第88録 飛竜、死亡確認!
前回のあらすじ
・【阻害】祭
・やったか!?
「やった……のか?」
剣を振り切った姿のまま、シャルロッテさんがポツリと洩らす。
白銀の鎧に飛竜の返り血が飛び散り、なかなか凄絶な見た目だ。
あと、ちょっとフラグっぽいのでそういう台詞は止めていただきたい。
「取りあえず、死んでるかどうか確かめますよ」
「……頼みます」
力無く、だらりと口から舌を出す飛竜に対して、念のため【分析】をかける。
分析結果:飛竜の亡骸。中型種。全長15m。【移動阻害】【AGL阻害】状態。
「……大丈夫です。間違いなく死んでます」
流石に【分析】を煙に巻いて生きているということは考えにくいからな。
「シャルロッテさん、お疲「主殿ーーーーっ!」むぐぅ!?」
止めを刺したシャルロッテさんにお疲れ様を言おうとした所で、存在感のある柔らかいチョコレートが俺を襲う!
「やったでござるよ主殿! 我々、たった一パーティーで飛竜を倒してしまったでござる! 拙者、感激でござるよ!」
「ふぁふぁーな! ふるしい!」
戦闘中から妙にテンション高かったけど流石にこれは予想外だよ!
……し、しかしララーナ、やっぱり大きくて柔らかいな……じゃなくて!
普通に! 息が! 出来ない!
「幾ら主殿のスキルが凄いといっても、流石にここは一当てして退き、他の冒険者や王国軍と共に倒すことになると思っていたのでござる! それがなんと! 我々だけででござるよ!? やはり拙者の主は主殿を置いて他になし! でござるな!」
「む、むぐぐ……!」
駄目だ! ララーナの奴、テンション上がりすぎて全く俺の状態が分かってない!
いっ、息が……! 流石にこんな形で窒息死とか洒落にならない……っ!
「ララーナさん! そのままだとマキジくんが窒息しちゃいますよっ!」
「……はっ!? す、すまぬでござる主殿! 拙者ちょっと舞い上がってしまい……!」
「ぶはぁ! はぁ……はぁ……し、死ぬかと思った……!」
もう少しで意識が飛ぶ、と言うところでマールが助けに入ってくれた。
正直ララーナの胸に抱き締められたのは嬉しいが、文字通り天国に連れて行くのだけは勘弁してほしい。
「大丈夫ですか? マキジくん」
「あ、ありがとうマール。助かったよ……」
「もう、折角飛竜を倒したのにこんな形で倒れかけないで下さい」
「ご、ごめんなさい?」
あれ? 俺が悪いのこれ?
「す、すみませんマキジ。いきなりでしたから少々面食らって助けに入るのが遅れました」
「あ、あぁいえ、いいんですよ。それよりシャルロッテさん、お疲れ様です。これで任務達成ですね」
申し訳なさそうにこちらへやって来たシャルロッテさんに、ララーナに飛び付かれて言えなかったお疲れ様を伝える。
「いえ、それはこちらの台詞です。マキジがいてくれたからこそ、私はこうして無傷でここに立っていられる。ありがとう」
「そ、そうですか。お役にたてたなら何よりですよ」
むぅ、そう面と向かってお礼を言われるとむず痒いというかなんというか……
「うふふ~、相変わらずマキジくんは誉められると弱いわね~」
【マキジも意外と可愛いところある】
「……ほっといてください」
【そういうところ】
「ほんとほんと~」
テレる俺をマリアさんとエレミアさんが二人がかりで責めてくる。意外とマリアさんとエレミアさんて相性いいんだろうか……
そんなことをしていると、窪地の周囲が少しずつざわざわとし始めた。
「お、おい……まさかあれ……」
「うそだろ……たった六人だぞ……?」
「でも飛竜の首からあんなに血が……」
どうやら窪地の周囲に展開していた冒険者達が集まってきたらしい。
倒れた飛竜を見て、周りのメンバーとあれやこれやと話している。
するとその中から一人、大きな弓を持った男がこちらに声をかけてきた。
「……すまない! こちらは飛竜包囲部隊の者だが、君達は何者だ!?」
「私は飛竜討伐依頼を受けてやって来た【教会】の【勇者】シャルロッテ! 他の五人は私の任務に協力してくれたマキジという冒険者のパーティーだ!」
シャルロッテさんが男に答えると再び周囲がざわめきだす。
「【教会】の【勇者】! 来るとは聞いていたけどこんなに早く来てくれるとは!」
「あぁ! 流石【レムリアリア】にその名を轟かせるだけあるな!」
「おい、マキジって聞いたことあるか?」
「いや、ないのぅ。しかし【勇者】の供をするくらいじゃ。実力は高いのじゃろうて」
「……どうでもいいけど、なんでパーティーメンバーが女ばっかりなんだ? なんかムカつくわ」
「「「それはわかる」」」
……一部、俺に対する暴言が混じっている気がするが気のせいだろう。うん。
「こちらも【教会】の【勇者】が来ることは聞いていた! ……それで、そこに倒れている飛竜は本当に死んでいるのだろうか!?」
恐らくだが、彼等は俺達がここに来るまでの一週間、代わる代わる飛竜に攻撃を仕掛け続けたのだろう。
だから急にいま飛竜が倒れたと見えても、信じがたい部分があるに違いない。
「あぁ! 間違いなく死んでいる! もしそちらに【鑑定】スキルもしくは【鑑定】スクロールを持っている者があれば、使用して構わない!」
「わかった! 俺が持っているから、すまないが確認させてもらう!」
シャルロッテさんの言葉を受けて、懐からスクロールを取り出す男。そして……
「【鑑定】!」
スクロールが使用され、飛竜の状態が、男にも伝わる。
男はゆっくりと【鑑定】結果を見、少しだけ目を瞑ったあと、再び口を開いた。
「……確かに飛竜の死亡を確認した! 皆! 飛竜は死んだ! 家に帰れるぞ!」
男がそういうと、さっきまでのざわめきがピタリと止み、辺りは何故か静寂に包まれた……そう思った瞬間!
おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
と、周囲の冒険者達が一斉に歓声をあげ、まるで地鳴りのような大音量が響き渡ったのだった。
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