表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/29

25:ユーシャ様、私は不治の病かもしれない!?☆☆☆

修正前のものをアップしてしまいました(涙)寝落ちで保存し損ねて…↓↓こちらが修正したものです。



******



「ボフッ、ボフッ」

≪この辺はオレの毛並みがペショペショした感じになるな。さっきの場所はすごく気持ちよかったのに≫


「ここが最後の祠なのですね……なんだか木が鬱蒼(うっそう)としているせいか、全体的に暗くてジメジメしています」


「ここは他の二ヶ所に比べると、遥かに目立たんし、周辺に人の気配すらないのう」

「今はユーシャ様の御力で何とか抑えている程度で、放っておけばまた瘴気は発生するだろう」

「この様子ではそんな感じがしますね」



 ユーシャ様も先ほどまでは山の木の香りに包まれていたからか、いつもよりも回数多くご聖水を振り撒いていらっしゃいますが、それでもこの祠の周囲のみ、はっきりと晴れ渡ったような様子は見られません。やはりゼニゲバ様が言うように、ここだけ他の二ヶ所と違い、長い年月放置されて荒廃してしまった祠なのだと伺えます。



「ふぅむ…ここだけは長期的に見なければならんようじゃのう。しばらく完全浄化が済むまでは、ここにしばし留まり、浄化を続けねばなるまい、のう?シアよ」

「うむ。私も団長職をいつまでも副団長に任せたままでいるのも心苦しいですからね。なんとも困りものだ…なぁ?ヴァン」


「え……っと、それでは私がユーシャ様と残って…」

「馬鹿者!!シア、おなごのお前が一人では、どう考えても危険じゃろうが…のう?ヴァン」


「それは、もちろん俺も残った方が…」

「おお!ヴァンも残ってくれるか!?それならば安心じゃて」

「いやぁ、ヴァンが名乗り出なければ、私が…と思ったが。やはり年の近い者同士の方が気を遣わなくて良いかもしれんな」



 お二人共やることが少ないから、きっと手持無沙汰なのね。まぁ確かにほぼユーシャ様の御力頼みだもの、腕が(なま)ってしまうかしら。


 忘れかけてたけど、お二人共、魔術師長・騎士団長職を持っていらっしゃるんだもの、ここ数日待機して様子を見て来たけど、脅威がない中で留まらせてもいいご身分ではないわ。



 こうしてゼニゲバ様は転移魔術を施してオツカレ様と帰って行きましたが、一応 定期連絡及び非常時の脱出用に王都への転移魔法陣をそのまま残して下さいました。


『やっぱり魔術師長は伊達じゃないんだな』と、帰ったあとにヴァンが言っていて、『失礼な!』と思えども、私も実はちょっと思ってしまったのは内緒です。




******




 月日はあっという間に流れ、約一年ほど経ちました。ユーシャ様とは、月にニ回は他二ヶ所の祠を転移魔法陣を活用しながら巡るお散歩を日課としています。



 二人と一匹の生活は順調そのものです。ヴァンの実家が大工仕事も請け負っていて、間引いた木材で彼がなんでも器用に作ってくれるのです。

 若干職業が騎士から大工に変わっているような気もしなくもないですが、毎日槍の鍛錬も続けているので、騎士を辞めてはいません。

 

 お陰で初めはポツンと小屋が二軒あっただけでしたが、ヴァンが『一緒に食事ができた方が効率がいいだろ?』と私の小屋を拡張し、台所と小さな食事スペースを作ってくれました。


 秋口には『山の中は寒いから風呂があった方がいいだろ?』とお風呂まで作り、更には『俺の小屋は大工道具で溢れているから、シアの小屋を広げよう』と言ってお部屋は広がったけど……改築した部屋には、なぜか三人は寝れそうな大きなベッドがドーンと一つだけ置かれていた。

 

 首を傾げた私に『資材の関係で一台しか作れなくてさ。それに寒い冬は一緒に寝た方が暖がとれて節約になるぞ。俺は体温高いし』と言われて、私的にはユーシャ様をお借りして暖を取ろうかと考えていたのですが……



「それじゃあ、ユーシャ様が休まらないし、温かいのは上だけだろ?シアは小さいから俺なら全体的に温められる。まぁ大型犬とでも思えよ」

「ぷっ!ヴァンが大型犬……?でも、確かにユーシャ様が私のせいで冷えるのは良くないわよね」



 ヴァンは私が節約好きなのをよく理解しているようです。痩せ気味の私は、寒さにはすごく弱いので助かります。

 でも、曲がりなりにも男女が一緒に寝るってどうなのだろう?と思ったけれど、『平民なんて兄弟が多いと一緒に雑魚寝がざらだろ?』と言われ、なるほど兄妹のようなものか!と納得しました。


(そういえば孤児院でも、寒い冬はみんなでくっついて寝ていたっけ)



 冬の寒さが厳しい季節は、ヴァンが頑丈に建ててくれたので、隙間風は入っては来ないものの、寒いものはやはり寒い。二人でくっついて寝るのは大変に心地良く、よく眠れました。ヴァンは本当にポカポカで羨ましい!結局ユーシャ様も暖を取りに、冬は自ら私達のベットへ来ていたのでモフモフ天国でした。

 


 ふと気付けば、いつの間にかヴァンがおでこにおやすみのキスをするようになっていました。


 私の(おぼろ)げな記憶の中に、小さい頃両親からしてもらった記憶があり、とても懐かしくなりました。きっとヴァンもそういう感覚なんでしょうね。



「なんだか、私とユーシャ様とヴァンで家族っぽいわよね」

「そ、そうだな。もう家族(夫婦)って感じだよな」

「ワン!」

≪ポイって?どこにボール投げたんだ?おい、どこだよ~≫


 

 ただこの前は、「おやすみなさい」とキスをするタイミングでユーシャ様が飛びついてきたので、口に当たってしまい……事故とはいえ、すごく恥ずかしくてあわあわしてしました。


 その日はどうしてもヴァンの方を見れなくて背を向けてベッドに入りました。

 

 それなのにヴァンが『それじゃ寒いだろ』と言って後ろから抱き締めてきて……ドキドキが倍増で翌朝は顔を直視できませんでした。


 人はあまりにもびっくりし過ぎると、ドキドキがしばらく続くのですね。もうそんな状態がすでに一週間、こんなことは初めてです。

 少し心配になって、それをヴァンに伝えると『それは病かもしれないな』となにか彼が思い当たる病気に、私は(かか)っているらしいのです。



「ねぇ、私死んじゃうの?この心臓がドキドキしているのが止まってしまったら、人は死ぬんでしょ?」

「シア落ち着け、そういうのじゃないって。でも、本当に予想のものなのかどうかを確認してみてもいいか?俺の勘違いだったらぶん殴って構わないから」


「確認……?勘違いで殴るって意味がわからないわ。ヴァンは医学の勉強でもしていたの?」

「いや、割とよくある病なんだ。時に厄介で、時に甘やかで、時にほろ苦い。自分ではどうしようもない病なんだよ」


「なにその甘いくせに、苦いって……薬の味の違い?」

「どうかな?シアがどう感じるかはわからないけど」


「う、うん。何か怖いわ…」

「大丈夫、じゃあ目を閉じて……。嫌だと思ったらホント殴っていいからな?」



 言われた通り目を閉じる。私が目を閉じて見えないから支えようとしているのか、ヴァンの手が私の両肩に触れている。痛くなる病気とか、余命幾ばくもない状態だったらどうしよう……怖くて余計に瞑る目にぎゅっと力が入る。


 ヴァンも診断するのに緊張するのか、ふぅっと息を吐いていた。その直後に初めはささくれ立った唇の表面、そしてフニっとした感触……


(えぇ!!これってキスじゃないの!?)


 でも、病気の確認って言ってたわよね?と思いながらも脳内はパニック、私は棒立ちのまま硬直状態だった。



「……急にごめん、嫌悪感とか感じたか?」

「え、嫌悪感?ヴァンにそんなことは感じないけど。ただ、緊張しちゃうってだけで。ねぇ、でもこれって…」



 どう考えてもキスとしか思えないのに、嫌悪感はなかった。むしろ胸がドキドキと高鳴るばかりだ。

 唇は離れているものの、ヴァンの顔が近くにあるせいで、そちらも気になってしまう



「……ホントに?そうか、うん。そうかぁ……。ダメだったら大人しく殴られて、土下座してから出て行く覚悟だったんだけど」

「なにを言ってるの?それより、こんなキ、キスみたいなことで、本当に私の病気がわかるの?」



 何を一人でそわそわしながら口元押えているのよ!目元が笑っている時点で、にやけているのバレバレなんだから!!ヴァンって昔からこうやって一人、脳内で私を笑っているのよね。こっちは生きるか死ぬかくらいに悩んでいるのに!

 

 でも考えてみたら、魔力を流して検査とかそういうのはヴァンはできないはずなのに、どうして口から検査をしたの?


 基本的に病気になっても気合でなんとかしてきた身としては、最新の診断方法等は全くわからない



「うん、まぁそっちは最後に教えるさ」

「え!?なんで今じゃないのよ!」


「まぁ待てって。なぁシア、お前はこのままここに住み続けたいと思ってないか?幸い、王都ヘの行き来はゼニール様が施した転移魔法陣ですぐに行けるし、案外ここでの生活も悪くないなと俺は思うんだ」

「…正直、思ってる。山菜も採れるし、川魚もいるし、お肉もヴァンが狩ってくるものね。食費がほとんど掛からなくてとても良い場所なんだもの」


「そう、お前の趣味は節約だからな。ちょうどいいだろう?」

「そうだけど……でも私はともかく、あなたはせめてお嫁さんを見つけてからの方がいいわよ。一応国を救ったユーシャ様の御一行メンバーなのよ?」


「俺の、嫁?」

「そう、私とユーシャ様なら祠付近に小さな小屋を建ててくれたら十分だし。少しリフォームすれば、この立派な家だもの、きっとお嫁さんもすぐに見つかるわよ」



 自分で言っておきながら、この二人で過ごした家が、ヴァンのお嫁さん好みに替えられてしまうと思うと胸がチクッと傷んだ。人がいる生活に慣れてしまったせいで、一人に戻るのは少し寂しい。遠目にでも、ヴァンとお嫁さんの仲睦まじい様子を見なければならないのも……



「ふぅん……?なるほど、そうきたか。ここまでしてもまさかダメとは……確かに普通じゃ駄目なんだな」

「どうきたって言うの?それよりも私の病名はなんなの?」



 早く教えて欲しいのに、ヴァンは目を(つむ)って腕を組み、なにかをウンウン考えているようだ。そして少しの思案後、ようやく腕組を解除したと思えば、訳のわからないことを言い放った



「よし、俺も男だ!覚悟を決める!!」

「なんの!?」



 そんなに覚悟を持たないと伝えられないくらい、危険な病気なの私!?






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ