転生少女と真相4
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もう夜中なので、アニエスは城の客室に泊まる事になった。エルネストが客室に案内してくれる事になり、二人は廊下を歩いていた。
「そう言えば、塔の部屋で素振りをしてたって聞いたよ。やっぱりアニエスはアニエスだね」
「……リュシエンヌ妃殿下の前で素振りをしたかと思うと、恥ずかしくて消えてしまいたいっす」
「本当にいなくならないでね」
「いなくならないっす。エルネスト殿下の側にいたいので」
部屋に着いた。アニエスは、ドアを開けようとする手を止めて言葉を続けた。
「……塔にいたのは三日間にも満たないですが、エルネスト殿下と二度と会えなくなるかもしれないと思うと……すごく不安でした。無実だと証明されて、良かったっす」
それを聞いて、エルネストは天を仰ぎ、右手を目の辺りに当てた。
「……殿下?」
アニエスは振り返って、不審な者を見るような顔をした。
「そんな可愛い事言わないでよ。理性が飛びそうになる。……でも、これくらいはいいよね」
エルネストは、アニエスの腰に腕を回して抱き寄せると、唇を重ねた。
「……っ!」
アニエスの顔は、今までになく赤くなった。
「赤くなった顔も可愛い。……じゃあ、おやすみ、アニエス」
そう言って、エルネストはその場を後にした。アニエスは、しばらくその場を動けなかった。
約二か月後、アニエスはなんとか卒業試験をパスした。そして、今学園では卒業式が行われている。第二王子であり、首席で学園を卒業するエルネストが、卒業生代表で挨拶をした。その姿を、アニエスは微笑んで見つめている。
卒業式が終わった後、アニエスは学園の庭で卒業証書を眺めていた。
「アニエス、ごめん、遅くなった」
エルネストがアニエスの元に駆け寄って来る。今日は卒業パーティーがあるので、二人で一緒に王城に行って準備をする予定なのだ。
「そんなに待ってないので大丈夫っす」
エルネストは、教師達に挨拶したりと忙しかったらしい。エルネストは、アニエスの持っている卒業証書を見ると微笑んで言った。
「……アニエス、卒業おめでとう」
「エルネスト殿下も、卒業おめでとうございます」
しばらく沈黙が流れた後、エルネストが口を開いた。
「……アニエスに、渡したい物があるんだ」
「渡したいもの?」
エルネストは、鞄から小さい木箱を取り出した。
「これを受け取って欲しい」
アニエスは、卒業証書を鞄に仕舞い、木箱を受け取った。
「開けてもいいですか?」
「うん、もちろん」
木箱を開けると、そこには、青い宝石が嵌められている銀色の指輪があった。
「……これは、もしかして……」
「結婚指輪だよ。父上と母上に結婚の許しも得たし、もうすぐガイヤール家の養女になるだろう?君が正式に貴族になったら、すぐに結婚したい」
「……ありがとうございます、嬉しいっす」
アニエスは、目に涙を溜めて微笑んだ。
青空の下、アニエスは幸せを噛み締めていた。
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