第71録 ルージェニア様と相談事
前回のあらすじ
・協力はするけど魔王は勘弁して!
・あぁ懐かしきバット送還
今回は早速女神様に相談を……
小鳥の囀りが聞こえ、俺はムクリと身を起こすと、回りを見渡す。
まだ薄暗いが、どうやらもう朝の様だ……体の疲れは取れているが、全く寝た気がしない。
「……魔王、ねぇ」
まぁありがちと言えばありがちな話だ。と言っても日本のそういった創作界隈での話だが。
それでもここは魔法もあれば魔物も跳梁跋扈する異世界。魔王が出ると言われて信じないわけにも行かないだろう。なんせ女神様情報だし。
「しかし皆にどう説明したものか……」
現在の俺は、会う人会う人に「俺、記憶喪失なんですよ」と言っている状態だ。今更「俺、実は異世界人なんです」なんてカミングアウトしたところで信じてもらえるとは思えない。
何なら変な目で見られるオチまでつきそうだ。
だとしてもパーティのメンバー位にはいい加減俺の話をしても良いかも知れない。これからずっと一緒かはわからないが、嘘をつき続けるのにも限界がある。でも信じてもらえるだろうか……
「うーん……何かいい方法……あ」
そう言えば女神様が【分析】で連絡が取れるとか言ってたな。
ちょっと聞いてみるか……
「えーっと、確か女神様を【分析】すればいいんだったな……」
俺は脳裏にルージェニア様の姿を思い浮かべる。
……うん、流石にあの整った姿を忘れることはなかったな!
「では……【分析】!」
次の瞬間、目の前にホログラフのような立体映像が現れた。
当然、出てきたのはルージェニア様だ。
【あら? 随分早い呼び出しですね。もしかして私とジジ神抜きでお話したかったんですか? 私の美貌にイチコロですか?】
……開口一番飛ばしていくなぁ。てかさっきと雰囲気変わりすぎでは? 急にフランクになったな……
「美貌は横においておくとして、まぁ、女神様と一対一でお話ししたいと言うのは間違いじゃないですね」
【むぅ、ノリが悪いですね。私はこうして話せる相手が普段居ないので嬉しいんですけど。まぁいいです。それで? なにか聞きたいことがあるんですか?】
「聞きたいことというか、相談ですね。よろしいですか?」
【いいですよ。聞きましょうか】
話が早くて助かるな。
まだ早いとは言えもう朝だ。皆が起きてくる前に話を終わらせておきたい。
「実は俺のパーティメンバーには、まだ俺が異世界から来たことは話していないんです。魔王についての話をしようにもまずは俺の話からしないといけないでしょうし、かといって話したところで信じてもらえるかどうか怪しいものです。どうしたものかと思いまして」
【それなら解決は簡単ではありませんか?】
「え?」
俺にとっては結構深刻な悩みなんですが、そんなあっさり解決します?
【私が神託を下せばいいのですよ! 何せ私はこの世界の唯一にして全なる女神! 神託であなたが異世界人だと広めれば……!】
「そんなことしたらもっと面倒になりますから!」
なんで全世界の神殿やらに俺が異世界人だと神託を下ろされなきゃならんのだ!
【う~ん……ではもうこのまま私を見せればいいのではありませんか?】
「え? 見せる?」
【はい。私は何度も言いましたがこの世界における唯一の女神。当然教会にいけば私の像がありますので……あ、神託で信者の夢枕に立つこともあるのでバッチリ私とわかりますから安心してください】
うん、別にそんなことは微塵も心配していないからそっちこそ安心してほしい。
「でもいいんですか? そんなに簡単に姿を見せたりして」
【あなたのパーティーメンバーだけならいいですよ。みんないい子そうですし。それに私、唯一神なんですよ】
「はぁ、それはさっきから聞いてますけど」
【話し相手がいないんです。同姓の。だからこれを機会に彼女達と話し相手になれたらと思いまして……】
照れ顔で人差し指をつんつんする女神様。
……なんだろう、俺、目から涙が零れそうだ……
「ルージェニア様が良ければ構いませんよ……楽しくおしゃべり出来ると良いですね……うぅっ」
【あの、なんで私泣かれてるんでしょうか】
「気にしないでください……女神も大変なんだなって思うと感動しただけですから」
【そ、そうですか? でも実際大変だからそう言って貰えると嬉しいですね】
やっぱり大変なんだな神様って……あのジジ神はホントになんだって言うんだろうな。
「それじゃあ、この後今後の活動について皆と話すことになっているので、そのときにまたご連絡するということでよろしいですか?」
【えぇ、そうしてもらえると。私はこれから勇者達に対する神託を下ろしますから……一応、さっきもいった通り、勇者達には私の協力者としてあなたの名前も出しますからね? これなら、無体な頼み事をするものも居なくなるでしょう】
「わかりました……勇者以外にはあまり広まらないようお願いしますよ?」
【わかっていますよ。勇者一人一人の夢枕に立って、あなたの名前を教えますから。口止めも含めて】
とは言え人の口に戸は立てられない。いずれどこかで広まるだろうが、遅ければ遅い方がいい。
「では一旦ここで終わりにしましょう……これどうやって切るんです?」
【そうですねぇ、【分析】を切れば切れるんじゃないでしょうか?】
じゃあ【分析】終了……っと。
すると、目の前にいたホログラフィー女神様はフッと一瞬にして消えてしまった。
「……これじゃ立体映像付きの電話だな」
通話相手は女神様だけど。
何はともあれ、あとは野となれ山となれ。女神様に対して皆がどう反応するかだな……
「あふ……まだちょっと眠いな……」
まだ少し早いし、もう一眠りするのも良いだろう。
俺はもう一度ベットに潜り込むと、朝食までの惰眠を貪るのであった。
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