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転生妻の帰還3

よろしければ、お読み下さい。

「お、王子様が到着したようだぞ」

ヴァルトルが、視線をアニエス達から外して言った。耳を澄ませば、馬車の走る音が聞こえる。その音はどんどん大きくなっていき、じきに裏庭に一台の馬車が現れた。狭い庭に勢いよく入って来た馬車は、大きな音を立ててアニエス達の側に停まった。

「アニエス、大丈夫!?」

そう言って馬車から顔を出したのは、アニエスがずっと会いたいと思っていた人物。

「……エルネスト殿下……!!」

エルネストが馬車から降りてくる。次の瞬間、アニエスはエルネストに抱き着いていた。

「殿下……エル様……。会いたかった……私、離縁しないで済むっす。ずっと……エル様の妻でいられるっす……」

「うん、そうだね。皇帝陛下から話は聞いたよ。……よく頑張ったね。僕も、ずっとアニエスと夫婦でいる事ができて、本当に……嬉しいよ」

エルネストが、アニエスをきつく抱き締めた。アニエスの目には、涙が浮かんでいた。


 アニエスは、資金援助についての交渉の過程を手紙でレーヴ王国に送っていた。しかし、その手紙が届く前に、アニエスが心配なエルネストはクヴィエト帝国に向けて出立していたのだ。


「アニエスを迎えに来てみれば、民衆が城を取り囲んでいたから驚いたよ。クーデターでも起こっているのなら、アニエスの命が危ないと思ったけど……良かった、無事で」

 男達は、抱き合う二人を見て口を開く。

「おい……あの金髪の貴族、アニエス妃と抱き合ってるぞ……」

「それにあの馬車にある紋章、レーヴ王国の王家のものじゃないか?」

「じゃああの方が、レーヴ王国の第二王子……」

「俺達、あの二人の仲を引き裂こうとしていたのか……」

「悪い事したな……」

 エルネストは、微笑みながらアニエスに言った。

「帰ろう、僕達の国に」

「……はい!」


 その後、ヴァルトルが民衆に向けて魔物対策についての演説を行った事で、民衆の騒ぎは収まった。帰路に就くアニエス達を見送りに門まで出てきていたヴァルトルは、優しい笑顔で言った。

「じゃあな、お二人さん。末永くお幸せに!」

「ありがとう、ヴァルトル皇太子殿下」

「お世話になりました。クヴィエト帝国の平和と繁栄、それとヴァルトル皇太子殿下の幸せをお祈りしております」

エルネストとアニエスは、礼を言うと馬車に乗り込んだ。

「あ、そうそう、ヴァルトル皇太子殿下」

「なんだ、アニエス妃」

「……ユスティーナさんの事、幸せにしてあげて欲しいっす」

ヴァルトルは、目を見開いた後、ニカっと笑った。

「もちろんだ!あいつを世界一幸せな皇太子の妻にしてやるよ」

 馬車が走り出した後、ヴァルトルはその姿が見えなくなるまで手を振っていた。


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