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ダーツで始まる異世界転移冒険録〜【阻害】スキルが存外チートだった件~  作者: 奈良よしひろ
1章~現実はダーツのように運任せとはいかない~
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第2録 第一異世界人発見と初戦闘

前回のあらすじ

・気が付いたら不思議の森

・スキル確認


今回はようやくほかの登場人物が出ます。

 

 【分析(アナライズ)】で戦闘音と判明した音。その発生源と思われる方向に向かって進むと、徐々に細かい音も聞こえてきた。


「グギャ……グギ……」

「こっ……今……くぞ!」


 うぅむ……人の声もするけど、何やら得体の知れない声? も聞こえる。少なくとも得体の知れない声の方とはお友達になれそうにはないな。


「うーん、ここは慎重にいこう。【認識阻害】!」


 神曰く、女湯すら覗ける位強力な認識阻害を自分に付与する。

 ……女湯って大体覗くとバレるけどホントに大丈夫なのか?


「……まぁ【分析】も強力だったし、そこは神を信用するしかないのか……」


 正直なところ、あのジジ神を信用とかしたくないけど……


「よし……もうすぐ……おっ?」


 俺の視線の先、森の中の少し開けた場所では、4人の人間がゴブリンのような生物と戦闘をしていた。

 ……あれが所謂魔物というやつだろうか。


 戦況はパッと見たところ、人間側が押されているな……

 ゴブリン10体以上……いるもんな……

 うっ……!


「うっぷ……! 臭いもだけどやっぱり死体はキツイ……!」


 スプラッタ系の映画とか割と平気な方だから大丈夫だと思ってたけど実物はやっぱりキツイな……でも思っていたほどでもない。

 ……この辺もジジ神のせいだろうか?


「……とにかく、あの冒険者? みたいなグループを助けないとな」


 あの人達が俺が森から生還できるかの鍵だ。

 ここで見捨てるというのはなしだな。

 とはいえ、俺が現状出来るのは【阻害】スキルでゴブリン共に何かを付与する位。

 さて……どうするか。


「……まぁ今俺の姿は見えてないわけだし、ゴブリンってのもテストに丁度いいか」


 取り敢えず色々付与してみるとしよう。


 ※※※※※※※※※※


「ゴブリン共め! 何処からともなくワラワラとっ!」


 もうかなりの数を倒したというのに、一向に減らないゴブリン達にロイドは辟易としていた。

 ゴブリンは特に一匹一匹は強くないが、集団が厄介だ。


「ロイド! 突出しないで! 陣形が崩れたらひとたまりもないわ!」


 同じパーティのヴァージニアが近くのゴブリンを牽制しながら声をかけてくる。


「わかっている! だがこのままではジリ貧だ! ……ライルッ!」


 死角から攻撃しようとしている剣を持ったゴブリン……ゴブリンソードマンに気が付き、前衛のライルを呼ぶ!


「なんすか! っておわっ! あっぶねー!」


 前衛を大盾で支えるライルが、すんでのところでその斬撃を避ける。


「マールッ! 回復頼む! まだ行けそうか?」

「はいっ! 大丈夫です! 【ヒール】!」


 回復術師のマールも大丈夫とは言ってるが、そろそろMPも心許ないだろう。このままでは不味い……!


 —―ロイド達のパーティーは朝から、街道に少数出没するゴブリンの調査の一環で、付近にある【黒狼の森】へと訪れていた。

【黒狼の森】は辺境の街【アレグレッテ】から程近く、昔は恐ろしい黒狼が住んでいたが、十数年前から忽然とその姿を消し、すっかりと落ち着いた森になっていた。

 地元の初心者冒険者も訪れるような、そんな森だったのだ。ある程度場数を踏んだロイド達もまさかこの森の調査でここまでの状況に陥るとは夢にも思っていなかった。


「くっ……! どうする!? この数、ゴブリンの集落が森に出来ていると考えたほうが良さそうだぞ!」

「えぇ、私もそう思う! 何とかして街まで戻ってこの事を報告しないと……!」


 だがそれが難しいのだ。

 統率が取れたゴブリン共はこちらを数で押し込む気だ。

 下手な動きは取れない……!


「どうするっすか! ロイドさん!」

「どうするもこうするも……!」

「ロイドさん! 前を!」


 マールの声を聞いて敵前線の奥に目をやると、魔法を操るゴブリン……ゴブリンシャーマンが今まさにこちらへと【ファイアボール】を打ち込まんとするところだった。


「くっ……!」


 ここまでか……!そう思ったとき、不思議なことが起こった。

 確かにこちらに向けて打ち出されようとしていた【ファイアボール】が何故か自分の前に居たゴブリンに直撃したのだ。

 そして不思議なことはそれだけでは終わらなかった。

 ゴブリンソードマンが手から剣を取り落としたり、ゴブリン同士でぶつかったり、先程までは考えられない動きを始めたのだ。


「これは一体……?!」


 まるで戦闘の集中力を急に欠いたように見える。

 理由は分からないが、これならば……!


「……ヴァージニア!」

「えぇ!」


 ここまで乱れてくれればなんとかなる!

 ライルが敵前衛を受け止め、俺とヴァージニアで敵前線を崩し始めたその時ーーー


「きゃあぁぁぁぁぁ!」


 後方のマール悲鳴が辺りに響き渡った。


 ※※※※※※※※※※


「……よし、上手くいったっぽいな」


 茂みに隠れながら戦闘の様子を伺う。

 どうやら冒険者のような人達が押し返し始めたようだ。

 さっきはゴブリンの魔法使いみたいなのが火の玉を打ち込もうとしててちょっと焦ったが……


「うーん、やっぱり【移動阻害】とか【視覚阻害】とか、本人の行動に重篤な影響を及ぼすものはレジストされるのか」


 俺は戦闘中のゴブリンに向けて色々【阻害】を使ってみたのだが、見事にレジストされていた。


「今のところはこの【集中力阻害】が使い勝手が良さそうだ」


 ゴブリン達に通用して、尚且つ戦闘の役に立ちそうなものはこれくらいだ。

 見た感じ、何やら集中力が切れてミスを連発してくれている。


「よし、取り敢えずなんとかなりそうだし、遭難者を装って後からひょっこり出ていこう……って!」


 その時、見てしまった。

 パーティー後方で仲間に回復魔法のようなものをかけていた女の子に、一匹のゴブリンが忍び寄っていたのを。

 女の子の方は集中しているのか全く気が付いていない。


 ゆっくりと近付き棍棒を振り上げるゴブリン。

 ……あとは、もう咄嗟だった。


「危ない!」


 ゴブリンに振られた棍棒は、見事に女の子ではなく俺に直撃した。計らずも、それはあのジジ神に殴られた場所で……


 庇った女の子の悲鳴を聞きながら……俺は三度、意識を手放したのだった。

続きが気になるぞい!な貴方も、つまらんのぅ…な貴方も、評価して行ってくれると、作者が泣いて喜びます。

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