第84録 指揮官バルドレイ
前回のあらすじ
・野営地に到着!
・なんか冒険者達に期待されてる……
今回は野営地の指揮官に挨拶しにいきます
「よく来てくださいました、【教会】の【勇者】シャルロッテ殿。それで後ろの方々は?」
ララーナと別れた後、テントを出た俺達は野営地の中心にあるひときわ大きなテントへとやって来ていた。
そして今、俺達はシャルロッテさんを先頭にしてここの指揮官に会っている。元々呼ばれていたのはシャルロッテさんだからな。
ここは所謂、作戦会議を行うためのテントなのだろう、中には大きな机がひとつ置かれており、この山岳地帯の地図が置かれている。
地図の上にちょこちょこ置かれているのは配置だろうか? 中央に置かれた大きな駒を囲むように配置されているな。
「彼等は私の飛竜討伐に協力してくれる冒険者パーティーです。先日、ここへ来る前に雇い入れました」
「ほぉ、【勇者】に選ばれる冒険者パーティーということですか、成る程。お名前を聞いても宜しいですかな?」
おっと、こっちにまで興味が向いてくるとはあんまり思ってなかったな。
「ご紹介に預かりました冒険者パーティーのリーダーをしているマキジと申します。以後お見知り置きを」
指揮官殿に名前を聞かれたので、頭を下げて自己紹介をする。
ある事を事前に聞いていたので、言葉使いには出来るだけ気を付けて、だ。
「これはご丁寧に。冒険者はあまり礼儀には頓着しないイメージだったのだが、マキジ殿のような者もいるのだな。私はレムリア王国軍第八師団団長のバルドレイという。これでも一応、王家から爵位を頂いていてな。貴族の端くれなのだよ」
そう、この指揮官バルドレイさんはレムリア王国の貴族なのだ。
シャルロッテさんからテントにつくまでの間に色々と教えてもらっていたのだが、無駄にならなくて良かった。
「確かに私のような冒険者は珍しいかも知れませんね。だからこそシャルロッテさんに選んでいただけたのかもしれません」
「そうだな。【教会】の【勇者】が教養の無いものを共にしていた等と言うのは聞こえが悪い。流石はシャルロッテ殿、慧眼と言える」
……うーむ、典型的な貴族って感じだな。今のところの印象は。
「はい、マキジ殿達はこれからどんどんと名を上げられると思います。彼等と共に戦える事は、私にとっても大きな糧となることでしょう。それでバルドレイ殿、現在の状況をお聞きしたいのですが」
「おぉ、そうだったな。では本題に入るとしよう。現在、我が第八師団と随伴の冒険者達は、山岳地帯の窪地に飛竜を追い詰めている状態だ。ただ、遠距離からの攻撃では決定打にかけていてな。窪地から出ようとする飛竜を押し留めるので精一杯と言うのが現在の状況だ」
バルドレイさんの話を聞く限り、大体ここに来るまでにシャルロッテさんから聞いた話と同じだな。
だとしたら一つ聞きたいことがある。
「すみません、浅学で申し訳ないのですが、どうしてここまで押し込んだのに地上戦を仕掛けないのですか?」
そもそも、飛竜が厄介なのは空を飛ぶからだ。
山岳地帯に押し止められているということは、飛行能力を押さえ込んでいるということに他ならない。
それなら地上戦力をもって倒しきれるようにも思えるのだが……
「ふむ、マキジ殿は飛竜を見たことが?」
「いえ、残念ながらありません」
「そうか、ではその様に考えるのも仕方のないことだな。飛竜のあの巨体を目にしたら考えも変わるだろう。あれに対して集団での地上戦を仕掛けようものなら一瞬で何人もの兵の命を犠牲にすることになる」
「……そんなに大きいんですか?」
……あれ? もしかしてもしかしなくてもこれはやらかしたのでは?
「あぁ、飛竜はかなり大型の竜種だとも。今回の個体も小さな屋敷程ある」
「そっ……!?」
んなにデカいの!? という言葉は何とか飲み込んだが、驚きのあまり口をついて出そうになった。
何で飛竜がそんなにでかいんだ。アイツらもっとこう、象くらいのサイズだったじゃない……か……
「あーーーーっ!」
「ど、どうしたのだ急に!?」
「マキジ殿?!」
俺が急に大きな声を出したので、バルドレイさんとシャルロッテさんが驚いてこちらを見る。
「あ、す、すみません。ちょっと大きさをイメージしてたら今頃驚きまして……」
「そ、そうか。いきなり大声をあげるものだから驚いたぞ……」
「ホントにすみません……」
取りあえず声の事は誤魔化したが、それどころじゃない!
そうだよ、そもそも俺の言ってたワイバーンって翼竜のことであって飛竜のことじゃないじゃん!
確かヨーロッパではワイバーンとドラゴンの区別が曖昧な時期があったらしいけど、まさかここで現代日本の知識が仇となるとは……!
「取りあえず話を進めましょう。バルドレイ殿、続きを」
俺が折ってしまった話の腰を、シャルロッテさんが戻してくれる。
「うむ。まぁ兎に角飛竜に対して集団戦を仕掛けるのは愚策。そこで、【レムリアリア】でも一二を争う実力者であるシャルロッテ殿を周辺から遠距離攻撃で援護し、徐々に体力を削り、最後に止めを刺してもらう算段であった」
要するに、シャルロッテさんが囮になりつつ、その間に周りの人間が攻撃、弱ったところをシャルロッテさんが討つといった感じか。
とはいえ、今回は俺達だけで飛竜を倒す予定だ。
……ちょっと思ってたのとは違うけど。
それでも、バルドレイさんには悪いがここは俺達だけでいかせて貰おう。
「成る程、分かりました。ですがバルドレイ殿、その前に一度だけ、私とマキジ殿達だけで飛竜と戦いたいのです。実は本日はその許可を貰いに足を運んだ次第でして」
「な、なんですと!? し、しかし飛竜相手にこれだけの人数では……!」
「危なくなったら撤退しますので。確実に仕留めるためにも、一度戦っておきたいのです。どうか、バルドレイ殿」
「む、むぅ……」
シャルロッテさんの気迫の籠った声にたじろぐバルドレイ殿。
さぁどうだ……!?
「……分かりました。力をみる、と言う体であれば構わないでしょう。その代わり、無理だと思われたらすぐに帰還してくだされ」
「感謝します」
どうやらシャルロッテさんの気迫勝ちのようだ。
これで周りに気兼ねなく【阻害】スキルが使える。
「それではバルドレイ殿、我々は準備がありますのでこれで」
「無茶だけはなさらぬよう。マキジ殿もな。ではまた」
話したいことは話したので、早々にシャルロッテさんが話を切り上げる。
向こうの作戦を丸々無視した形になってしまったが、バルドレイさんは特になにも言わなかった。
多分、一当てしたら戻ってくると思っているんだろう。
「ではマキジ、早速行きましょう」
「そうですね。二人もいいかな?」
「問題なしよ~」
【こっちも問題ない】
バルドレイさんがいる間終始無言だった二人からも問題なし、と。
さて、それじゃあマールと合流して、飛竜退治といきましょうか。
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