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第四十二話 風を操り幻想的なオーラを身にまとった人物 ―百合―

 キミが笑顔で楽しそうにたたかう姿をみて

 ボクもココロから楽しもうと思ったんだ


 ありがとう

 君はボクのヒーローだよ

☆百合


 アーチェリー競技の試合が終了し、アンバト競技のメイン会場に向かう。到着すると羽柴と羽柴の兄貴の試合がちょうど始まるところであった。

 羽柴の戦い方は戦っているというよりも風と戯れているようなイメージで綺麗というのが一番近い表現だと思う。いつ見ても目が離せない、魅了される。


 そう……初めて羽柴の剣の舞を見た時から……。


 俺が初めて羽柴を見たのは中学二年生の時。蓮に連れて行かれたアンバトチーム戦の試合だった。羽柴は羽柴のお兄さんを含めた五名でアンバトの試合に出場していた。アンバトのルール上、武器種は二つまで被るのが許可されているので羽柴も羽柴の兄貴も剣を使用し戦っていた。

 その時の羽柴も風を読み、風を纏い、くるくると舞を舞っているかのようで身軽にアクロバットを披露しながら太陽のようなキラキラした眩しい笑顔で楽しそうに戦っていた。戦うというより、遊んでいる……戯れているような感じだった。

 そんな羽柴を見て、俺もアーチェリーを楽しくやりたい、風を纏ってみたいと思い、競技形式ではなく自由度の高いフィールドアーチェリーを楽しむようになった。


 フィールドアーチェリーは通常のアーチェリー競技と違い、的の大きさも的の距離も様々で山の中や河原や草原など自然の地形を生かして標的を設置した的に当てるもの。一応、フィールドアーチェリーの競技もある。フィールドアーチェリーの競技の場合、通常のアーチェリー競技で使用可能なサイト(照準器)スタビライザー(安定器)の装備が出来なかったりする。なので感覚が重要だったりする。風を感じながら自然を感じながらアーチェリーを楽しめる。俺は羽柴のおかげで今まで以上にアーチェリーが好きになり、心から楽しむことが出来るようになった。

 フィールドアーチェリーをやる前は競技としてアーチェリーをやっていて、アーチェリー自体は楽しいけれど……人と競うとか、人から試合頑張れとか言われるのに違和感があった。自分のやりたいようにやりたいことをやっていきたいのに、それを許してもらえないような環境が疑問でしかなかった。スポーツをするイコール誰かと競い合うというそういう概念を押し付けてくるのが本当に苦痛だったんだ。別にプロになりたいわけでもないのに……。


 そんな時、羽柴に出会って世界が一変した。


 羽柴の出会いで……自分の好きを思いっきりやっていいんだ、型にハマったやり方ではなく自分らしく自分の好きにやって楽しんでいいんだと知ることができた。

 羽柴が同学年の中学二年生ということは知っていたので、次の年のアンバト競技の試合も見に行った。しかしそこには羽柴の学校は出場していたが羽柴の姿はなかった。

 羽柴はもう辞めてしまったのかと思っていたら高校で再会したのである。しかも同じクラスで俺の席の前に。


 俺は羽柴のおかげでアーチェリーを楽しめるようになったと感謝の気持ちを本人に伝えたかったが突然そんなこと言われても驚かせてしまうだろうと思い、言えずにいる。羽柴に憧れたのは二年前で今も憧れ続けている。


 俺はまだ迷っている、アンバト部に入ることを。

 今更過ぎる……。

 迷う前に……メンバーが集まる前に……入るべきだったかもしれない。


 憧れの人の隣で一緒にアンバトがしたい……。

 あとは……言うタイミングを考える…考え続けている…。


 たった一言なのに、そのたった一言を言うのが難しい……。

お読みいただきありがとうございました!

次回もよろしくお願い致します!

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