第80録 シャルロッテさんとお願い
前回のあらすじ
・女神様、なんとかセーフ!
・美人女騎士、登場!
今回はシャルロッテさんのお願いを聞きます
「それでは僭越ながら、私の願いを聞いて頂けますでしょうか?」
「はい、どうぞ。そもそもそれがルージェニア様から仰せつかった俺の仕事ですからね」
若干不本意な部分はあるがな。
「実は先頃、首都より西にある山岳地帯にて飛竜が確認されたと【教会】に連絡がありました。ギルドとも連携し、遠距離からの攻撃により奴を山岳の一区画に追い込んだものの、遠距離からの攻撃では決定打に欠け……私に声がかかったのです」
「成る程、飛竜……それで?」
飛竜ってあれだよな……下級の竜であんまり賢くないって感じでよく出てくるやつ。
いやでも実際例え下級のとはいえ竜と戦うのはごめん被りたい。
「はい……確かに私は女神様より新たなスキルを頂き、【教会】の【勇者】として十分な力を備えているとは思います。ですが、それでも相手は竜種……恥ずかしいお話ですが、不安なのです……そこで、使徒様のお力をお貸し願えないかとこうして参上した次第」
シャルロッテさんは恥ずかしそうにうつむき、俺に用件をすべて告げた。
「ふむふむ……事情はわかりました」
要は飛竜の討伐に自信が無いから、俺に協力してもらえないだろうか、ということだ。
……さて、どうしようか。
「よし、シャルロッテさんはちょっと椅子にでも座って待って下さい……全員集合!」
俺は隅っこの椅子にシャルロッテさんを座らせると、反対に皆を呼び寄せた。
「ルージェニア様の使徒としてはこの話、断るわけにはいかないんだけど……正直なところ、飛竜と戦えるとは思えない。その辺どうですか? マリアさん」
「う~ん、何とも言えないかしら~。マキジくんの【阻害】スキルならサクッと倒せちゃう気もするのだけど~?」
「いやまぁ……確かに【呼吸阻害】で間違いなく勝てるとは思います。でもそれだとシャルロッテさんじゃなくて俺が目立ちすぎますって」
「そうよね~」
シャルロッテさんの態度からして、この世界におけるルージェニア様の知名度及び信仰はかなりのものだ。
そんなルージェニア様の使徒と思われてる俺がサクッと飛竜を倒してみろ。絶対に面倒なことになるのは間違いない。
「それじゃあマキジくんが【攻撃阻害】辺りをかけてあげれば良いんじゃないですか?」
「それは考えたんだけど、追い詰められた飛竜が死に物狂いになったとき、多分効かないんだよ……だからかけるとしても何か別のものを考えなくちゃならない」
【攻撃阻害】唯一のネックは相手の攻撃に"悪意"があるかどうかだ。生きようとする生存本能からくる足掻きにそんなものが乗るかと言われれば、ないと言わざるを得ない。
「うーむ……ではやはりついていって、それとなく支援するしかないような気がするでござる」
「だよなぁ……」
うーむ、どうしたものか……
そうして悩んでいると、いままで一言も話していなかったエレミアさんが俺達全員に話し始めた。
【……マキジ、もっと柔軟に考えるべき。攻撃を【阻害】しようとするから駄目。ゲイルにしたように、相手の意志が介在しないものを【阻害】してしまう方がいい】
「ゲイルにねぇ……あー、【移動阻害】か」
まぁ、訳のわからない謎バリアで攻撃が弾かれる【攻撃阻害】よりも目立ちにくくはある……か?
「じゃあ取りあえず、現地で協力するという形でいいかな?」
俺がそういうと、全員が頷く。
「あ、そうだ~、私たちにとっては~もう一つこの話を受ける理由があるわ~」
「もう一つですか?」
ルージェニア様に言われたから以外になにかあるかな?
「実は~飛竜の肝は【無声病】治療薬の材料の一つなの~。協力のお礼に分けてもらいましょう~?」
「マリアさん、そう言うことはもうちょっと早く言ってくださいよ……」
そう言うことなら神託抜きでも協力するっての!
「あの……話は纏まったんでしょうか?」
俺が思いっきりマリアさんに突っ込みたくなっていたところ、気が気でなかったのか、不安げな瞳をこちらに向け、シャルロッテさんが問いかけてきた。
「はい。時間を頂きましたが結論は出ました。俺でよければ飛竜討伐に協力させてください」
「ほ、本当ですか!? あ、有り難うございます使徒様!」
俺の答えが余程嬉しかったのか、何度も思い切り頭を下げるシャルロッテさん。ちょっと落ち着こうよ……頭が机に当たりそうだ。
「えぇ、ですので落ち着いて……あ、そうだ。協力する上で二つお願いが」
「はっ! 使徒様の願いであればなんなりと!」
……それはなんでもするって意味だろうか。そういうフレーズはこう、ちょっとドキドキしてしまうのでやめていただきたい。
ただでさえ女所帯で発散するのも色々気を使うと言うのに。
……気を、使っているというのに!
「大したことじゃないですよ。協力するからには"使徒様"は止めてください。俺のことはマキジ、でいいですから」
「マキジ様、もいけませんか?」
「いけません」
そもそも貴女みたいな【勇者】に様付けで呼ばれたら周りに「こいつ、特別なんだな」って思われるわ!
「……わかりました。それでは今後、マキジと呼ばせていただきます」
「お願いします」
不承不承といった顔で、俺の俺の提案を受け入れるシャルロッテさん。さて、問題はこっちのお願いだな。
「あともう一つのお願いは、倒した飛竜の肝を譲ってほしいんです。どうでしょうか?」
【無声病】の治療薬になるような代物だ。そのお値段は目が飛び出るほど高い。果たしてそんなもの譲ってくれるだろうか?
「問題ありません。討伐の暁には必ず」
「即答でしたね……ホントにいいんですか? 売ればかなりの額になると思うんですが」
「私にとっては飛竜を倒すことが任務であり、お金のためではありませんから」
「……わかりました。有り難うございます」
良かった……これで【無声病】治療に一歩前進だな。
さてと、じゃあ次は……
「折角会議室に居るわけですし、このまま飛竜の所へ行く話をしましょうか」
「そうですね。そうしていただけると助かります」
「それじゃあ先ず出発日時から……」
話が纏まったので、そのまま討伐の話をしようとしたのだが……
「すみません、よろしいでしょうかマキジさん」
コンコン、という扉を叩く音とナタリアさんの声で、中断をすることになったのだった。
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