転生少女と真相2
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その日の夜、コンスタンスの自室を訪れる者がいた。ドアに差し込んだ鍵を回すと、カチャリと音がする。静かにドアを開けると、その人物はベッドに近付いた。
目の前には、シーツを頭まで被って寝ているコンスタンス。侵入者は懐から小型のナイフを取り出すと、コンスタンスに向けてそれを振り下ろした。
しかし、コンスタンスの身体に届く前にシーツから腕が伸びてきて、ナイフを持つ右腕を掴んだ。
「やっぱり来たっすね」
そう言って起き上がったのは、コンスタンスではなく――死んだはずの、アニエスだった。
「なっ……!」
侵入者は、驚きの声を上げるしかなかった。
「アニエスを囮にするのは気が進まなかったんだけどね」
部屋の隅に隠れていたエルネストが出てくる。
「まあ、アニエスが囮になってくれたおかげで、こういう状況を作る事が出来たんだけどな」
フレデリクも出てきて言葉を発した。
「もう言い逃れ出来ないわよ」
コンスタンスまで出てきた。
「よくも私に罪を擦り付けてくれたっすね。お返しはさせてもらうっす」
アニエスはそう言うと、ナイフを叩き落とした後侵入者の腕を捻り上げ、地面に組み伏せた。
エルネストは、侵入者に向かって笑顔で言った。
「僕の婚約者に濡れ衣を着せようとしたんだ、相応の罰を覚悟しておくんだね――ミストラル宰相」
ブリュノ・ミストラルは、唇を噛んで下を向いていた。
ブリュノは、広間に連行され、尋問される事となった。広間には、コンスタンスの寝室にいたメンバーの他にレオナールも姿を見せていた。
「何故暗殺などを企てた?」
レオナールが口を開いた。ブリュノは、無言を貫いている。
「まあいい。大体の事はわかっている。……お前、エトワール商会を王妃に紹介する代わりに、商会から金を受け取っていただろう?」
ブリュノの眉が動いた。
「それと、エトワール商会の経営状態や労働環境が良くないのを隠す手伝いをしていただろう。王妃が贔屓の商会を変えた事で、エトワール商会から見返りを貰えなくなったのを恨んだんだな。……王妃がいなくなれば、またエトワール商会と繋がれるかもという打算があったのかもしれないが」
「それで、どうして私の名を使って殺害を依頼したっすか?」
アニエスが、ブリュノを見て言った。
「あ、それは俺が言うよ」
フレデリクが口を挟んだ。
「こいつ、自分の娘をエルネストの婚約者にしようとしていたんだ。だから、以前からアニエスの事が邪魔だったんだな。それで、あわよくばアニエスに罪を着せようと思ってアニエスの名を使ったんだ」
「はあ……そうだったんですか……」
「僕は、アニエス以外の婚約者なんて考えられなかったけどね」
エルネストが笑顔で言う。
「何でこの女なんだ!」
ブリュノが突然叫んだ。
「平民で、学力が特別に高いわけでもない。いくら魔術で魔物を倒したと言っても、第二王子の婚約者には相応しくない。私の娘を選ぶべきなんだ!」
「いいえ、彼女はエルネストの婚約者に相応しい女性です」
そう言って、一人の女性が広間に入って来た。茶色い髪を一つに纏めて、黄色いドレスを身に纏っている。緑色の瞳でブリュノを見据えるその女性を見て、アニエスは呟いた。
「……リュシーさん……いや、リュシエンヌ妃殿下……」
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