第六十一話 ナイス、チームプレー
皆で力を合わせる
皆で達成する
皆でナニカをやるって最高に楽しい
★葵
天気は晴天からモコモコの綿雲が広がる空になっていた。雲の流れは速く、雲のあたりで日向になったり日陰になったりを繰り返している。今日は日曜ということもあり子供から大人までの様々な観客が来ている。
試合は五名対五名で武器種もシューターが二種、アタッカーが三種の形式で行われる。出場チームは全部で8チーム。オレのチームはBブロックの第一グループ。オレたち、すばるチームは菖蒲、柾、朴、柊、葵の五名でサポーターとして百合がつく。
Bブロックの第一グループの一回戦が行われる。一回戦目は正直……相手チームがさほど強くなかったという感想だ。オレたちは通常通り、スタートダッシュで陣地取りを行った。そしてアタッカー種の戦いになった際、相手チームのシューターの動きが様子見で攻撃してくるというスタイルだったため、オレたちは朴と柊のカラーの攻撃で戦いを進めることにした。
朴は柾の後ろでフォロー、柊は菖蒲の後ろでフォローの体制を一旦取り、オレの合図で朴は菖蒲の方へ、柊は柾の方へ向かい、菖蒲と柾の戦っている相手にカラーを集中的に当てる。オレは余ったアタッカーと戦う。クルクルと舞ながらの戦い方をし、相手を混乱させリボンを素早く奪い取る。リボンを取ったオレは、柊が集中して攻撃ができるように柊への攻撃をしている相手のシューターの攻撃を阻止する役目を行う。アタッカーがシューターの直接攻撃を防ぐのは正直難しく、飛び道具を防がれると焦りコントロールが上手くいかなくなる。そして百合はみんなが集中して攻撃ができるように相手の動きを伝えてくれる。もし、今回の作戦に名前を付けるなら「手のひらの上で転がってもらおう」作戦というところだろうか。
ナイス、チームプレーでオレたちの勝利。
次はBブロックの第一グループの二回戦が行われる。二回戦の相手は一回戦を見た感じだと経験者が揃いっている雰囲気だったので少し変わった作戦を立てることにした。陣地取りを行ったあと相手の槍競技者に朴と柊の二人での攻撃をさせ、相手の双剣競技者には菖蒲と柾の二人で攻撃を行うことにした。
朴と柊は相手の槍競技者を追いかけながら攻撃を行い、少し離れた場所へ誘導してもらう。オレは相手チームの銃とアーチェリーの集中攻撃を避けながら相手の剣競技者と戦う。基本シューターはある程度の距離を取るので攻撃を避けるのは簡単にできる。シューターの集中攻撃を剣競技者に跳ね返して当てる。攻撃カウントにはならないが隙を作る方法としても攻撃を避けるにしても一石二鳥の攻撃パターンなのでそれを繰り返し、剣競技者が動揺が大きく平常心を保てなくなったところでリボンを奪い取る。
そんなこんなで二回戦目も勝利する。
オレたちは一回戦、二回戦と勝ち決勝戦まで勝ち進む。決勝戦の対戦相手はもちろん兄貴たちのチームだ。決勝戦は午後からスタートする。
「いよいよ、ここまで来たね~最後まで頑張っていこう」といつものようにフワフワっと陽気に気合を入れる。オレの陽気さとは違い、他メンバーは緊張しているのか少し空気が重い。
「新人戦の時とは違い、上級生たちメンバーとの試合は初めてだし……さすがに緊張するな」
「そうですね、宝生のメンバーで見たことがない方も出てきていますし」
柾と菖蒲は下を向き心配そうな表情でため息をつく。
「そういえば……今回はアーチェリーの人と槍の菫さんがいないな。なんかあくびを頻繁にする少し眠そうな雰囲気の手裏剣の人と白いタイツとカボチャパンツが似合いそうな王子様のような雰囲気で槍を持った人が参加しているね。卒業する先輩なのかな」と言うと「あの手裏剣の人は三年で卒業する人だ。俺と同じ手裏剣道場に通っている」と柊が答える。
「え、知り合いなんすか」と朴。
「俺の師匠みたいな人だ」
「師匠っすか! 俺にも紹介してほしいっす」
「ああ、わかった」
「へ~柊に師匠とかいたんだ~それは手強そうな人だな」と言うと「ああ、そうだな。あの人は俺に任せておけ」と柊はニヤリと笑い、戦隊ヒーローのようなポーズを決める。
「うお~柊、かっこいいっす」と朴は目を輝かせている。
「そうすると、今回の戦いは武器種がお互い同じになるんだな。手裏剣を武器種に選ぶ人は少ないのだろう? 面白い戦いになるな」と百合も会話に混ざってくる。すごく嬉しい。
「百合君はもうすっかりアンバト名人だね。そうそう、手裏剣を武器種にする人は少ないから~珍しい戦いだと思うよ。観客や他のチームも注目してくると思うし、色々とドキドキな試合になりそうだね」
「そうだな」
なぜだろう。君が傍にいるのに手の震えが止まらないよ。大吹雪の山に一人取り残されて凍え死にそうな気分。もう一人じゃないのに君だけでなく仲間がいるのに……不安でいっぱいなんだ。
緊張のあまり喉が渇き、ペットボトルの水を全て飲み干すと「羽柴、飲み物を買ってこようか」と百合が声をかけてくれる。
「あ~大丈夫だよ」と返すが百合はオレの緊張を感じ取ったのか「まだ時間もあるし、買ってくるよ。自分の分も買いたいし」といって走り出す。
「だったら、オレも行くよ」
「選手は体力温存が優先だ。行ってくる」と百合は一人で飲み物を買いにいく。
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