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第三十八話 アンバト個人戦二日目

 だいじょうぶ

 自分のカラーでいいんだよ

 自分らしく突き進め

★葵


 次は槍競技の試合が開始される。

 得点制の個人戦の決勝戦グループは菫、航さんを含めた十名で行われた。得点制では菫が優勝し、航は三位となる。

 対人戦の決勝戦グループは、柾、菫、航さんを含めた十名。Aブロックの一回戦目で柾と菫の対戦となる。

 柾は力はあるが速さがないので菫からの攻撃を受けては弾くを繰り返す。菫はプレートをかすりはするが落とすまでにはいかず、時間制限ギリギリまで二人の槍の交戦が続く。柾は薙刀の上段の構えをする。上段の構えは守りがほぼできない状態なので薙刀の試合でも試合中には行わない構えである。柾はほぼ無防備の隙だらけの状態になり、菫が左側の腰のプレートを狙ってきたところを柾は槍を真下に振り下ろしガードし、菫の槍を振り払い菫は体勢を崩す。その隙に柾は槍を上から真っ直ぐに振り下ろす。菫のネックレスのプレートと右腰のプレートを同時に落とす柾。時間切れで試合が終了する。

「いい勝負でしたね、ありがとうございました」と柾は菫に手を差し出す。

「ああ、いい勝負だった」と柾と菫は固く握手をする。

 柾は二回戦に進むが負けてしまう。航さんは決勝戦まで進むが負けてしまい二位となる。


 槍競技が終わり次は双剣競技が開始される。

 得点制の個人戦の決勝戦グループは、菖蒲、撫子、凪、海を含めた十名で行われた。海は双剣の使い手でもあるのでこちらの試合にも参加している。得点性はスタートからゴールまでの時間も得点の対象になるのでスピードも重視される。また的は洋服屋にあるような首から太ももくらいまである人型の人形のどこかに的が設定され、その的を当て得点を得るというものである。

 菖蒲は足のスピードは普通より遅めで動きに関しては素早い動きをするが力が強いというわけでもないので菖蒲なりの技術的なもので普段は補っている。また菖蒲は息遣いや言葉と音の先読みをすることができるので人相手だとその特技は非常に役に立つのだが動かない人形が相手だとその特技は意味を成さず菖蒲自身の能力を出せずに得点制の個人戦は終わってしまう。

 結果は撫子が二位以下と大差をつけて優勝、凪さんは二位、海さんは五位、菖蒲は九位となった。初めての試合にしては比較的良い結果だと思う。

 対人戦の決勝戦グループは、菖蒲、撫子、凪さん、海さんを含めた八名。

 菖蒲は一回戦に勝ち、二回戦目に撫子と戦う事になった。

 菖蒲と撫子が試合のステージに立つ。

「ねぇ、きみさ。わたしとキャラがかぶってるんですよね……」と撫子はニコニコした笑顔で菖蒲に話しかける。

「え……」

「うふふ、美しいのはわたしだけでいいんですよ」

 撫子のニコニコした表情が一変し一瞬だけ鬼のような形相になり、再び笑顔になる。


 試合スタートの合図がかかる。

 撫子の見た目は華奢な美少女といったところだが……戦い方は野獣のように豪快でチーターのように素早い動きをし、動き一つ一つは芸術かのように美しい立ち振る舞いである。撫子は予想がつかない独特の動きで菖蒲は攻撃ができず、一方的に攻撃を受け続けている。撫子に三つのプレートを取られもう後がない菖蒲。菖蒲は音を読むのが得意なので胸から吊るしているプレートの音を先読みし動きを予測し、隙を見計らい撫子のネックレスのプレートを落とす。撫子はプレートが取られ、怒りが増し、力いっぱいに左腰のプレートごと菖蒲を投げ飛ばす。衝撃で倒れる菖蒲。

 菖蒲の四つ目のプレートが取られ試合が終了する。

「ごめんなさい、つい本気を出しちゃいました。お怪我はないですか」と撫子は心配そうに菖蒲に手を差し出す。

「ありがとうございます、大丈夫です。お手合せ、ありがとうございました」

 菖蒲は撫子の手を取り起き上がる。そして菖蒲の手を強く握る撫子。

「わたしからプレートを取るなんてすごいですよ、わたしから取ったこのプレートを記念にどうぞ」と撫子は低音の声を発し、菖蒲に落とされたプレートを渡しながら菖蒲を睨みつける。

「こちらこそ、お手合せありがとうございました」

 撫子はいつもの優しい声で微笑む。

 菖蒲から笑顔は消え、撫子のプレートを強く握り締める。


 Bブロックの二回戦で凪さんと海さんが対決し、凪さんが勝ち決勝戦へ進む。接戦で海さんも三つのプレートを落としていた。凪さんと海さんの戦いは、映画に出てくるような戦闘シーンのようにキレッキレのカッコイイ戦いであった。

 決勝戦は撫子と凪さんの戦いで凪さんが先に二つのプレートを取るが、そのあと撫子が四つのプレートを取り撫子が優勝となった。撫子にも海のようなファンクラブがあるらしく女性の集団となぜか男性の集団が撫子を静かに見守っていた。声は静かなのだが見た目は明らかに全力で応援しているといった雰囲気の集団であった。

お読みいただきありがとうございました!

次回もよろしくお願い致します!

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