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ダーツで始まる異世界転移冒険録〜【阻害】スキルが存外チートだった件~  作者: 奈良よしひろ
1章~現実はダーツのように運任せとはいかない~
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第3録 早すぎる再登場と太陽の剣

前回のあらすじ

・ゴブリン

・集中力


まさかの早すぎる再登場回


 フワフワと宙を浮くような感覚。

 目を開ける前に感じたのは、そんな不思議な感覚だった。


「(……これは……死んだか……?)」

「……起きよ……」


 ……

 …………

 ………………


 ……いやまぁ咄嗟だったとはいえ、Lv.1のヤツがゴブリンに殴られて只で済む筈がないわな。なんせ俺は元々平和な日本に住んでたわけだし、あまりの激痛にショック死とかも十分にあり得るわけで。


「(結局すぐに死んでしまって、ジジ神には少し申し訳ないな)」

「……おおい」


 ……もう会うこともないと思うがちょっと位お礼を言っておくべきだっt……


「起きるのじゃバカ者!」


 いうが早いか、なにかにシバかれる俺。


「うぐっ!」

「うむ、現実から目を逸らすでない。わしじゃ」

「くっそ! 見たくなかったこの現実!」


 ……ゴブリンに殴られた俺は、こうしてジジ神とお早い再開をしたのだった。


 ※※※※※※※※※※


「で、俺はまた死んだってことでいいんですか?」

「ん? いや、死んどらんよ?」

「え?」


 死んだからここにいるのでは?


「お主は気絶しただけじゃ。せっかく男気を見せても気絶してたら世話ないのぅwww」

「……じゃあなんでここに?」

「目が覚めるまで暇じゃろうから、わしが呼んだ」

「一応怪我人だよコンチクショウ!」

 

 そもそもそんなに気軽に呼べるもんなの!?

 さっき一瞬でもお礼とか考えた自分をシバきたいわ!


「まぁそれは冗談じゃ。さっきは(勢いで)急に異世界に飛ばしてしまったからの。ちょっとスキルに不具合が出とるんじゃよ」

「えぇ……」


 スキルの不具合……体の方は大丈夫なんだろうな……?


「まぁそういうわけで、今のうちにちょっと修正しておこうと思っての。ぶっちゃけ死にかけるの早すぎてどうしようかと思っとったし、気絶してて丁度よかったわい」

「死にかけの人間を指して丁度いいとか言わないで下さいよ……」


 ダメだ……もうこの神とまともに会話しようとしない方がいい……


「……はぁ、目覚めるまでしか時間無いんでしょう? どうぞお願いします」

「なんじゃ、急に物分かりのよい……気持ち悪いのぅ……頭でも打ったのかの?」


 少なくともあなたに二回ほど打たれましたね?!


「じゃあちゃちゃっと済ますかのぅ。向こうもお主の回復にかかり出したようじゃし」


 どうやら向こうの冒険者? 達も何とかなっているようだ。よかった、身を呈して庇った上でやられてたら目も当てられないからな……


「よし、ここをこうして……じっとしとれよ?」

「え?」


 ちょっと、なんで急に杖なんか構えてるんです?


「それでは……カァッ!」

「アババババババ!」


 いきなり杖から稲妻が走ったかと思えば、それは俺の体に見事直撃した。って痛い痛い!


「ふぅ……よしこんなもんじゃろ。どうやら向こうのお主の体も癒えたようじゃし、修正後のスキルに関しては自分で【分析】を使って確認しておくのじゃぞ」

「ぬ……ぐ……扱いが……酷すぎる……」


 この邪神め……そう思ったところで、再び意識は黒く塗りつぶされた。


 ※※※※※※※※※※


「うっ……!」

「あっ! 気が付きましたか!? 痛みはどうですか!? 何処かおかしいところはありませんか!? えっと、えっと……!」


 一日で気絶から四度の覚醒という、割と洒落にならない経験をしつつ目覚めると、頭上から慌てた声が聞こえてきた。

 ……後頭部が割と幸せな柔らかさなのは黙っておこう。


「え、えぇっと、大丈夫ですよ。だから落ち着いて下さい」

「あっはい! ええっと、あっそうだ、私、回復魔法をかけたんですけど、体の調子は如何ですか?」


 まだちょっとテンパってるけど会話は出来そうだ。


「はい、殴られた場所の痛みも消えてるので大丈夫だと思います。どうもありがとうございました」

「いえっ! それならよかったです! こちらこそ危ないところをありがとうございましたっ!」

「あぁ、気にしないで下さい。お互い無事だった訳ですし……えぇっと……」

「あ、私マールといいますっ!」


 ちょっとアワアワしてるのが可愛いな、マールさん。

 同い年かちょっと下位か……栗色のショートカットがよく似合う……じゃなくて。


「どうも、マールさん。俺はマキジと言います。取り敢えずもう大丈夫なんで起き上がっても?」

「えっと、ホントに大丈夫ですか?もう少し横になられてた方が……」

「見た目より頑丈なんでね。よいしょっ……と!」


 大体、この状態が続くのは何だ、男として恥ずかしいというかなんというか。色々複雑なんです。わかって。


「改めて、ありがとうございますマキジさん。あのまま私が倒されていたら今頃どうなっていたか……」


 さっきのことを思い出したのか、顔を青くするマールさん。

 安全になって恐怖が出てきたんだろうな……


「いえ、お互い様ですよ」

「お互い様?」


 俺は現在森で遭難してしまっていることを話す。

 ……取り敢えず記憶喪失という、有りがちな設定を使いつつ、だ。流石に「異世界からやって来ました!」なんて言えないからな!


「ええっ!? やっぱりさっきのゴブリンに殴られたせいで……!」

「あ、それは違います。気がついたらこの森に居て、その、それ以前のことが思い出せないんですよね」

「そうだったんですか……」

「なので、マールさん達に助けてもらえたらって気持ちもあって、だからお互い様です」


 マールさん……割と簡単に信じてくれてる……ちょっと罪悪感を感じてしまうな……


「とにかく、私がマキジさんに助けて頂いたのは変わりません。必ず街までお送りしますので御安心下さいっ!」

「はい、宜しくお願いします」

「こちらこそですっ!」


 うーん、マールさん元気で可愛いな! 殴られ損にならなくてホントに良かった!

 そのあとはマールさんのパーティーの話を聞きながら、見回りに行ったというメンバーの帰りを待つ。

 そして……


「おぉ、気が付いたようだな。何よりだ」

「ホントにね。中々起きないからもうダメかと考えてたわ」

「ヴァージニアさんひどいっすよ! マールさんのこと助けてくれた人っすよ!?」


 俺は、ロイドさん率いるパーティー「太陽の剣」と、顔を合わせるのだった。

続きが気になるぞい!な貴方も、つまらんのぅ…な貴方も、評価して行ってくれると、作者が泣いて喜びます。

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