第四十五話 柚チーム
可愛いのに腹黒の人っているよね
それをギャップがある可愛い人って捉えたり
性格悪そうだから苦手って捉えたり
どんな個性もステキだと思うし
捉え方は人それぞれでいいんじゃない
誰にも誰かを否定する権利なんてないんだよ
★葵
次の試合はBブロックの第1グループの試合である。兄貴のチームの一年生チーム、蓮と柚を含む五名が出場する。
「みんな~頑張って~」と兄貴はフワフワと両手を緩く上げて応援している。
「樒せんぱ~い! 柚、頑張りま~す」と柚は笑顔でピョンピョンとジャンプして両手で手を振り、他の一年は兄貴たちに会釈をする。
試合が開始すると柚と蓮が先行して走りながら陣地取りをし、八割以上の陣地を取ってしまう。当然……八割の陣地を取られてしまうとアタッカーの試合に支障がでてくる。相手の陣地には入れないため動ける範囲が少なく思ったように動くことができないのである。範囲が狭いということはシューターからも狙われやすくなる。陣地を取り返せばいい話ではあるがここまで押されてしまうと取り返すのはほぼ不可能である。
試合は相手チームのアタッカーの三名が柚と蓮に狙い撃ちされ終わるという試合であった。柚チームのアタッカーの選手の三名はただ武器を構えているだけという異様な試合であった。
柚と蓮の組み合わせは最強だ。
兄貴がいなくてもこのチームは強い……。
「わ~い、勝ったぁ~」と柚は両手を挙げてピョンピョンと飛び跳ねる。
「さすが、柚と蓮だね~。うんうん」と柚にフワフワと手を振る兄貴。
「葵~柚と蓮だけでもウチのチーム強いでしょ~君たちはどこまでついて来れるかな~」と兄貴はニコニコした顔だが、低い声で話しかけてくる。
「兄貴、気が早いね。まだ二回戦が終わってないし、戦うとは決まってないけど……まあ、決勝まで進んだとして実際に戦うことになったらわかるんじゃない。オレたちの実力。楽しみにしてよ~」と兄貴の顔を見ずに話を返す。
本当は兄貴と離れた場所に行きたかったが試合順で待機場所が決められているため隣に兄貴達のチームがいる。
「樒はこの間、弟くんに負けたばっかりでしょ。弟くんは強いもんね。柚たちとの試合が楽しみだね」と撫子は目だけ笑っいないがキラキラした笑顔で微笑む。
「俺も早く試合を見てみたい。個人戦で俺に勝った実力を見せてくれ」と菫は柾の目を真剣に見つめる。
「はい、もちろんです! お見せしますよ」と柾は眼鏡をクイッとあげてキメ顔をする。
「あ、わたしとかぶってる子も期待していますよ」と菖蒲に笑顔で手を振る撫子。
「あ、はい……」と菖蒲はひきつった笑顔をみせる。
「葵の剣の力もチームリーダーとしての力も見るのが楽しみだな~」と兄貴はオレの顔を覗き込む。
「あ~先輩たち楽しそうに話してる~僕も仲間に入れてよ~」と柚たちが観客席に戻ってくる。
「柚、お疲れ。今ね~柚チームと葵のチームが対戦する話をしてたんだよ~」
「え~楽しそうな話~! でも僕たち負けないよ~」
オレは柚のテンションについて行けず無言になる。
「え~なんで無視するの~」といいながら柚はオレの真正面に来て、下を向ている顔を目が合うように覗き込んでくる。
「僕たち~負けないからね~」
面倒くさい奴だ……兄貴もよくこんな奴といつも一緒にいられるな……。
「ああ、お互い頑張ろう」と顔を背けて、素っ気ない返事を返す。
「んだよ、愛想わり~な」
小さく低音の声が聞こえ、人を見下したような表情をする柚が目の前にいる。
「うん、頑張ろうね~」と柚はオレの肩をポンポンと叩き、いつもの可愛らしい声と笑顔で去っていく。
そうか、兄貴と柚子は裏表があるところが似ているのか。だからお互いが理解出来てそばにいるのか。 共感できる人がそばにいる、それだけでココロの安らぎが違うのはよくわかるよ。
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