第四十九話 菖蒲と柾のカラー
自分のイイところって自分で見つけるのが難しいけど
誰かのイイところって簡単に見つけることができるよね
★葵
菖蒲と柾のおしるこ販売はというと柾がその場で餅をいい具合に焼き、菖蒲特製のおしるこの汁の組み合わせたものでお店を出せるくらいの美味しさである。菖蒲の実家は和菓子のお店を営んでいるらしく、和菓子作りは得意のようで部活にもたまに手作りの和菓子の差し入れを持ってきてくれる。どのお菓子もほっぺたが落ちるほどに美味しい。
菖蒲特性のおしるこの噂はすぐ口コミで広まったようでたくさんのお客さんが集まってきている。オレと柾は調理担当で百合は盛りつけ担当、菖蒲は接客を担当している。
スキップしながら男の子がおしるこを買いにやってくる。
「おしるこ、二つください」
「二つですね、少々おまちくださいね」
「昨日もね、食べたんだけど美味しくってまた来ちゃったの」
「そうなんですか、嬉しいです。ありがとうございます」
菖蒲はニコニコ笑顔で接客をする。菖蒲の笑顔を見たのは久しぶりな気がする……。
菖蒲は湯気が出ている温かいおしるこを男の子の目線の高さに合わせて屈み、渡す。
「おしるこ、二つになります、ありがとうございました」
今度は女の子が目をキラキラさせて買いに来る。
「お姉さん! おしるこまだあるー?」
「はい、ありますよ」
「えとね、四つほしいー」
「かしこまりました。少々お待ちくださいね」
「あのね、昨日のおやつの時間にね、ここにきたらもう終わってたの。今日はあってよかったー」と女の子は笑顔で嬉しそうにピョンピョンとジャンプをする。
「そうでしたか。それは申し訳ございませんでした、今日はまだまだありますよ」と菖蒲はキラキラした天使の笑顔で対応する。
「わーい」
「お嬢さんは一人でいらっしゃったのですか?」
「いや、おかーさんと、弟と、おばーちゃんとあたしの四人で来てる」
「お母さんたちはどちらにいらっしゃるのかしら」
「んとね、あっち」と女の子は少し遠くに座っている家族を指差す。
「そうなんですね、一人で持っていくのは大変だと思うので一緒に持っていきますね」
「羽柴君、少しの間、店番頼めますか」
「あ、うん。任せて」
オレは菖蒲の代わりに接客をし、菖蒲は少女と一緒におしるこを運んでいく。
菖蒲は誰にでも優しい、そして紳士だ。
ドアがあると先にドアの前に立ちドアを開け、エレベーターのボタンは先に行き押してくれる。荷物は自然に持とうとするし、頼まれごとは嫌な顔をせずにやる、常に相手のことを考えて動くのが菖蒲だ。
しばらくして菖蒲は戻り、店番を交代する。
「羽柴君、そのお餅ちょうどいいころです」とお餅マスターの柾に指摘をされる。
「え、あ~ごめん。はい、これ、百合君お願いします」と百合に焼きたての餅が入った器を渡す。
百合は真剣な顔で盛りつけをしていると「あ~星咲君、もう少し見栄えを考えて」と柾はこだわりをみせる。
「あ、ごめん……わかった」と百合は真剣に盛り付けをする。
柾は真面目で几帳面だが少しだけ細かすぎるところがある。
そうだな……チームのお母さんというのが似合いそうだ。オレが適当なことが多いから、柾はいつもオレの不十分な部分のフォローをしてくれる。アンバト部に入ってから自分の種目だけでなく他の種目の研究もし、オレたちの戦い方もよく観察してくれ、戦闘時の隙や欠点を的確に指摘してくれる。また筋トレなどの自主的な運動に関しても柾がそれぞれのメニューを作成し、各自それを行っている。ほぼマネージャーを兼任している感じだ。柾は先生とか指導者に向いてそうだ。
お読みいただきありがとうございました!
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