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第二十一話 樒チームのアンバト試合

 今日のキミはどんな世界をみせてくれるのかな

 キミが創りだす世界は本当に魅力的で憧れなんだ

★葵


 静まり返る会場。

「First half game. Ready go!」

 スタートの合図とともに兄貴達のチームメンバー全員が猛ダッシュしていく。さっき会った人たちとは思えないほど別人の姿。数十分前に見たフワフワとした雰囲気から一変……戦闘モードで目つきも放つオーラも全く違う。動きはとても素早く軽やかで動きを捉えるのが難しい。

 通常はシューターの人たちが陣地取りを行い、アタッカーの人たちは陣地取りが終わるまで待機の戦略が多い。理由はアタッカーの人が先に前に出るとシューターの人たちに狙われ攻撃を避けることが難しいからだ。だが兄貴達のチームはシューターとアタッカーのメンバーがペアになって進み、シューターの柚と蓮が陣地取りをしながら並行してアタッカーの撫子と菫が相手からの攻撃を防ぐという戦略を取っている。


 柚と撫子のペア、蓮と菫のペアで動き、樒は高みの見物をしているかのように後方で戦略を練りながらゆっくりと進んでいく。

「柚、蓮、パターンSの陣形」

「ラジャー」

「了解」

 次々にと的にカラーを当てていく柚と蓮。

「なんか楽勝だね」

「全然来ない」

「へへん、バンバーン」といくつかの的を狙い撃つ柚。

「楽しそうだね~柚」

「だって暇なんだもん、バーーン」

 柚が遊んでいるかのような振る舞いで的を狙っていると相手チームのアーチェリーの矢と銃のカラー弾が同時に柚の胴体を狙う。

「うん、残念」と撫子が華麗な舞のようなしなやかな動きで矢と弾を防ぐ。

「お~撫子先輩、さっすが~。じゃあ僕も~」

 柚は猛ダッシュして相手チームのアーチェリー競技者に銃を向ける。柚は相手チームの矢と弾に足を同時に狙われるがバク転をし躱す。柚は着地しアーチェリー競技者に弾を当てる。と同時に蓮の矢も同じくアーチェリー競技者に当たる。蓮はすぐ方向転換をし相手の銃競技者にも矢を当てる。

「蓮ちゃん、さっすが~」

「お前もな」

「うんうん、頼りになる一年生コンビだね~。撫子も相変わらずお美しく」と余裕の樒。

「どうも。そろそろ前線に来たら? リーダー」と撫子。

「そうだね~。あ、そうそうやってみたいことがあるんだ! みんな協力してよ」

 樒は次の一手をメンバーに伝える。

「んじゃあ、いきますよ~」

 樒が走って前線へやってきたかと思うとそのまま相手陣地へと向かう。柚と蓮は樒の進む道をつくっていく。対戦相手はその戦略に驚き、慌てて結果個人プレーになり、タイマンを張るようなやり取りがはじまる。当然、チームが崩れてしまうとその先にあるものはただ一つ……。

 相手チームはパニック状態となり、慌ててアーチェリーと銃の競技者が樒を狙うが樒の奇っ怪な動きをするため矢も弾も当てられずに狙い続ける。樒は矢と弾を避けながら、剣、槍、双剣を持った相手に攻撃を仕掛ける。相手チームには樒しか視界に入らず樒以外のメンバーには背中を向けているという状態となる。

「うん、おまぬけさん」と撫子がふふと笑う。

「なにこれ~」とキャッキャと笑う柚。

「蓮、いくぞ」と菫が声をかける。

「了解」

「柚」と撫子が声をかける。

「は~い、撫子先輩」

 蓮はアーチェリー競技者に矢を当て相手が振り返った瞬間に菫がリボンを取る。同じく柚も銃競技者に弾を当て相手が振り返った瞬間に撫子がリボンを取る。相手のアーチェリー競技者と銃競技者は失格となる。そしてアタッカー同士の戦いになり、それぞれの武器競技者は兄貴、撫子、菫の一方的な攻撃を受け前半戦で全てのリボンを奪われあっという間の試合が終了する。


 スゴイ以外の言葉が出てこない、完璧なほどのチームプレイ……圧倒された試合だった。樒はチームメンバーの個性を理解して相手のチームの個性も理解した上で戦略を立てている。自分で戦いながら戦略を立てるという器用すぎる戦い方。オレが一緒のチームだった時は……練習は厳しかったけど、試合は笑顔も笑い声も聞こえた。楽しみながらやっていた気がする。変わったんだな……。


 人は環境が変われば心境も行動も変化するものだろうけど……そんなに簡単には全てを変えることはできないし、180度変わることも滅多にないだろうし、人が入れ替われば適応するまで時間はかかるだろうし、そう考えると臨機応変に対応が出来る兄貴とそのメンバーたちには信頼関係が成り立っていて強い絆で繋がっているということなんだろうな。


 本当に兄貴は……オレの憧れなんだなと思い知らされる。でもオレはオレだから自分なりに自分らしく、みんなでチームを作っていきたいと思う。

お読みいただきありがとうございました!

次回もよろしくお願い致します!

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