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ダーツで始まる異世界転移冒険録〜【阻害】スキルが存外チートだった件~  作者: 奈良よしひろ
2章~自分の行き先はダーツでなんて決められない~
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第68録 マキジの選択

前回のあらすじ

・【ギルド特別派遣員】の説明

・さて、どうしたものか……


今回はマキジの選択、そして物語は次の章へ!


「俺は【ギルド特別派遣員】の認定、受けたいと思います」


 色々と考えはしたが今回の話、俺は受ける事にした。

 まぁ強制依頼は気になるところではあるが、それ以上に俺にとってのメリットが勝ったのだ。

 今の俺は一人ではない。マールにララーナ、それにエレミアさんの【無声病】のこともあるのだ。妥協など出来るはずもない。

 付いてきてくれる皆のために、俺の出来る限りをする。それが嘘偽りのない今の俺の気持ちだ。


「畏まりました。既にギルド長の認可は下りていますので、事務の方で書類を準備しております。書類が出来次第、そちらに目を通して頂き、サインを頂いた瞬間からマキジさんを【ギルド特別派遣員】として正式に認可します。それでは書類が出来上がっているか確認して参りますので、こちらでもう暫くお待ちください」


 俺の答えを聞いたナタリアさんは、流れるようにそう言うと、扉を開いて出ていった。


「マキジくん~、急な話だったのにも関わらず~、受けてくれて嬉しいわ~。私も皆と居るのは楽しいから~」

「いえ、今回の話は今の俺にとって本当に有難い話でしたから。出身もなにもわからない、どこの馬の骨とも知れない状態の俺が何かしようとすると絶対問題が起こるでしょう。そのときにギルドの後ろ楯があるのとないのじゃ、全然違いますからね」

「そう言ってくれると~私もホッとするわ~。黙ってここまで連れてきたから~」


 マリアさんはそう言うと、くたっと椅子にもたれ掛かった。

 結構気にしていたようだ。


「……(くいくい)」

「ん? どうしたんだエレミアさん」


 マリアさんのことを見ていたら、横からエレミアさんが袖を引いてきた。手には何時ものようにメモ用紙とペンが握られている。


【マキジ、もしかしなくても私のことを考えてくれた?】

「勿論。エレミアさんの【無声病】の治療に手を貸すって言葉に嘘偽りはないよ。これで少しは薬に近づいたかな?」


 あのクソッタレ【勇者】が投げ出したエレミアさん。一度誰かにそんな扱いを受けた人間は何処か他人を信じられなくなるものだ。

 エレミアさんもついてきてくれてはいるが、少し不安な所もあったのだろう。

 だからこそ、俺は何度でも伝えるつもりだ。俺はエレミアさんの味方だって。


【……ありがとう】


 そう、短く綴ると自分の席にさっさと戻ってしまう。

 顔がちょっと赤いのは……照れているのだろうか? エレミアさんとももう少し、メモ以外でもコミュニケーションを取りたいところだ。


 ……ところで。


「……ララーナ、さっきからなんでもじもじしてるんだ?」

「あっ……えっと……それはでごさるな? もしかしなくても拙者の隷属紋を消すために、色んな権限のある【ギルド特別派遣員】になることを決めたのかなーって考えたら、何だか恥ずかしくなってでござるな……?」

「うんまぁそれもあるけど、取り敢えず一人で考えて恥ずかしくなるのは止めような?」


 端から見てると間違いなく変な奴だからな?


「うっ……気を付けるでござる……」


 こう、黙ってればホントに美人のダークエルフなのに、喋るとござるだし、若干残念なところもあるしで……まぁそこが可愛いと言えば可愛いんだが。


 可愛いと言えば最後の食いしん坊は……


「? もぐもぐ」

「……まぁ、そんな気はしてた」


 案の定、話が終わったあと残ってたせんべいらしきものは全てマールのお口に消えていったようだ……ちょっと気になってたんだが……


「……マキジくんの分は置いてありますよ?」


 俺がちょっと残念そうにしているのを見て、マールがそう口にする。だが、お茶請けの入れ物は空っぽだ。

 そもそもマキジくんの分"は"ってなんだ。他の人の分も置いておきなさい。


「……何処に?」

「何ですかその間は。本当にちゃんとあります! はい!」


 そう言うと懐から紙でくるんだせんべい? が出てきた。成る程ちゃんと置いてくれていたようだ。


「……後で自分が食べようとか思ってなかったよね?」

「そっ! そんなことあるわけないじゃないですか! マキジくん酷い!」


 これは絶対自分で食べるつもりだったな……


「まぁとにかくありがとう。気になってたから後で食べるよ」

「むぅ~、マキジくんはたまに意地悪です。今度絶対に仕返ししますからね!」


 マールの仕返しねぇ……あんまり怖くないのは俺だけだろうか。


 その後も皆と雑談をしていると、部屋の扉がゆっくりと開いた。そこには当然ナタリアさんが居て。


「お待たせしました。書類が完成致しました」


そのまま音もなく部屋に入ると、俺の前へ出来たばかりの書類を置く。


「注意事項によく目を通していただいて、宜しければ下の署名欄にフルネームを記入してください」

「わかりました」


 信用していない訳じゃないが、【ギルド特別派遣員】になることによる特典、義務、注意事項をそれぞれ読んでいく。

 大体は先程ナタリアさんが話してくれた通りだ。細かい部分も特に問題は見られない。


「……よし、出来ました」


 マキジ・ヨコシマ、と最後に署名し、書類をナタリアさんに返す。


「……はい、確かに。では只今をもって冒険者マキジ・ヨコシマを【ギルド特別派遣員】に任命します。こちらが身分証です。どうぞ」

「ありがとうございます」


 手渡された身分証は冒険者カードと同じ大きさの銀色のカードだ。カードの右上には【特派】と印が押されている。

 ……なんかちょっとカッコいいな!


「そちらは再発行可能ですが、大切にしてくださいね?」

「わかりました。ありがとうございます」


 さて、これで大体用事は終わっただろうか? かなり時間がかかったしまったし、今から宿を探すのは……


「それと、本日はもう遅いのでこちらで宿を手配しておきました。ギルドの正面に位置していますから、御安心下さい。手続きは全て終了していますのでこのまま向かっていただいて構いません」

「……何から何までありがとうございます」


 大変だと思っていたけどそんなことは無かったようだ……


「それじゃお言葉に甘えて、宿に行くとしようか」

「はい!」「はぁ~い」「承知!」「……(こく)」


 こうして、俺は無事レムリア王国首都【レムリアリア】に到着、新たに【ギルド特別派遣員】という立場を得た。


 この選択が正しかったのか、それはまだわからない。だが少なくとも、今はコレが最善だと思っている。

 何処かの誰かさんから、【特派】のマキジへ。この世界での新たな肩書きで何処まで行けるかわからないが、行けるところまではいってみようと思う。


 自分の行き先は、自分の意思で。


 それはきっと、ダーツでなんて決められないものなのだから。


~第二章 結~

続きが気になるぞい!な貴方も、なんじゃつまらんのぅ、な貴方も下の☆から評価して頂けますと作者が泣いて喜びます。

気に入って頂けたらブックマークも宜しくお願いします~!

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