同化中)


属性:(神)・炎・氷


称号:神殺しの血統・地球産の知恵袋


固有技能:(月光覚醒)・(神力操作)


独自技能:真性言語呪文トゥルーワード欧式魔術エウロスペル破理錬金術オリジンアルケミスト


魔法技能:炎魔法Ⅷ・氷魔法Ⅵ・空間魔法Ⅴ・治癒魔法Ⅳ・風魔法Ⅳ・土魔法Ⅲ


特殊技能:高度演算Ⅵ・思考加速Ⅵ・情報並列処理Ⅴ・空間把握Ⅳ・全属性適正Ⅳ


特効技能:対神Ⅳ・対竜Ⅱ


上位技能:自己解呪Ⅷ・分析Ⅳ・炎耐性Ⅲ


下位技能:直感Ⅴ・闘気術Ⅴ・威圧Ⅳ・身体強化Ⅳ・毒耐性Ⅳ・魔力操作Ⅲ・氷耐性Ⅲ・隠密Ⅲ・気配察知Ⅱ・従魔契約Ⅱ・剣術Ⅱ・拳術Ⅱ・遠見Ⅰ


==========



 ……うーむ。

 これはまたなんとも。

 文字が一部半透明になっているんだが、これはなんだろうか。カッコ内のことだが。月光覚醒って別にいままで月を見ても特に変化がなかったしどんな条件があるのやら。

 あとミドルネームとかあるの知らなかったんだけど。なにこれ。継承記憶のブラックボックス内の情報っぽいな。


 えーっとあとは……トゥルーワードは魔法扱いになったか。いちいち分類するのも面倒だし別にいいけどさ。

 エウロスペルは即興で適当に作っただけだったからどうでもいいんだけど……ベル様と連携すればルーン魔術とかも使えそうだ。後で相談してみるか。

 空間把握は、スーラがいるから取得されているんだろう。

 対竜ってワイバーンと殺り合ったからか? どんな効果があるのかよくわからんが。

 解呪は……確かに解くだけなら俺にもできるな。再封印はサードとベル様の管轄だけど。


 結論。

 すげぇチート予備軍だった。

 しかもこれは俺のステータスであってサードとベル様、同化しているスーラの能力も加えると倍以上になるからな。

 サードはいつの間にか魔眼とか邪眼とか増やしているし。

 ベル様は元大賢者だけあって魔法に関しては世界最高峰の実力者で、その上、大罪シリーズの暴食と怠惰も持っているようだし。

 スーラと完全に同化すれば物理無効とかが付いてくるし。


 ……うん。やっぱバケモノじみてるな。


「フェリ。どんなだった?」

「すげぇチートだったの」

「……ちょっと見せてみろ――ぶふッ!!」

「どれどれ……ぶふぉ!!」


 ふたりしてステータスウィンドウを覗き込み、その直後に思いっきり吹き出してむせている。

 だから事前にチートだって言っておいたのに。


 ま、落ち着くまで待ってやるとするか。

 俺なら自己分析すれば能力の詳細も読み取れるだろうし、時間はいくらあっても困らないからな。


こういう設定を考えるのは楽しいから好きなんですけど話として使ったり回収したりするとなると途端に荷が重くなるのです。


ま。それもまた一興ってね。



あと何話かしたら派遣奴隷編が始まる……予定です。たぶん、きっと。


14/12/15 闘気術Ⅴ 追記

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ