第78録 やらかされたマキジ
前回のあらすじ
・図書館でお勉強
・【分析】の可能性
今回は、何者かにとんでもないことをやらかされます
【……お腹すいた……】
「……そうだね……」
大図書館を出た俺とエレミアさんは、開口一番そう呟いた。
結局、昼食も取らずにエレミアさんが持ってくる本を片っ端から読んだのだ。外はもう日が落ちかけている。お腹が空くのは当然だ。
「あら~、ご飯も食べずに頑張ってたの~? お姉さんあんまり感心しないわよ~?」
「うわっ!?」
空きっ腹を擦りながら通りに出ようとしたところで、近くから間延びした声がかけられた。
「……なんだマリアさんですか。脅かさないで下さいよ……それと、どうしてここに?」
「うふふ~、二人とも遅いから~何かあったのかと思って~。一応これでもマキジくんの護衛だからね~?」
あ~……そうか、そうだよな。
マリアさんは今【ギルド特別派遣員】の俺の護衛という立場だ。
そりゃ帰りが遅かったら心配もするよな。
【ごめんなさい。遅くなったのは私がどんどん本を持って来たから。楽しくてついつい時間を考えていなかった】
「俺もこの世界の事が気になってつい……すいませんでした」
「いいのよ~。こうして無事なわけだし~。それに皆で帰った方が楽しいもの~」
そう言ってふんわりと微笑んでくれるマリアさん。
心配をかけてしまったが、どうやら怒ってはいないようだ。
「皆と言えばマールとララーナは? 一緒じゃないんですか?」
「まだ帰ってないみたいね~。ギルドでお仕事してる間、カウンターの近くに居たんだけど~」
「そうですか……ちょっと心配ですね」
マリアさんに心配をかけた上で言うのは忍びないが、もう夕暮れだ。
出発が遅かったとはいえ、帰りが遅いように思う。
【……マキジ、折角だから【分析】を使って、マールとララーナの位置を調べてみたら? さっき言ってたように、マキジが認識しているものなら、例え視認出来ていなくても分析出来るはず】
【成る程、試してみようか】
うまくいけば【分析】をもっと色んな事に使えるだろうしな。もしかすると【阻害】と組み合わせられる部分も出てくるかも知れないし。
「あらあら~? 何をするのかしら~?」
「ちょっとした実験ですよ。それじゃ【レムリア王国の地図】と【マール、ララーナの現在地】を【分析】してっと……」
すると、眼前にレムリア王国の全体図にあわせて、三つの小さな光点が現れた。
……まるでGPSだなこれ。
お、光点を意識をすると拡大も出来るのか。縮小は……地図全体を意識すれば良い、と。
【……うまくいった?】
「うん、上手くいった。俺にしか見えないのは難点だけど」
闇ギルドの時もそうだったが、【分析】の結果は俺にしか見えない。この辺りはどうしようもない部分だな。
まぁそれを差っ引いてもトンデモスキルな訳だが。
「それで~? マキジくんは何をしたのかしら~?」
「あぁ、実はマールとララーナの現在地を【分析】
で調べたんですよ。えぇっとこれは……ん?」
マールとララーナの現在地、どうみてもギルドだな。
【どうかしたの?】
「いや、二人ともギルドに戻ってるみたい」
「あら~、じゃあもう少しギルドで待っておけば良かったかしらね~」
「いや、俺の安全を考えて先に来てもらったようなものですから、気にすることないですよ」
こういうのって言い出したらきりがないしな。
「それよりも、折角二人の場所もわかったことですし、ギルドで合流しましょうか」
【賛成】
「そうしましょうか~」
ギルドからここまで来てくれたマリアさんには申し訳ないが、このまま二人をギルドに迎えに行くとしよう。
俺達三人は日が沈み暗くなり始めた通りを、ギルドに向けて歩き始めたのだった。
※※※※※※※※※※
すっかり日が暮れ、周りからは夕食を楽しむ音が聞こえ始めた頃、俺達はギルドへとたどり着いた。
「それで~、まだ二人は中に居るの~?」
「まだ居ますね。何かあったのかな」
あのあとも【分析】の地図は出しっぱなしにしておいたのだが、二人の光点は動くことはなかった。
もしかしたら途中でギルドから出て宿か図書館の方へ来るかと思って馬車は使わなかったのだが……
「まぁ、取り敢えず入りましょうか」
【それが良いと思う】
ここで待ってても仕方ないからな。入ればわかることだ。
三人でギルドの中に入ると、テーブルに座ってなにやら話し込んでいるマールとララーナが居た。
ララーナが丁度こちらを向いて座っていたので、俺の姿に気が付いたのか、手を振ってくる。それを見たマールもこちらを振り向く。
「お疲れ様二人とも。こんなところで話し込んでどうしたんだ?」
「マキジくんもお疲れ様です。実はちょっと採取任務の帰りにマキジくんを探してる妙な人達を見たんですよ。ね、ララーナさん」
「主殿、ただいまでござる。それがどうにも【教会】の聖堂騎士のようで……宿の辺りにも居るようなので、ギルドで話をしながら待っていた次第」
「えぇ……なんだそれ……」
なんで【教会】が俺を探してるんだよ……ん?
【教会】……?
「もしかしなくても……神託か……?」
「多分そうだと思います……」
「災難でござるな主殿……」
待て待て待て。【勇者】に神託を下すとは聞いたけど【教会】にまで下すなんて聞いてないぞ!
「兎に角、ルージェニア様に事情を……!」
「すいません、少しよろしいでしょうか?」
ルージェニア様に事情を聞こうとする俺に、後ろから声がかかる。
反射的に振り返った俺の目に飛び込んで来たのは、銀に輝く白銀のフルプレートアーマー。
そして耳に飛び込んできたのが
「闇を溶いたかのような黒髪に、黒目。そして、【黒き森ベルデナット】にのみ住まうと言われるダークエルフが主人と仰ぐ人物……貴方様が唯一神ルージェニア様の神託にあったマキジ・ヨコシマ様ですね?」
「イイエチガイマスヨ?」
神託にあった身体的特徴と、周りにいる特徴的な人物を告げる言葉だった。
畜生! やっぱり神にはろくなのがいない!
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