転生少女と雪の国2
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部屋に入ると、二人はハッとした。……広めのベッドが一つしかない。当然だ。一人用の部屋を二つ予約していたのだから。おかみさんは、二人が恋人同士だと思っているので、一緒のベッドでもいいと思ったのだろう。何も言わず去って行く。
「あー……ここまで、気が回らなかったっすね……」
アニエスが呟く。
「私、おかみさんに頼んでブランケットか何か貰って来るっす。私は部屋の隅で寝るので、殿下はベッドで寝て下さい」
「そんなわけにはいかないよ。僕が部屋の隅で寝る」
「第二王子にそんな事させられないっす」
二人は無言で睨み合う。外では、まだ吹雪いている音がする。アニエスが口を開いた。
「……よく考えたら、どちらが部屋の隅で寝るにしても、ベッドで寝なかったら寒くて風邪を引きそうっすね。……この際、二人で一緒にベッドで寝ましょう」
「さすがに、僕の理性が飛びそうなんだけど?」
「その時は、これで防御するっす」
アニエスが、木刀を握りしめる。エルネストは、溜め息を吐いた。
「まあ、アニエスがそう言うなら、いいか……」
その夜、二人は同じベッドに入り、背中合わせになるように横になっていた。アニエスは、木刀を抱き締めるように握っていた。
「アニエス、それで本当に眠れるの?」
「問題ないっす。眠れます」
「……そう」
エルネストは、違う意味で眠れなさそうだが。
「……あの、エルネスト殿下」
「何?」
「……いつから、私がマリユスの娘だと知っていたっすか?」
「半年くらい前からかな。アニエスと結婚したいって父上に相談したら、アニエスの出自を教えてくれたよ。結婚を周りに認めさせるのは大変だから諦めた方が良いとも言われた。……でも、諦めきれなかった」
「……そんなに思ってくれてたんすね。ありがとうございます。私も、殿下の気持ちに応えられたらいいんですが、まだ自分が殿下の側にいていいのか自信が持てなくて……」
「焦らなくていいよ。いつか僕の事を好きだと言ってくれたら嬉しいけどね」
エルネストは、一度アニエスの方を向いて、アニエスの頭を撫でながら言った。
「……じゃあ、おやすみ、アニエス」
「おやすみなさい……エルネスト殿下」
エルネストがまたアニエスに背を向けた。エルネストが紳士で良かった。木刀を握り締めてはいるが、エルネストに身体を求められたら、流されてしまうかもしれない。でも、それは駄目だ。
「……妊娠するわけにはいかないっすからね……」
アニエスは、エルネストにさえ聞こえないくらいの声で呟いた。
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