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第二十八話 練習相手がほしい

 自分だけじゃどうしようもない時は

 誰かに頼ったっていいんだ

★葵


 次の日の放課後、職員室にいる顧問の成瀬先生を訪ねることにした。

「成瀬せんせ~」

「羽柴か、なんだ」

 成瀬先生は奇麗な姿勢でパソコンの作業をしていたがオレが話しかけると椅子にもたれて目つきと態度が悪くなる。面倒くさいのが来たなと言わんばかりに。

「部活のことで相談があるんですけど~」

「ああ、なんだ」

「先生もアンバトやってたんですよね~」

「ああ、だが俺は教えないぞ。あくまで形だけの顧問だからな」

「そうはいっても何かあったら責任問題になりますよ? いいんですか?」

「ほう、俺を脅すのか? なら部活は廃部だな」

「先生も脅してますけど、大丈夫ですか?」

「……で? なんのようだ?」

「顧問なんだから、少しは協力してくれてもいいと思うんですけど……」

「まあ、気が向いたらな」

「正直、先生に期待ができないんで……誰か知り合いで教えてくれそうな人いませんか、もしくは一緒に練習してくれる人でもいいんですけど」

「今お前、俺に期待できないっていったよな」

「はい? 事実ですよね? 何か問題でもありますか」

「よく本人相手にそんなこと言えるよな」

「ハッキリ言った方が話が早いかと思いまして」

 オレは得意のニコニコと満面の笑みで成瀬先生を見ると成瀬先生はわざとらしく大きなため息をつく。

「そうだな、難しい相談だな」

「そこをなんとか!! 先生、本当に困っているんです!」とオレは職員室中に聞こえるように大きな声で手を合わせ一生懸命にお願いをする。

 オレの大げさのアピールを見て他の先生達からの注目を集め、基本サービス精神が全くない成瀬先生も行動をするしかという状況を作り出す。そしてさすがの成瀬先生も察したのか「仕方ない、そこまで言うのであれば、大学の後輩に聞いてみるよ」としかめ面をしながら答えてくれる。

「おおおお~さすが成瀬先生様~ありがとうございます! 何卒よろしくお願いします」と言い、お礼にと成瀬先生に肩たたきをする。

「あ~わかったから、さっさと部活へいけ」

「は~い。それでは、失礼しま~す」と90度のキレイなお辞儀をして職員室を出る。そして一歩下がり。

「よっしゃ~~~」

 オレは嬉しくて元気よくジャンプをし、そのまま走って部活へ向かう。




 今日からは各自、昨日買った武器を使って練習をスタートさせる。そして自分の武器が馴染むまで個人練習を行うことにする。練習用のものとは違い、今までとは使い勝手が違うので戸惑いながらも自分のものにしていく。みんなの表情は今までより輝いて見える。オレの求めているものがどんどん形になっていく。まだまだ足りないものも多いけど。


 白くモヤがかかって見えなかった道の先が見えてくる。そんな気がした。


 個人練習をしていると成瀬先生が練習場を訪れる。

「羽柴~」

「あれ? 先生どうしたんですか~? ま、まさか……気が変わって教える気になったんですか!」

「嫌味を言うのなら俺は帰るぞ」と帰ろうとする成瀬先生の腕を掴む。

「あ~すみません、すみません。まさかとは思いますが、さっきの件ですかね」

「そうだ」

「さっすが成瀬先生! 仕事、早いですね~! で、どうでしたか」

「後輩に聞いたら、夏休み中に合宿をやるからその時でよければ教えてくれるそうだが、どうする」

「本当ですか! 是非ぜひ~参加させてください!」

「わかった、伝えておく。詳しいことはまた聞いておく」

「先生、大好き~」とオレは掴んだ成瀬先生の腕に顔をスリスリさせる。

「やめろ、気持ち悪い……。ごまをするな」

「先生……オレ、真剣にアンバト部で試合にでてみたいんだ。強くなりたいんだ」

 オレは成瀬先生の腕を離し、目を開き真剣に伝える。

「ああ、わかった。俺も顧問として出来ることはやるよ。まあ俺は教えないけどな」と真顔でオレの頭をポンポンと叩き、学校へ戻っていく成瀬先生。


「羽柴君、どうした」

 柾が少し心配そうに尋ね、朴も菖蒲も心配そうにオレをみている。

「名前だけの顧問が来るなんて……葵、お前……何かやらかしたんじゃないだろうな」

 柊はオレがなにかしたと疑っているようだ。

「みんな、そんな心配そうな顔をしないで! それぞれさ、武器も揃えたわけじゃない。で~自分の武器が馴染んできたら、次はもっと実践に近い練習をした方がいいと思ったのね。だから先生に頼んで、教えてくれる人、実際にチーム戦で練習してくれる人はいないか聞いていたんだ。そしたら、先生の大学の後輩の人が夏の合宿で一緒に練習をどうかって言ってくれたんだって! ということで夏は合宿だ!」

 一同沈黙する。

 あれ、もしかして誰も乗り気じゃないのか……。

「合宿っすか! 行きたいっす、やりたいっす」と朴。

「僕も興味がある」と柾。

「わたしも是非、参加したいです」と菖蒲。

「ふ、俺の新しい手裏剣を存分に披露してやろうじゃないか」と柊。

 みんなの顔が笑顔でいっぱいになる。

「よし、みんな乗り気で良かった~。合宿まではまだ少し時間があるし、それまでに武器を自分のものにして万全の態勢で参加しよう」

「おー!」とみんなの声が響き渡る。

 練習はそれから天の川が見える時間まで続いた。

お読みいただきありがとうございました!

次回もよろしくお願い致します!

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