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第二十七話 アンバト試合用の武器探し ー後編ー

 背伸びしなくてもいいんじゃない

 自分に合った相棒(武器)と一緒に

 ゆっくりと進んでいこう

★葵


 あとは朴か……。

 朴が扱う銃はサバゲでも使用されるだけあって種類は豊富で店内のスペースも大きめに用意されている。

「ん~たくさんの種類があって迷うっすね~」

 朴は沢山の銃を並べてどれにするか悩んでいる。

 アンバトではハンドガンのような接近戦で使用する片手用の銃と陣地取りや遠距離から相手を狙う時に使用する遠距離用のスナイパーライフルの2種を所持することができる。サバゲの銃とは違い、カラーを当てるのが主となるのでアンバト用の銃が存在する。またサバゲはBB弾を使うがアンバトではカラーが入った弾が使用される。朴は店員に何で使うかを伝えていないようでサバゲ用の様々な銃が並べられていた。

「葵、どれがいいっすかね? 選びたい放題過ぎて困ってるっす」

「朴……えと、アンバトで使うって説明した?」

「え、なんもいってないっす。とりあえず、銃を見せて欲しいって伝えただけっす」

「だろうな……。店員さん、すみません。アンバト用の銃に絞ってもらっていいですか」

「あ~アンバトで使うのか、ちょっと待ってね」と言って店員がアンバト用の2種の片手持ちの銃と長距離用のライフルを用意してくれる。

「ありがとうございます。朴、この2種のタイプから合いそうなのを選んで」

「サバゲとアンバトで違うっすね。ありがとうっす。う~ん、どれにするっすかね~」

「見た目で決めるより、実際に使ってみて決めるのがいいと思うから試してみたら」と試し打ちが出来る場所を指差す。

「俺はこのドラゴンの装飾がされた黄金に輝くリボルバーがいいと思うぞ」と柊はまるで忍者のように足音もたてずに静かに現れて金のドラゴンが装飾されたリボルバーをかっこよく構える。

「お~いいっすね~これにするっす」と朴は金のドラゴンのリボルバーを持ち色々なポーズを取る。

「おい、待て待て……さっきも言ったけど~実際に使用して合うのが……」と朴に声をかけるが銃に夢中で話を聞いていない。

「うん、聞いてなさそうだな」と百合はオレの背中をポンと叩く。

「なんであいつらはいつもテンションだけで……」

 いつもの朴と柊の世界に入り込まれ人の話を聞かないというこのパターンになり、一気に疲れ大きなため息をつく。

「何も考えていないのだろうっていうと失礼かもしれないけど……自分に合うとか試合用にとか考えずに一目でいいと思ったものを選ぶとか、いいと思ったことを素直に選択するとか楽しそうだよな」

「そうだね、あいつらはいつも純粋に楽しそうだね」

「色々と考えることは必要なことだけど、たまには考えずに思ったままのことをやってみるのもいいかもな。俺たちはまだ若いし感情のまま突っ走ってもいいのかもしれないな。今しかできないこともあるしな」

「百合君がそんなこと言うなんて珍しいね~」

「そうだな、あいつらに刺激されたというか、羽柴にもだけど……なんか何といっていいのかあれだけど、今が楽しいって思うようになったから」

「うん! うん! うん! そうだね! オレも今がすっごく楽しいよ」

 百合は優しく微笑んでくれる。


「じゃあ、ハンドガンは金の龍で決まりっす~」と朴は金の龍の銃を高々と上げる。

「ははは~この銃で全ての敵を吹き飛ばすぞ」と柊は仁王立ちし腕と人差し指を真っ直ぐに伸ばす。

「朴、ちょっと待て~とりあえず試しに使ってみてからに……見た目が良くても使い勝手がよくないと戦えないだろ」とオレは試し打ちをするようにと促す。

「うむ、確かにそれは一理あるな」と柊。

「そうっすね~試し撃ちしてみるっす」と朴と柊は試し撃ちをしにいく。

 目立ちすぎる大きな装飾もついて本物の純金ではないとはいえ使っていた練習用のガンに比べて相当重いと思う。ハンドガンは片手で狙うので重すぎるのはマイナスになる可能性がある。そしてリボルバーの最大の欠点は音である。音があると敵チームに居場所をバラすことになるのでマイナスになる可能性がある。

 試し撃ちが終わり下を向いて落ち込んだ様子で歩いてくる朴と柊。

「お、重いっす……。片手で打ち続けるのはちょっとキツいかもっす。あと音が自己主張しすぎるっすね」

 だと思ったよ……。

「試合にもよるけど、ハンドガンを多用する場合も考えるともう少し軽めで音が静かめの銃がいいと思うよ」

「そうっすね。ちゃんと考えて選ぶっす」と朴は真剣に銃を選び始める。

「色々と試してみるといいよ~」

「そうだな、こっちの翼がついているのはどうだ?」と柊はまた見た目重視の銃を手に取る。

「おお、いいっすね。これ試してみるっす」と朴と柊はスキップしながら試し撃ちに向かう。

「おい、二人ともオレの話を全く聞いてないだろ?」

「まあまあ、一旦任せてみてもいいのでは」

 少し疲れたな……小さなため息が出てしまう。

「羽柴、少し休憩しないか」

「そうだね、ちょっと疲れたね~休憩しよっか」

 オレたちは非常階段のベンチに座って一休みをすることにした。


「羽柴、お疲れ様」

 百合はイチゴみるくのペットボトルを買ってきてくれる。

「イチゴみるく……」

 オレは百合から可愛らしい飲み物を渡され思わず笑ってしまう。

「あれ? 嫌いだったか? 苺が好きなのかと思って……。ほら、さっきも」

 百合は大真面目でオレのことを思って買ってきてくれたらしい。

「あ、ごめん~なんか淡いピンク色が可愛いなと思って、つい面白くなっちゃって。オレ、苺好きだよ~ありがとう」と言ってイチゴみるくのペットボトルを受け取り一気に半分位飲み干す。

「そんなに一気に飲まなくても……」

「いや~ちょうど喉が渇いててさ~。うん、甘くて美味しいね~。疲れた時は甘いものが一番だね」

「部長は色々と大変だな、本当にお疲れ」

「そうなんだよ~大変なんだよ~そんな大変な部長をサポートしてくれる人はどこかにいないかな~かな~」とチラリと百合の方を向く。百合は察しているのか顔を合わせようとしない。あれ、こういう流れじゃなかったのか……。

 沈黙が続く。

 気まずい……何か言わなくちゃ……と思っていると百合は小さくため息をつく。

「仕方がないな……たまになら手伝うよ」

 百合は両腕を腰にやり首を少し傾け眉をへの字にして笑う。

 手伝うよ! というより大変そうで少し可哀想だから手伝ってもいいよ。そんな感じだけど嬉しい!

「百合君、ありがとう!!!!!」

 オレは嬉しくなって百合に肩を組んでしまう。百合はハイハイというようにオレの背中をポンポンと叩く。

「はいはい、わかったから」

 オレは少し強く肩を抱きしめる。そして左目から一粒の涙がこぼれる。

「は、羽柴……くっつき過ぎだ……」

「もうちょっとだけ……」

「しょうがないな……」

 百合はオレが涙を流したことに気がついたのか、オレの背中を優しく叩く。

「……お前らやっぱり……」

 柊は壁に半分隠れてオレらをじっと見ている。

「お前は忍……いや、ストーカー変質者か……」とツッコむ。

 柊のタイミングはまた……。

「な、なんだと!! 俺のどこが変質者だ!」

「いや、半分隠れて見ている感じとか……え? まさか自覚がないのか……」

 柊は自覚がないらしくショックで停止状態になる。

「しょうがないな~試しにオレが実践してあげるよ。柊は百合の隣に立ってて」

 オレは柊と同じように壁から半分だけ顔だけが見える状態を実践する。

「うむ……確かに……怪しい感じがしないでもない……かもしれなくもない……」

「なんだ~それ。認める気があるの? それともないのか?」

 柊のコトバに可笑しくなり思わず笑ってしまう。

「仕方がない……み、認めようじゃないか……」

「わかってくれたならいいよ~」

「いや、その話ではなくだな……」

「あ、そうそう。百合君が部活のサポートをしてくれるって~助かるよ~」

 オレは百合の肩に手を乗せる。

「お、そうなのか。待ちくたびれたぞ! これからよろしく頼むぞ」と柊は百合の肩を叩き、そしてガッチリと抱き着き背中を叩く。

「力強いな。ホントお前らの距離感はなんなんだよ……。まあ手伝える時だけな。期待はするなよ」と百合は眉をハの字にして愛想笑いを浮かべる。

「百合君に合いそうな武器はなんだろうな」と柊はサポートの意味を勘違いし、百合の武器種を考え始める。

「え、いやサポートだから競技者として出場するわけじゃ……」

「残っている武器といえば……アーチェリーとか」と柊は目を輝かせながらアーチェリーを引くようなポーズをみせる。

「響空君、だからさ……俺は競技者じゃなくてだな」

「うん、聞いてないと思うよ~。柊と朴は自分の世界に入ると人の話を聞かないのが問題だよね~」

「ああ、そうだな」と百合は呆れた表情でため息をつく。


 オレはイチゴみるくのペットボトルを全て飲み干す。

「よし、休憩もしたし~もう一回、みんなの様子でも見に行きますか~」

「そうだな」

 オレと百合は柊を残し他のメンバーのもとへ向かう。

 柊は自分の世界に入り、いろんな武器のシミュレーションをしているようだ。


 各々の買い物が終わりお店を出る。外はあっという間に夜になっていた。夜の空は昼の曇り空とは違い、雲一つない一面に星が瞬く空に変わっていた。

「いや~みんなの武器が決まってよかった、よかった~」と両手を挙げて喜ぶ。

「自分に合うのが見つかって嬉しいっす~実際に使うのが楽しみっす」

 朴は両手で銃の形を作り、銃を撃ちまくる動きをする。

「わたしも今すぐにでも実践で使ってみたいです」と菖蒲は双剣が入ったケースを抱きしめる。

「僕もだ」と柾は槍が入った袋の肩掛けを強く握り締める。

「お~みんなやる気だね~嬉しいな~」

「俺のは一ヶ月かかる……早く使いたい」

 柊は幽霊のような暗さと存在感になっている。

「まっオリジナル装飾とかつけると時間はかかるよね~一ヶ月なんてあっという間だよ~」

 みんなの武器も決まり、本格的な練習がスタートできる。

 やるからには中途半端ではなく本気でやっていきたい。ステップアップするには……人に教わるか、実際に対戦するのがいいだろうけど……どうにかならないかな、明日顧問の先生に相談してみよう。

お読みいただきありがとうございました!

次回もよろしくお願い致します!

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