表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/75

悪役令嬢と転生少女1

よろしければ、お読み下さい。

今回はブリジット視点です。

 「エルネスト殿下、五分だけお話宜しいかしら?」

ある日の昼休み、エルネスト達のクラスに来たブリジットが笑顔で話しかけた。

「何かな?ブリジット嬢」

エルネストも笑顔で応えるが、穏やかな話じゃなさそうだと察した。ブリジットの目が笑っていない。

「先程、裏庭を通りかかったのですが、アニエスが数人の女生徒に取り囲まれていました」

「え!?」

「恐らく、アニエスに嫉妬して言いがかりでもつけていたんでしょう。アニエスが木刀で脅し……説得していたようなので大丈夫だと思いますが、行ってあげて下さい」

「わかった、ありがとう。……いつの間にかいなくなったと思ったら、裏庭にいたのか……」

走り出そうとするエルネストをブリジットが呼び止めた。

「エルネスト殿下」

「何?」

「……アニエスを不幸にしたら、私、あなたを許しませんから」

ブリジットは、鋭い目つきでエルネストを見据えた。

「……絶対幸せにする」

エルネストは、真顔でそう言うと、駆けて行った。その背中を見送りながら、ブリジットは呟いた。

「そうでなくては困ります……」


 ブリジットがアニエスと初めて会ったのは、ブリジットが十一歳の時。初め、ブリジットはアニエスにきつく当たっていた。アニエスの前に専属メイドだった女にしたのと同じように、お菓子を出すのが遅い、お茶がまずい、辛気臭いだの難癖をつけて虐めていた。

 しかし、アニエスは気にする様子もなく、淡々と仕事をしていた。そんな様子も気に入らなくて、ブリジットはますますアニエスにきつく当たった。


 「お前、そんな態度だといつか痛い目見るぞ」

ある日、ブリジットの兄のシリルが、眼鏡の位置を直しながら眉間に皺を寄せて注意した。シリルはブリジットより六歳年上で、当時十七歳。学園で優秀な成績を修めていた。栗色の髪に茶色い瞳を持つシリルは顔立ちも整っていて、女生徒の人気も高い。ちなみに、ゲームの世界ではシリルは攻略対象の一人だ。

ブリジットは、優秀過ぎるシリルにコンプレックスを抱いていた。ブリジットがいくら頑張って良い成績を修めても、シリルには敵わない。

「余計なお世話よ」

そう言って、ブリジットはリビングを立ち去った。


 アニエスが専属メイドになって二週間くらい経ったある日、ブリジットは貴族の令嬢を数人招いてテラスでお茶をしていた。

 「ブリジット様、今日も素敵なドレスですわね」

「先日のパーティーでのダンス、素晴らしかったですわ」

「知識も豊富で、私達と同じ年齢とは思えませんわ」

令嬢達が、口々にブリジットを褒めちぎる。ブリジットは、笑顔で「ありがとう」と言った。アニエスは、相変わらずきつく当たられていたが、無言でお茶を淹れている。


よろしければ、ブックマークやいいね等の評価をお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ