第六十三話 ココロ
オレはいつも笑顔でいる
だって笑顔は何もかも隠すことができるから
だって笑顔でいれば平和に過ごすことができるから
誰も笑顔に隠された真実なんて見もしないから
オレにとって笑顔は最強の武器
★葵
今まで周りにいる人をモブとして見てきた。自分には関係ないし、人が何しようとか何を思うかとか何を言われようが……正直どうでもよかった。オレは勉強もやれば出来るし、運動もやれば出来る子供だった。初めて小学校一年で絵画のコンクールで学年で一番になり、職員室前に貼られ、更に県入賞を取った。親にも褒められて先生にも褒められてクラスメートから尊敬の目で見られた。
オレは小さい時から絵を描くのも物を作るのも字を書くのも文章や詩や俳句を書くのも音楽を作るのも大好きな子供だった。自分の手で何かを創り出すということが一番楽しいと思うことだった。だから特に努力はせずに年に何枚もの賞を取るのが当たり前だった。次の年も賞を取ると、先生は毎年期待しているといい、クラスメートからは取るのが当然と軽く言われるようになり、その次の年には一部のクラスメートからは先生に媚売って賞をもらっていると言われるようになる。不満を持つようになった一部のクラスメートは……しまいには先生がえこひいきしているということになり先生に暴言を吐くようになる。そして……不満は大きくなりオレへの暴力を行うようになる。
オレは何も思うことはなく感じることもなかった。だって、彼らはストレスが溜まっているだけでその捌け口をたまたまオレという人間にぶつけていたのだから。可哀想な奴らだと思っていた。けど、先生が他の学校へ移るときに「ごめんな」といった。なぜ謝る必要があるのか、何に謝ったのかオレには理解ができなかった。
オレはオレの判断で発言して行動する。でも他人には迷惑はかけない、そう思っていた。ただ、人によって言動や行動が相手のココロやカラダを傷つけることもある。それは状況によって、受け取り手によって結末は大きく変わる。けど、オレは人の言動や行動が本当にどうでもいいと、日々思うだけ。
……オレは人をモブとして見ていたんじゃない、人に興味をもたないんじゃない……本当は嫌いだったんだ……。
兄貴はオレの世間的に言う『いじめ』みたいな状況に気づき、他人に興味を持つ必要がないこと、関わりをもたなくていいこと、兄貴さえいれば楽しいことがなんでもできることを教えてくれた。守ってくれた。だから、オレには兄貴が世界の中心で兄貴と一緒にやっていた剣競技が大好きだった。他人なんて必要ないと本当に思っていた。
兄貴に突き放されて一人になった時に寂しいという気持ちが現れた。だから他人に興味を持った時にどうしていいかわからなかった。人とどう接すればいいのか、どう話したらいいのか……わからないから、兄貴のキャラを真似することで誤魔化し続けてきた。兄貴は誰からも好かれる人だったからそうなればオレも人と関われると単純に思った。けど、それは表面的なことで表面上はなにも問題はないけどもっと深い、友達や仲間になる場合はそれだけじゃダメだと気がついた。兄貴はオレのことを知り尽くしているから、オレの心が不安定なのも、孤独感も気がついているのだろう。
アンバトのメンバーともっともっと友達に仲間になりたい。百合とも本当の友達に仲間になりたい。普通の高校生として……友達と一緒に今のこの時だけしかできない『青春』というのをただ送りたいだけなんだ。
こんなにもみんなが近くにいるのに独りぼっちに感じているのは、オレ自身がみんなと距離を置いているから。オレがココロを開かない限り本当の仲間になんてなれるわけないのだから。怖がらずに心の声を感情を出していかないといけない。
自分が嫌いな奴が自分のことを好きになってくれるわけないじゃないか。だからもっと自分を好きになって自信をもって自分らしく前へ進んでいこう。
きっと彼らならオレを受け入れてくれる。
だいじょうぶ。
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