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番外編:ユーシャ様、ゼニゲバ様はお爺ちゃんになりたかった!?☆☆

番外編は3話続きます(^^)



******



 今日は気持ちいい程に晴れ渡った空、洗濯物も早く乾きそうですね。


 さて、家事もひと段落しましたし、ヴァンとお茶でも飲もうかしら…なんて考えながらカゴを抱えて家に入ろうと思ったところ、転移魔方陣が光り出しました。


「ゼニール様、いらっしゃいませ」

「シア、ここでは様付けや警護で話すでない、ワシはお前の()()お爺ちゃんなのだからの」


「あ、そうでした。お爺ちゃん、いらっしゃい。今日はどんなご用事ですか?」

「ふむ、そろそろ魔法陣の()()()()()を行う時期と思うての…」



 ふふ。若者言葉は苦手なくせにすぐに使いたがるのよね。メンテナンスなんかじゃなくて、点検って言えばいいのに



「メンチナス?それってなんですか、ゼニール爺さん。シア、なんか旨そうな名前だし、今日はそのメンチナスってやつにしてくれよ」

「えぇ!今日はお魚の予定なのに……」


「こりゃ!!ヴァン、お前の方は逆にどんどん気さくになり過ぎじゃ!!もちっと年寄りを敬え。シア、ええんじゃよ。ワシは魚派じゃからの」

「え……爺さんも、ちゃっかり食べて行くんですか?」


「……シア、本当にこの男で良かったのか?今すぐ考え直してはどうじゃ、ん?」

「すみません、普段はとても優しいんですよ。今はお腹が減って少しイライラしているのかも…」



 もう、二人は顔を合わせるとすぐにわちゃわちゃするんだから。お互いに本気で嫌がっているわけじゃないのに……男の人ってホント面倒ね。



「クンクンクン……ワン、ワン!」

≪ん、んん?このおっさん臭は、あのおっさん臭のだな!ナカマ、アイツ来てんだろ?≫



 ここにもいたわ……ユーシャ様は悪態をついている割に、いつも尻尾はぶんぶん振っていらっしゃるのよね。それにお爺ちゃんが持って来ている干し肉(ジャーキー)が狙いなのも知っているんですからね?



***



「はぐはぐはぐ……!!」

≪今日は魚のほぐし実と温かい葉っぱ、そんでジャーキーか、魚と肉のちゃんぽんだな。うまっ!≫



 結局、ヴァンからのジト目を物ともせず、お爺ちゃんは一緒に夕食の席についた。この太々しさ、さすが魔術師長は伊達じゃないってことですよね。



「うんうん、このパンはシアが焼いたものじゃな?格別にうまいのう~」

「あ、あのねお爺ちゃん……」


「それは俺が焼いたやつですけど。お口に合って良かったです」

「……ワシは一応、お前の自称義祖父じゃぞ?ちったぁ空気読むとかできんのか?ん?」



 ヴァンは火力調整も上手だから、毎日パンを焼いてくれるのよね。自分で焼くよりも美味しくて、初めて食べた時は感動したっけ。パン作りは結構重労働だから、正直すごくありがたい。



「そんなことより、シア駄目じゃないか。お前の魚の半分を、この老い先短い爺さんにやっただろ?俺に二匹もなくていいよ。ほら俺のやるからちゃんと食べろよ、立派な子を産んでくれるんだろう?」

「ヴァン……でも、それじゃあ足りないんじゃない?」

「ちょい、ちょい、ちょーい!!老い先短いは余計な一言じゃが、それよりも子、子じゃとぉぉぉ!!ワシは初耳じゃぞ!?い、一体いつの間にっ!!」


「いえ、まだ身籠っているとかではないんです。ヴァンが、私の体格では出産に耐えられないんじゃないかって心配してくれて、もう少し太らないと駄目だと言われているんです……」

「ホッ……そういうことか、なるほど。確かに、ちとシアは小柄じゃからの。ヴァン、見直したぞ」

「俺はシアの身体が一番大切ですから」



「ワン、ワン!!くぅ~ん」

≪お?なんかデンチューからまた好き好きフェロモンが出てんぞ?おっさん臭の前でやっちゃうか?キーッス、キーッス!ちぇっ……なんだ、やんねぇのか。まぁ、おっさん臭が邪魔だよな≫



「ユ、ユーシャ様!しぃっ!!ほぉら、ボールですよ~それっ!!」


「バフッ!ハッハッハッ……」

≪お!遊ぶのか?やったぜ!ボール投げだ!待てぇ~……≫



 ふぅ……ユーシャ様がこうやってちょこちょこ冷やかしてくるのが困りものです。本当にフェロモンに敏感でいらっしゃる……早くユーシャ様にもお嫁さん見つけてあげなきゃ。欲しがっているものね


 それにしても本当にヴァンが私に甘い……さっきの蕩けるような視線にもドキッとしちゃった。交際0日婚だけに、結婚前とのギャップがすごくて、なんだかもの凄く恥ずかしい。

 今までの素っ気ない感じとか、揶揄ってきていたのは別人なんじゃないかって思うくらい、本当にいい旦那さんです。結婚生活って友達の延長みたいなものなのかなとお気楽に考えていた自分が恥ずかしい



「私には母親がいないし、魔術が少しと古代語以外は無知でからっきしだから……それ以外はヴァンに少しずつ教えてもらっているんですよ。ね?ヴァン」

「ああ、そうだな」

「おお……それはワシが悪かったの、女性にしかわからないこともあっただろうに…すまんかった」



 あ、別にお爺ちゃんを責めるつもりはなかったんだけど……かえって気を遣わせちゃったかしら?男性だもの知らなくて当然よね。ヴァンは平民だから、男性も女性も共働きだったりするし、家族で協力し合うのが当たり前の家庭で育ったからというのもある。



「いえ、そこはもう大丈夫なんです。でも、ヴァンのお母様から出産は相当な体力が必要だって聞いてはいたんですけど、子育てにも相当体力が必要でしょうし……やっぱりもっと食べなきゃですよね」

「まぁ、そうみたいじゃのぅ……」


「……シア、俺ちょっと畑からナス採ってくるわ。ユーシャ様も畑に行きましょう」

「え、今からナスを?もう~!やっぱりお魚が足りなかったんじゃない」


「キャン、キャン!!」

≪なんか【行く】って言ったよな?散歩か?今日は多めだな。デンチューは走るのも早いから散歩も楽しいんだよなぁ。ナカマの歩き方も景色を眺めたりできて、それはそれでいいんだけどよ≫



「のぅシア、やはりヴァンではなく、他の者にせんか?ウチの養子にさえ入れば……」

「ごめんなさい、お爺ちゃん。貴族籍に入れると言っても、やっぱり育ってきた記憶はほとんど孤児院だったし…そんな私がお貴族様の家に入ってうまくいくとは思えないわ。それに、二人でこの祠を守っていくって決めてるもの」



「ふぅ、そうじゃな……これ以上反対して、息子の時のようにシアにまでいなくなられては敵わんわい。じゃが、困った時は、すぐにワシを頼るんじゃぞ?」

「はい、ありがとうございます。おじぃ……きゃあ!ヴァン!!」



 いつの間にかナスの収穫を終えたヴァンと土まみれのユーシャ様が戻って来て、背後に立っていた。なんだかちょっと怒ってない?満足のいく収穫ではなかったのかしら……



「爺さん、俺は絶対にシアを…いや、シアと一緒に幸せになるから、心配しないでくれ」

「そうか…って、おい!なんで偉そうなんじゃ!()()()シアを嫁に貰ったんじゃ、幸せにならないわけがなかろうが!!そもそもワシが古代語を教えてやったお陰で結婚できたようなもんじゃろうが!もっと感謝せんかっ!!」


「爺さん、訂正しろ。()()シアだ。辛うじて爺さんは身内認定はしているけど、あくまで「俺のシア」だから。()()()()シア。古代語だけは感謝はしている。だけど、成功したのは自分の努力の賜物だ」

「シアーーー!!やはりこいつはダメじゃ!!ワシは許さんぞぉぉぉぉ!!」



「もう、二人共ケンカしないでーーー!!」

「ワオーン!!」

≪よっしゃ、またおっさん臭とデンチューのじゃれ合いか?オレも加わっていいか?≫



 ユーシャ様も飛び込んで行かないで!やめて下さい!!




 今日も騒がしく、わちゃわちゃした一日でした……ハァ




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