第八話 アンバト
一人でいる時にみえる景色
誰かといる時にみえる景色
同じ景色なんてないから
一つ一つの景色を大事にしたいね
☆百合
あれから数日が経ち、午前の授業が終わりかけの時間。今日は朝から羽柴を見かけていない。いろいろ考えて知恵熱でもでたのだろうか。そんなことを思っていると……。
キンコンカンコンと午前の授業が終わるチャイムの音が鳴り響き、昼休憩が始まったと同時にスピーカーから放送が流れる。
「みなさん、こんにちは! 1年1組の羽柴葵です。今日は皆さんにお知らせしたいこととお見せしたいものがあります。お時間がありましたら~是非ご視聴をお願いします! では、教室にあるモニターをご覧下さい」と放送があったかと思うと、教室にあるモニターがつき、騒めき出す教室。
「これからご覧いただくのはアンバトというスポーツの映像です。聞いたことがない方もいらっしゃるかもしれません。似ているモノで言うと、銃を使ってチームで戦うというサバゲというものがあるかと思います。それの銃以外も使ったスポーツバトルがアンバトになります。私が今回説明させていただくのはチーム競技としてのアンバトです。アンバト競技といのは、決められたルール内で6種の異なる武器を使って競うものです。一般的には、剣、双剣、槍、銃、手裏剣、アーチェリーなどの武器を使用します。ルールによっては武器種が定められていることもありますが、基本はこの6種の武器を使ってチーム戦で戦うスポーツです。具体的にどのように戦うかといいますと……口で説明してもわからないと思いますので実際の競技の映像を用意したのでそちらをご覧くだい。ではみなさんモニターに注目してください。ではスタート!」
教室のモニターからアンバトの競技の映像が流れる。
しばらく映像が流れていたが突然映像が切れると同時にスピーカーから羽柴と燿の声が聞こえてくる。
「葵!」
「あ、やばい……」
スピーカーからはガタガタと音がし音が切られる。先生に見つかり止められたのだろう。しばらくし、肩で息をした葵が教室に入ってくる。
「百合君、聞いてくれた? 見てくれた?」と羽柴は息を切らしながら、満面の笑みで話しかける。
「ああ、羽柴。お前がやることはいつも驚くことばかりだ」
先生が「羽柴」と呼んでいる声が近づいてくる。
「じゃ、またあとで~」
羽柴は教室を出ていき、先生たちと追いかけっこを始める。初めて会った時の、いつもの羽柴で少し安心する。今日の天気も雲一つない晴天。風は温かく荒く吹いている。
次の日の朝。
三日連続の雲一つない晴天。風は昨日と違って大人しい。羽柴は寮の入口で空を見上げている。
「おはよう、羽柴」
「百合君、おはよう。今日もいい天気だね~」と羽柴は両手を挙げ大きく背伸びをする。
「ああ、綺麗な青だ」
「ふふ、そうだね~白の筆でなにか描きたくなるような青だね!」
いつもの人に合わせる羽柴だ。
「どうせ、羽柴が描くのは絵ではなくアンバト部、部員募集っていう大きい文字だろ?」
俺は少し小馬鹿にしたように言ってみる。
「お、わかっちゃった~? さすが~百合君~」
羽柴はいつものキラキラした満面の笑みを浮かべ、俺たちはたわいのない会話をしながら学校に向かう。
その日の放課後。
今日の放課後は部活のポスター貼りの手伝いをしてほしいと羽柴に頼まれている。俺たちは掲示板の隙間を見つけてはポスターを貼り付けていく。
ポスターの絵は……
五人が夕方の空を真っ直ぐ見るように前を向いて立っており
風に吹かれ髪や服が靡き
後ろに大きく影が伸びており
下ろした手には6種の武器を軽く握っており
部活募集の文字は近寄らないと見えないくらい小さく書かれている。
「葵、どうだ。気に入ったか」と羽柴の肩に腕をのせる耀。
「耀! お前の絵はいつ見ても魅力的だな~オレの思い通りに描いてくれてありがと~」
羽柴と耀はハイタッチをする。
耀が描いた絵は水彩画で描かれており色が透き通って綺麗な色味を出している。そして一度見たら目を奪われてしまうほどの幻想的なものである。運動部のポスターといえば元気よく爽やかにスポーツをするようなイメージである。羽柴は在り来りだが目立つような感じのポスターでも作るのかと想像していた。いや、羽柴は人とは違うものを作るに違いないと思っていた。ポスターからは羽柴が目指すものやりたいことがそのポスターから垣間見える。そしていつも見せる顔とは違う別人に感じる時の顔が思い浮かぶ。羽柴には明らかに二面性のような表情が存在する。どちらが本来の羽柴かまだわからないがきっと……いつか分かる日が来るだろう。
「燿は相変わらずカラフルだな~」
一人でいる時にみえる景色
誰かといる時にみえる景色
同じ景色なんてないから
一つ一つの景色を大事にしたいね
-------------------------------------------------------------------------------
☆百合
数日後の午前の授業が終わりかけの時間。今日は朝から羽柴を見かけていない。いろいろ考えて知恵熱でもでたのだろうか。そんなことを思っていると……。
キンコンカンコン。
午前の授業が終わるチャイムの音が鳴る。
お昼休憩が始まったと同時にスピーカーから放送が流れる。
「みなさん、こんにちは! 1年1組の羽柴葵です。今日は皆さんにお知らせしたいことと、お見せしたいものがあります。お時間がありましたら~是非ご視聴をお願いします! では、教室にあるモニターをご覧下さい」
教室にあるモニターがつき、騒めく教室。
「これからご覧いただくのはアンバトというスポーツの映像です。聞いたことがない方もいらっしゃるかもしれません。似ているモノで言うと、銃を使ってチームで戦うというサバゲというものがあるかと思います。それの銃以外も使ったスポーツ、バトルがアンバトになります。私が今回説明させていただくのはチーム競技としてのアンバトです。アンバト競技といのは、決められたルール内で5種から多くて6種の異なる武器を使って競うものです。一般的には、剣、双剣、槍、銃、手裏剣、アーチェリーなどの武器を使用します。ルールによっては武器種が定められていることもありますが、基本はこの6種の武器を使ってチーム戦で戦うスポーツです。具体的にどのように戦うかといいますと……口で説明してもわからないと思いますので実際の競技の映像を用意したので、そちらをご覧くだい。ではみなさんモニターに注目してください。ではスタート!」
教室のモニターからアンバトの競技の映像が流れる。
しばらく映像が流れていたが、突然映像が切れると同時にスピーカーから羽柴と燿の声が聞こえてくる。
「葵!」
「あ、やばい……」
スピーカーからはガタガタと音がし、音が切られる。先生に見つかり止められたのだろう。
しばらくし、肩で息をした葵が教室に入ってくる。
「百合君、聞いてくれた? 見てくれた?」
羽柴は息を切らしながら、満面の笑みで話しかける。
「ああ、羽柴。お前がやることはいつも驚くことばかりだ」
先生たちの声が近づいてくる。
「じゃ、またあとで~」
羽柴は教室を出ていき、先生たちと追いかけっこを始める。
初めて会った時の、いつもの羽柴で少し安心する。
今日の天気も雲一つない晴天。風は温かく荒く吹いている。
次の日の朝。
三日連続の雲一つない晴天。
風は昨日と違って大人しい。
羽柴は寮の入口で空を見上げている。
「おはよう、羽柴」
「百合君、おはよう。今日もいい天気だね~」
羽柴は両手を挙げ大きく背伸びをする。
「ああ、綺麗な青だ」
「ふふ、そうだね~白の筆でなにか描きたくなるような青だね!」
いつもの人に合わせる羽柴だ。
「どうせ、羽柴が描くのは絵ではなくアンバト部、部員募集っていう大きい文字だろ?」
俺は少し小馬鹿にしたように言ってみる。
「お、わかっちゃった~? さすが~百合君~」
羽柴はいつものキラキラした満面の笑みを浮かべる。
俺たちはたわいのない会話をしながら学校に向かう。
その日の放課後。
今日の放課後は部活のポスター貼りの手伝いをしてほしいと羽柴に頼まれている。
俺と羽柴は掲示板の隙間を見つけては、ポスターを貼り付けていく。
ポスターの絵は……
五人が夕方の空を真っ直ぐ見るように前を向いて立っており
風に吹かれ髪や服が靡き
後ろに大きく影が伸びており
下ろした手には6種の武器を軽く握っており
部活募集の文字は近寄らないと見えないくらい小さく書かれている。
「葵、どうだ。気に入ったか」
羽柴の肩に腕をのせる耀。
「耀! お前の絵はいつ見ても魅力的だな~オレの思い通りに描いてくれてありがと~」
羽柴と耀はハイタッチをする。
耀が描いた絵は、水彩画で描かれており、色が透き通って綺麗な色味を出している。そして、一度見たら目を奪われてしまうほどの幻想的なものである。運動部のポスターといえば、元気よく爽やかにスポーツをするようなイメージである。羽柴は在り来りだが、目立つような感じのポスターでも作るのかと想像していた。いや、羽柴は人とは違うものを作るに違いないと思っていた。ポスターからは、羽柴が目指すものやりたいことがそのポスターから垣間見える。そして、いつも見せる顔とは違う別人に感じる時の顔が思い浮かぶ。羽柴には明らかに二面性のような表情が存在する。どちらが本来の羽柴かまだわからないが、きっと……いつか分かる日が来るだろう。
「燿は相変わらずカラフルだな~」
一人でいる時にみえる景色
誰かといる時にみえる景色
同じ景色なんてないから
一つ一つの景色を大事にしたいね
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☆百合
数日後の午前の授業が終わりかけの時間。今日は朝から羽柴を見かけていない。いろいろ考えて知恵熱でもでたのだろうか。そんなことを思っていると……。
キンコンカンコン。
午前の授業が終わるチャイムの音が鳴る。
お昼休憩が始まったと同時にスピーカーから放送が流れる。
「みなさん、こんにちは! 1年1組の羽柴葵です。今日は皆さんにお知らせしたいことと、お見せしたいものがあります。お時間がありましたら~是非ご視聴をお願いします! では、教室にあるモニターをご覧下さい」
教室にあるモニターがつき、騒めく教室。
「これからご覧いただくのはアンバトというスポーツの映像です。聞いたことがない方もいらっしゃるかもしれません。似ているモノで言うと、銃を使ってチームで戦うというサバゲというものがあるかと思います。それの銃以外も使ったスポーツ、バトルがアンバトになります。私が今回説明させていただくのはチーム競技としてのアンバトです。アンバト競技といのは、決められたルール内で5種から多くて6種の異なる武器を使って競うものです。一般的には、剣、双剣、槍、銃、手裏剣、アーチェリーなどの武器を使用します。ルールによっては武器種が定められていることもありますが、基本はこの6種の武器を使ってチーム戦で戦うスポーツです。具体的にどのように戦うかといいますと……口で説明してもわからないと思いますので実際の競技の映像を用意したので、そちらをご覧くだい。ではみなさんモニターに注目してください。ではスタート!」
教室のモニターからアンバトの競技の映像が流れる。
しばらく映像が流れていたが、突然映像が切れると同時にスピーカーから羽柴と燿の声が聞こえてくる。
「葵!」
「あ、やばい……」
スピーカーからはガタガタと音がし、音が切られる。先生に見つかり止められたのだろう。
しばらくし、肩で息をした葵が教室に入ってくる。
「百合君、聞いてくれた? 見てくれた?」
羽柴は息を切らしながら、満面の笑みで話しかける。
「ああ、羽柴。お前がやることはいつも驚くことばかりだ」
先生たちの声が近づいてくる。
「じゃ、またあとで~」
羽柴は教室を出ていき、先生たちと追いかけっこを始める。
初めて会った時の、いつもの羽柴で少し安心する。
今日の天気も雲一つない晴天。風は温かく荒く吹いている。
次の日の朝。
三日連続の雲一つない晴天。
風は昨日と違って大人しい。
羽柴は寮の入口で空を見上げている。
「おはよう、羽柴」
「百合君、おはよう。今日もいい天気だね~」
羽柴は両手を挙げ大きく背伸びをする。
「ああ、綺麗な青だ」
「ふふ、そうだね~白の筆でなにか描きたくなるような青だね!」
いつもの人に合わせる羽柴だ。
「どうせ、羽柴が描くのは絵ではなくアンバト部、部員募集っていう大きい文字だろ?」
俺は少し小馬鹿にしたように言ってみる。
「お、わかっちゃった~? さすが~百合君~」
羽柴はいつものキラキラした満面の笑みを浮かべる。
俺たちはたわいのない会話をしながら学校に向かう。
その日の放課後。
今日の放課後は部活のポスター貼りの手伝いをしてほしいと羽柴に頼まれている。
俺と羽柴は掲示板の隙間を見つけては、ポスターを貼り付けていく。
ポスターの絵は……
五人が夕方の空を真っ直ぐ見るように前を向いて立っており
風に吹かれ髪や服が靡き
後ろに大きく影が伸びており
下ろした手には6種の武器を軽く握っており
部活募集の文字は近寄らないと見えないくらい小さく書かれている。
「葵、どうだ。気に入ったか」
羽柴の肩に腕をのせる耀。
「耀! お前の絵はいつ見ても魅力的だな~オレの思い通りに描いてくれてありがと~」
羽柴と耀はハイタッチをする。
耀が描いた絵は、水彩画で描かれており、色が透き通って綺麗な色味を出している。そして、一度見たら目を奪われてしまうほどの幻想的なものである。運動部のポスターといえば、元気よく爽やかにスポーツをするようなイメージである。羽柴は在り来りだが、目立つような感じのポスターでも作るのかと想像していた。いや、羽柴は人とは違うものを作るに違いないと思っていた。ポスターからは、羽柴が目指すものやりたいことがそのポスターから垣間見える。そして、いつも見せる顔とは違う別人に感じる時の顔が思い浮かぶ。羽柴には明らかに二面性のような表情が存在する。どちらが本来の羽柴かまだわからないが、きっと……いつか分かる日が来るだろう。
「燿は相変わらずカラフルだな~」
一人でいる時にみえる景色
誰かといる時にみえる景色
同じ景色なんてないから
一つ一つの景色を大事にしたいね
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☆百合
数日後の午前の授業が終わりかけの時間。今日は朝から羽柴を見かけていない。いろいろ考えて知恵熱でもでたのだろうか。そんなことを思っていると……。
キンコンカンコン。
午前の授業が終わるチャイムの音が鳴る。
お昼休憩が始まったと同時にスピーカーから放送が流れる。
「みなさん、こんにちは! 1年1組の羽柴葵です。今日は皆さんにお知らせしたいことと、お見せしたいものがあります。お時間がありましたら~是非ご視聴をお願いします! では、教室にあるモニターをご覧下さい」
教室にあるモニターがつき、騒めく教室。
「これからご覧いただくのはアンバトというスポーツの映像です。聞いたことがない方もいらっしゃるかもしれません。似ているモノで言うと、銃を使ってチームで戦うというサバゲというものがあるかと思います。それの銃以外も使ったスポーツ、バトルがアンバトになります。私が今回説明させていただくのはチーム競技としてのアンバトです。アンバト競技といのは、決められたルール内で5種から多くて6種の異なる武器を使って競うものです。一般的には、剣、双剣、槍、銃、手裏剣、アーチェリーなどの武器を使用します。ルールによっては武器種が定められていることもありますが、基本はこの6種の武器を使ってチーム戦で戦うスポーツです。具体的にどのように戦うかといいますと……口で説明してもわからないと思いますので実際の競技の映像を用意したので、そちらをご覧くだい。ではみなさんモニターに注目してください。ではスタート!」
教室のモニターからアンバトの競技の映像が流れる。
しばらく映像が流れていたが、突然映像が切れると同時にスピーカーから羽柴と燿の声が聞こえてくる。
「葵!」
「あ、やばい……」
スピーカーからはガタガタと音がし、音が切られる。先生に見つかり止められたのだろう。
しばらくし、肩で息をした葵が教室に入ってくる。
「百合君、聞いてくれた? 見てくれた?」
羽柴は息を切らしながら、満面の笑みで話しかける。
「ああ、羽柴。お前がやることはいつも驚くことばかりだ」
先生たちの声が近づいてくる。
「じゃ、またあとで~」
羽柴は教室を出ていき、先生たちと追いかけっこを始める。
初めて会った時の、いつもの羽柴で少し安心する。
今日の天気も雲一つない晴天。風は温かく荒く吹いている。
次の日の朝。
三日連続の雲一つない晴天。
風は昨日と違って大人しい。
羽柴は寮の入口で空を見上げている。
「おはよう、羽柴」
「百合君、おはよう。今日もいい天気だね~」
羽柴は両手を挙げ大きく背伸びをする。
「ああ、綺麗な青だ」
「ふふ、そうだね~白の筆でなにか描きたくなるような青だね!」
いつもの人に合わせる羽柴だ。
「どうせ、羽柴が描くのは絵ではなくアンバト部、部員募集っていう大きい文字だろ?」
俺は少し小馬鹿にしたように言ってみる。
「お、わかっちゃった~? さすが~百合君~」
羽柴はいつものキラキラした満面の笑みを浮かべる。
俺たちはたわいのない会話をしながら学校に向かう。
その日の放課後。
今日の放課後は部活のポスター貼りの手伝いをしてほしいと羽柴に頼まれている。
俺と羽柴は掲示板の隙間を見つけては、ポスターを貼り付けていく。
ポスターの絵は……
五人が夕方の空を真っ直ぐ見るように前を向いて立っており
風に吹かれ髪や服が靡き
後ろに大きく影が伸びており
下ろした手には6種の武器を軽く握っており
部活募集の文字は近寄らないと見えないくらい小さく書かれている。
「葵、どうだ。気に入ったか」
羽柴の肩に腕をのせる耀。
「耀! お前の絵はいつ見ても魅力的だな~オレの思い通りに描いてくれてありがと~」
羽柴と耀はハイタッチをする。
耀が描いた絵は、水彩画で描かれており、色が透き通って綺麗な色味を出している。そして、一度見たら目を奪われてしまうほどの幻想的なものである。運動部のポスターといえば、元気よく爽やかにスポーツをするようなイメージである。羽柴は在り来りだが、目立つような感じのポスターでも作るのかと想像していた。いや、羽柴は人とは違うものを作るに違いないと思っていた。ポスターからは、羽柴が目指すものやりたいことがそのポスターから垣間見える。そして、いつも見せる顔とは違う別人に感じる時の顔が思い浮かぶ。羽柴には明らかに二面性のような表情が存在する。どちらが本来の羽柴かまだわからないが、きっと……いつか分かる日が来るだろう。
「燿は相変わらずカラフルだな~」 一人でいる時にみえる景色
誰かといる時にみえる景色
同じ景色なんてないから
一つ一つの景色を大事にしたいね
-------------------------------------------------------------------------------
☆百合
数日後の午前の授業が終わりかけの時間。今日は朝から羽柴を見かけていない。いろいろ考えて知恵熱でもでたのだろうか。そんなことを思っていると……。
キンコンカンコン。
午前の授業が終わるチャイムの音が鳴る。
お昼休憩が始まったと同時にスピーカーから放送が流れる。
「みなさん、こんにちは! 1年1組の羽柴葵です。今日は皆さんにお知らせしたいことと、お見せしたいものがあります。お時間がありましたら~是非ご視聴をお願いします! では、教室にあるモニターをご覧下さい」
教室にあるモニターがつき、騒めく教室。
「これからご覧いただくのはアンバトというスポーツの映像です。聞いたことがない方もいらっしゃるかもしれません。似ているモノで言うと、銃を使ってチームで戦うというサバゲというものがあるかと思います。それの銃以外も使ったスポーツ、バトルがアンバトになります。私が今回説明させていただくのはチーム競技としてのアンバトです。アンバト競技といのは、決められたルール内で5種から多くて6種の異なる武器を使って競うものです。一般的には、剣、双剣、槍、銃、手裏剣、アーチェリーなどの武器を使用します。ルールによっては武器種が定められていることもありますが、基本はこの6種の武器を使ってチーム戦で戦うスポーツです。具体的にどのように戦うかといいますと……口で説明してもわからないと思いますので実際の競技の映像を用意したので、そちらをご覧くだい。ではみなさんモニターに注目してください。ではスタート!」
教室のモニターからアンバトの競技の映像が流れる。
しばらく映像が流れていたが、突然映像が切れると同時にスピーカーから羽柴と燿の声が聞こえてくる。
「葵!」
「あ、やばい……」
スピーカーからはガタガタと音がし、音が切られる。先生に見つかり止められたのだろう。
しばらくし、肩で息をした葵が教室に入ってくる。
「百合君、聞いてくれた? 見てくれた?」
羽柴は息を切らしながら、満面の笑みで話しかける。
「ああ、羽柴。お前がやることはいつも驚くことばかりだ」
先生たちの声が近づいてくる。
「じゃ、またあとで~」
羽柴は教室を出ていき、先生たちと追いかけっこを始める。
初めて会った時の、いつもの羽柴で少し安心する。
今日の天気も雲一つない晴天。風は温かく荒く吹いている。
次の日の朝。
三日連続の雲一つない晴天。
風は昨日と違って大人しい。
羽柴は寮の入口で空を見上げている。
「おはよう、羽柴」
「百合君、おはよう。今日もいい天気だね~」
羽柴は両手を挙げ大きく背伸びをする。
「ああ、綺麗な青だ」
「ふふ、そうだね~白の筆でなにか描きたくなるような青だね!」
いつもの人に合わせる羽柴だ。
「どうせ、羽柴が描くのは絵ではなくアンバト部、部員募集っていう大きい文字だろ?」
俺は少し小馬鹿にしたように言ってみる。
「お、わかっちゃった~? さすが~百合君~」
羽柴はいつものキラキラした満面の笑みを浮かべる。
俺たちはたわいのない会話をしながら学校に向かう。
その日の放課後。
今日の放課後は部活のポスター貼りの手伝いをしてほしいと羽柴に頼まれている。
俺と羽柴は掲示板の隙間を見つけては、ポスターを貼り付けていく。
ポスターの絵は……
五人が夕方の空を真っ直ぐ見るように前を向いて立っており
風に吹かれ髪や服が靡き
後ろに大きく影が伸びており
下ろした手には6種の武器を軽く握っており
部活募集の文字は近寄らないと見えないくらい小さく書かれている。
「葵、どうだ。気に入ったか」
羽柴の肩に腕をのせる耀。
「耀! お前の絵はいつ見ても魅力的だな~オレの思い通りに描いてくれてありがと~」
羽柴と耀はハイタッチをする。
耀が描いた絵は、水彩画で描かれており、色が透き通って綺麗な色味を出している。そして、一度見たら目を奪われてしまうほどの幻想的なものである。運動部のポスターといえば、元気よく爽やかにスポーツをするようなイメージである。羽柴は在り来りだが、目立つような感じのポスターでも作るのかと想像していた。いや、羽柴は人とは違うものを作るに違いないと思っていた。ポスターからは、羽柴が目指すものやりたいことがそのポスターから垣間見える。そして、いつも見せる顔とは違う別人に感じる時の顔が思い浮かぶ。羽柴には明らかに二面性のような表情が存在する。どちらが本来の羽柴かまだわからないが、きっと……いつか分かる日が来るだろう。
「燿は相変わらずカラフルだな~」
「あ~なんかイベント用の大きな絵を描いてて~絵の具がすげぇ飛んでくるんだよね」
「他人事のように言っているけど、それ燿の描き方がダイナミックだからだよね」
「あ~上品に筆だけで描いてないからね~飛んできて当然か~」
羽柴と耀はまたハイタッチをする。きっとこの二人は会話などなくてもお互いの言いたいことが理解し合っているんだな。ちょっとこういう関係に憧れるかもな。
燿と別れ剣道部の練習場に向かい、剣道道場の前の掲示板にポスターを貼る。剣道部は部活の真っ最中で、竹刀の音、足の音、掛け声など激しい音が聞こえてくる。ポスターを貼るスペースが見つけられず剣道部のポスターに少し重ねてポスターを貼っていると剣道部員が近づいてくる。
「そこで何をしているのですか?」
剣道着と袴を身につけた眼鏡をかけた優等生タイプの人が話しかけてくる。
「えっと~部活のポスターを貼ってたんですよ~」と羽柴はニコニコ顔で答える。
「そうですか、でも剣道部の前で剣道部以外のポスターを貼るなんてすごい度胸ですね」
眼鏡優等生は軽蔑したような目で俺と羽柴を足から頭までなめる。
「一応~掲示板になら貼ってもいいっていうルールがあるので問題ないかと思いますよ~」
羽柴は少し緊張しつつも悪いことはしていませんというように軽く応対する。
「いや、そこを指摘しているのではなく……」
「すみません、練習のお邪魔をしてしまって……失礼します」
これ以上話すと目立つと思い、俺はまた柄にもなく間に入り羽柴の腕をひっぱりその場を後にする。
「あはは~百合君は焦りすぎだよ~」
羽柴は剣道部が使う練習用の木刀がいくつか置いてあるのを見つける。
「お、百合君ナイス~! いいアイテム発見!!」
羽柴は木刀を手に取り、アンバト競技の剣の構えと動きをゆっくりと見せる。
「おい、羽柴……また怒られ……」
羽柴の木刀を持った動きが美しく息を呑む。まるで舞を踊っているようにクルクルと回りながら木刀を素早く振り足元は軽やかに飛んでいるような動きと体重をかけた重い動きを繰り返す。剣を持って日本舞踊をしているというのが近い表現になるのだろうか。いつものヘラヘラ、フワフワした羽柴からは想像がつかない。優雅で綺麗でカッコイイ……。
風が吹き桜の花びらが舞う。羽柴は桜の花びらに触れないように木刀を振る。まるで桜の花びらと戯れているかのように。
数分間の舞が終わり深呼吸をする羽柴。
「百合君、どうだった? オレの剣さばきは~」
「ああ、想像と違い優雅で舞を踊っているようだった。アンバトの剣というのはこういう感じなのか?」
昼休みに流れていたアンバト競技の剣というのは時代劇で見るようなちゃんばらに近いものだった。今見たものとは違うもの。
「本来、剣競技は二種類あるんだ……一種類目は剣道とかみたいに相手と戦って勝利するタイプ。二種目は、戦わずに剣の動きの採点をするというタイプ。アンバトの場合は相手と戦うことになるから前者になるよ。後者はアンバトとは関係ない種目になるかな」
「そうだったのか」
「ほら、アーチェリーだって競技とフィールドがあるでしょ? 多分、そんな感じ~」
「へぇ、アーチェリーもそんな感じなのか」
「あとは、銃も手裏剣も双剣も槍も一種じゃないよ~。オレはね、剣というモノ自体が好きなんだ。だからアンバトだけじゃなくて色んな剣の使い方とか実践して身につけたくてね~」
羽柴の武器競技の話はそのあとも続き、オレンジと青みがかった夕方の景色があっという間に群青色と黒のグラデーションがかった暗闇になっていた。
「いや~つい、話しすぎちゃったよ~」
「俺も知らないことばかりだったから勉強になった」
「少し興味とか出てきた?」と羽柴は目を輝かせ、俺の顔を覗き込む。
「まあな……興味くらいは出た。けど俺は入らないからな」
「え~仮でもマネージャーでもいいから入ろうよ~」と羽柴は俺の肩をバンバンと叩く。
「部員が5名以上集まらないと部活として活動できないんだよ~名前だけもいいからさ~お願いだよ~」
羽柴は目をキラキラさせ可愛くお願いのポーズをして俺を見つめてくる。
「どうしても人が集まらないようならば、名前だけなら……な」と言うと羽柴は両手を出してくる。
「え? なに?」
「はい、両手出す」
「あ、ああ」
羽柴は俺の手を高く上げてから満面の笑みで両手のハイタッチをする。
「やった~百合君ありがとう~」
羽柴は嬉しいようで何度も何度もハイタッチを繰り返す。
「ああ、わかった。わかったから」
更に羽柴は嬉しさを表現するかのようにダンスのような動きをしだす。
なんだろう、今まで誰かといてもなんとも思わなかった。羽柴といるとなぜか居心地がいい。今までの俺であれば面倒なことは避けて通ってきたし力を貸すとか口を挟むとか絶対にやらなかった。羽柴との出会いで俺自身になにか変化が起きている。今まで、見えていた世界の色は少しカラーの上にグレーがかった色がのっていて、都合が悪くなるとグレーの色が濃くなり見えなくしていた、見たくないものはみないようにしていた。今見える空はグレーの色が全くなく夜の星も前以上にキラキラして見える。
お読みいただきありがとうございました!
次回もよろしくお願い致します!




