第79録 やらかされてなかったマキジ
前回のあらすじ
・女神様にやらかされたかもしれない
・タイミングゥゥゥゥ!
今回は、結局やらかしたのかやらかしてないのかハッキリします
「いいえ、間違いありません。昨日の神託にあった通りの御仁です。漸く見つけました」
「ハハハ、御冗談を。私はしがない冒険者ですヨ? 神託を受けるようなことは何もアリマセン」
なんて間の悪い……! ルージェニア様に事の次第を聞こうとした矢先に見つかるなんて……!
「そこまでにしてもらおう、【教会】の騎士殿。 主殿がお困りでござる」
あぁぁぁもぉぉぉ! キリッと前に出て怒ってくれるのはありがたいけど今じゃないかなララーナさぁぁぁん!?
と、とにかく何とか誤魔化して……!
「ふむ、やはりこうしてダークエルフの方が心を許しているのを見る限り、貴方で間違いないと思うのですが?」
「いえいえ! とてもじゃないですけど、私は神託を受けるような人間じゃないですよ!? ララーナは私の奴隷ですし!」
奴隷、といった辺りでピクリ、とフルフェイスの兜が動いた気がする。
あんまり言いたくないけど仕方ない! 流石に奴隷であると言えば引き下がって……
「奴隷ですか……確かに神託を受けるような御仁がそんな事をするとは考えにくいことです」
「そうですよ! なので人違い……」
「では、冒険者カードの名前の欄だけでも見せてもらえますか? ステータスを見せろとまではいいません。名前さえ見せて貰えればハッキリすることですので」
「ですっ!?」
し、しまった……! 冒険者カードのことすっかり忘れてた……!
これは断ったら本人だというようなものだ。認めるしかないのか……!?
「さぁ、差し支えなければ冒険者カードを……」
「えぇい! 貴様! 主殿が困っているでござろうが! そもそもものを頼むというのに顔を隠したままなど失礼にも程があるでござる! それに名も名乗らぬし、一体どういう了見にござるか!」
俺がどうしようか困っていると、見かねたララーナが割ってはいる。言ってることは正しいんだけど、今君が前に出れば出るほど状況は悪化するからね!?
「む……確かに言われる通り……ですが私もここで名と顔を晒すわけには……」
「先程から何をされているのですか?」
ララーナの発言に相手が戸惑ったかと思うと、更なる乱入者が現れる。ナタリアさんだ。
「ギルドの共通スペースでの揉め事は御遠慮したいのですが? もうかなり視線を集めておられるようですけれど?」
俺とフルプレートアーマーの人がハッとして周りを見ると、なんだなんだと冒険者達がこちらを伺っている。
「……ナタリアちゃん~、なんだかややこしいお話みたいだし~、こんな時間からで申し訳ないけど~、会議室貸してもらえる~?」
「わかりました。ここでこうされているよりはずっと良いですからね。失礼ながらお二人ともお夕食は?」
「ま、未だです……」「食べておりませんが……」
俺とフルプレートアーマーの人が周りを見ている間に、マリアさんとナタリアさんがあれよあれよと言う間に会議室を用意してしまった。
「では、こちらで何かご用意しておきますので、残りの話は会議室でどうぞ。こちらです」
「「は、はい」」
状況は好転したとは言えないが、これで何とかこの人に話を聞きつつどうするか考えられるかも知れない。
俺達はナタリアさんの先導をうけ、会議室へと向かうのであった。
※※※※※※※※※※
「では、ごゆっくりどうぞ」
そう言って今朝と同様、全く音を立てずに扉を閉めて出ていったナタリアさん。
これで会議室には俺達パーティーとフルプレートアーマーの人だけとなった訳だ。
「……では拙者から改めて。主殿に名を訪ねる前に、自らの名と顔を見せられよ。それが礼儀と言うもの。ここなら我々しかおらんでござる」
「……わかりました。確かにおっしゃる通りです。それでは失礼して……」
ララーナが先程と同じ事をいうと、周りの目がないならとアッサリ応じてくれたフルプレートアーマーの人。
重そうなフルフェイスの兜に手をかけ、それをゆっくりと外して行くと……
「……私の名は、シャルロッテ・エイルナート。【教会】に所属する聖堂騎士であり、【勇者】の一人です」
中からは、装備とは全く似ても似つかない超絶美人さんが出てきたのであった。
さっきまでしてた兜のせいで音が混もって全く気がつかなかった……いや、よくみたらアーマーのほうもバッチリ胸があるわ。テンパり過ぎて気が付いてなかっただけで。
「では此方も改めてお聞きします。貴方がルージェニア様の神託にあった、マキジ・ヨコシマ様ですね?」
……ここまで来たら、もうしょうがないか。
それに彼女はいましがた無視できない単語を口にしていたし。
「はい。俺がマキジ・ヨコシマで間違いありません。【勇者】シャルロッテさん」
「おぉ! やはりそうでしたか! 女神様の使徒様に会えて感激です!」
俺が認めると、シャルロッテさんはパアッと顔を輝かせて、こちらの手を握ってくる。
「……って痛たたた!」
「あっ! も、申し訳ありません! 籠手をしたままだったのを忘れていました! 使徒様になんということを……!」
バッ!っと音がしそうな勢いで手を離し、平謝りしてくるシャルロッテさん。
これだけ見ると怪しい人では無さそうだが……
「あぁいえ、そこまで気にされることではないですよ。痛かったのは痛かったですけど……それより、一つ確認したいことがあるのですが?」
「なんでしょうか?」
「貴女は先程、自分が【勇者】だと言いましたが……【勇者】だから、神託を受けたのですか?」
問題はそこだ。【教会】として神託を受けたのではなく、【勇者】として受けたのであれば、あの女神様は無罪だ。
「? はい、そうです。【勇者】として神託を受けた私は、使徒様を探すため、聖堂騎士達に協力をお願いしました。ただし、神託にあったように、使徒様が私達を導く存在だとは明かしておりません。もしそれを心配されているのでしたら御安心を」
「そ、そうですか……よかった……」
取り敢えず、【教会】から神の使徒だなんだと騒がれる心配はないらしい。
ホントによかった……
「ご迷惑をおかけしていたようで申し訳ありませんでした……」
「いや、貴女以外が俺のことを使徒だと知らないならいいんです。【勇者】に協力するというのは私から言い出したことなので。それで、シャルロッテさんは私に何か手を貸して欲しいことがあるんですね?」
神託はそういう風に伝わっているハズだ。
恐らくそれを聞いてシャルロッテさんは俺を探していたんだろう。
一応、手を貸すのは俺が言い出したことだし、それにシャルロッテさんを見てると敬虔な信徒みたいだ。手伝っても問題ないだろう。
さてさて、どんなお願いが飛び出すのやら……
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