第三十七話 アンバト個人戦一日目
自分のカラーを知ったうえで
自分を出せたらもっとキラキラと輝いてみえるんだろうね
★葵
午前は第一武器の個人戦が行われた。
柊と朴は身体能力も高いが的に確実に当てる能力も非常に高く、決勝戦グループに残ることができた。
午後からはアタッカーの個人戦が行われた。
オレと菖蒲は二種目とも決勝戦グループに残ることができ、柾は対人では決勝戦グループに残ることができたが得点制の方では三回戦までいけたがそこで得点が足りず決勝戦グループまで進むことができなかった。
決勝戦グループには桜美大チームメンバーと兄貴達のチームメンバーがいる。決勝戦グループの試合は明日行われる。
アンバト個人戦二日目。
雲一つない、太陽がまぶしい晴天。風は息を止めているのかと思うくらいに静かすぎるくらいの無風である。試合日和の清々しい陽気。
決勝戦までは各競技が同時もしくは重なって行われていたのだが今日は各競技でタイムスケジュールが階段上になり各競技の試合が見ることができるようになっている。アーチェリーを除いては……。アーチェリー競技に関しては広大な場所が必要となるため会場がこことは離れた場所となり、ここにいる限り見学することは不可能である。
朴は遠距離が苦手らしく遠距離での得点が伸び悩んだ。逆に短距離は得意らしく八割は的の真ん中に当てている。また人それぞれフォームというのはあって朴の場合は名前のように素直に真っすぐと立ち、真っすぐに的を見る。朴の性格そのもので感心してしまう。
柚が化物で短距離の射撃は全てど真ん中を的中させている。柚はアンバトのチーム戦では的に100%確実に当てることができる命中率である。競技では得点数で競うため長距離では優勝できていないが、アンバトのチーム戦では的内に当てればよいので、特定の範囲以内に当たれば問題ないのである。そしてアンバトのチーム戦ではカラーを当てるのも重要とされるので短距離が得意な方がチーム戦では有利となる。
「洋さん、総合二位なんてすごいっすね。さすがっす」
「朴君こそ、初めての試合にしては結構な順位じゃないですか」
「そ~っすか! ありがとうございますっ」
朴と洋さんは笑顔で握手を交わす。
柚は、試合が終わるとすぐに会場外にいる兄貴の元に走って腕に抱きつく。
「樒せんぱぁ~い」
「おかえり~そしてお疲れ~柚」
「僕、すっごくガンバったよ~褒めて褒めてぇ~」
「柚は一番になると思っていたよ~偉いぞ~」
兄貴ニコニコしながら柚の頭をガシガシと撫でる。
まるで忠犬と主人のようだ。
アンバトの銃競技が終わり、次は手裏剣競技の試合が開始される。
決勝戦グループは柊、海さんを含めた十名。手裏剣競技用の的は人型の的に大小のシューティングターゲットがいくつか貼られている的と、人型の的の直線上二メートル先にある板に貼られた大きめのシューティングターゲットの的の二種類である。これらの二種類の的を使用し総合点数を競う。的は距離があるとはいえ重なっているので直線で当てるだけでなくカーブを付け、的を狙うことも必要とされる。
柊は元々趣味でやっていたこともあり綺麗な姿勢で的に当てていく。柊はいつものふざけた感じとは違い真剣に競技を行っている。口を開かず姿勢もよくしていればモデル並のイケメンになる。そして今そこにそのイケメンが輝いて立っている。
柊も朴に負けないくらいの姿勢の良さではあるのだが自分なりのポーズというかフォームを意識したようにも感じるのは気のせいだろうか。ストレートでもカーブでも同じフォームのままでテクニック的なものがあるのだろう。とにかく手裏剣を持たせ戦わせたら柊は本当にカッコイイ。
そしてアンバトの個人試合は当然のことだが女性の部も有り、柊は女性たちの注目の的となっているというかギャラリーたちが存在している。もちろん本人は自覚していないようだが……。海さんは常にイケメンで女性にも優しいので、手作りの? 専用のグッズのようなものを持ったファンクラブ的な女性たちの集団が見える。
正直、手裏剣は扱いも難しくとても個性がある種目なので人気の種目ではないのだが……柊と海さんを見に来た女性たちがいるのは間違いないだろう。競技人口も少なくあっという間に試合は終了する。
柊はなんと……優勝した。二位は海さん。一位と二位は接戦であった。
試合が終わり、会場に一礼したあとに自分のファンクラブの女性たちにウインクと投げキスを送る海さん。
「柊君、お疲れ。いや~負けちゃったな、もう少しだったのにな」
「海さん、お疲れ様です。いい試合でした。ありがとうございました」
柊は試合時同様の真面目な表情と姿勢……ただただイケメンだ……。
「うん、君は常にそうしているといいと思うんだけどな」と柊にウインクをする海さん。
「……よくわからないですが……そうなんですか」
柊は真剣な表情で少し首をかしげる。
「そうだね。あ、言い忘れちゃった。こちらこそ、いい試合をありがとう。次はチーム戦で勝負してみたいかな」
「そうですね、次も負けません」
「ああ」
柊と海さんはハイタッチをする。その光景に女性たちは黄色い声を上げる。まるでアイドルのライブ会場のような光景だ。きっと海さんもワザとやったに違いない。
柊は千鳥足気味でオレたちがいる観客席に戻ってくる。
「柊、お疲れ~一位とかすごいね~おめでとう」
「ああ、ありがとう」
「柊……なんかいつもと様子が違うっす」
折角イケメン状態の柊なのに朴は余計なツッコミをするんじゃない。
「疲れた……」
柊は全身全霊を使って試合に臨んだらしく、疲れて朴の肩に倒れこむ。
「うわ~柊、大丈夫っすか~」
柊は朴を巻き込み倒れる。
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