第四十三話 風を操り幻想的なオーラを身にまとった人物 ―葵―
キミに出会って"スキ"を思い出し、再挑戦しようと思った
キミに出会って白黒の世界がカラフルで輝く世界になった
ありがとう
オレのヒーロー
★葵
オレは昨日と今日、百合がアーチェリー競技の試合に出ていたことも学校が終わったあとにアーチェリーの練習場へ行っていたのも合宿中バイトではなくアーチェリーの練習をしていたのも知っている。
百合は『風を操り幻想的なオーラを身に纏った人物』で一目ぼれをした相手……オレがこの桃源高校に入るきっかけになった人物だからだ。
オレは百合のアーチェリーをしている姿を見て『コイ』をしたのだ。もちろん百合にはこのことを伝えていない。百合に言ったらきっと気持ち悪がれると思ったから。入学式の前に体育館の大きな桜の木のところで百合を見かけたときにいつか『コクハク』をしようとは思ったのだが結局今も言えずにいる。ここでいう『コクハク』というのは恋する相手に好きというのではなく。
オレのヒーローは君なんだよ。
オレの世界に現れてくれて、世界をカラフルにしてくれて、ありがとう。
そういうコクハクである。
オレは中学二年の終わりに兄貴から突きつけられた言葉で中学三年生の時はアンバトも剣競技も辞めていた。そんな時にたまたま見に行ったアーチェリー競技に出場している百合と出会った。オレは百合の姿を見て再びアンバトを……剣競技をやりたいと思った。
百合との出会い……。
百合という『コイ』の相手とはアンバト競技の個人戦で出会った。聞いた話によると彼はフィールドアーチェリーというのを趣味でやっている人物で競技の試合に出場したことはなかったそうだ。オレがたまたま見た試合が初めて出場したようで偶然にもその試合を見て『コイ』に落ちてしまったのである。競技では当然、順位があるので上手い奴は自然と名前が知られるようになる。百合は競技には今まで出ていなかったので無名の選手ではあるがアマチュアのフィールドアーチェリーというものに希に参加していたこともあり『風の貴公子』という名がついていた。
一目惚れ……。
背筋を伸ばし綺麗な姿勢
優雅なオーラを放つ立ち姿
まっすぐ伸びた手も美しく
そして風を読み放つ矢
矢が的に当たる音も美しい音色のようで
オレは百合の試合を釘付けになって見ていた。百合と同じフィールドで風を感じたいと思った。
オレは入学式の日にあったクラスの自己紹介の際にアンバトの話をしたが百合は自己紹介の時にアーチェリー経験者とは言わなかった。きっと興味がないんだなとか言ったら誘われるのだろうとか思うところがあったに違いない。オレは百合が自分から経験者という話をしてくれるのを待つことにした。そうしたらアンバト部に入ろうって誘うと思っていた。だけど百合は今も隠したままだ。いつになったら言ってくれるのだろう。こんなにもアンバトの近くにまで来ているのに来てくれているのに……。
ただ本当に手伝ってくれているだけなのだろうか。
それとも仲間に入ろうとしてくれているのだろうか。
オレは全てを打ち明けて、誘うべきなのか……。
でも今まで築き上げてきたこの関係を壊したくはない。
オレは本当に臆病だ。
たった一言なのに、そのたった一言を言うのが難しい…。
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