第66録 会議室へ
前回のあらすじ
・実は今回の依頼はギルドの差し金だった(バレバレ
・大男はナタリアさんに勝てないようです
今回は【ギルド特別派遣員】の説明を受けるために会議室へ移動するぞ
ナタリアさんの案内で倉庫を出て、冒険者ギルド内に戻ってきた俺達は、そのままギルドの二階部分へと連れられて来ている。
「倉庫も大きかったですけど、こっちも広いですね。二階にこんなに部屋があるなんて。【アレグレッテ】ギルドの会議室なんて三つ位しかないですよ?」
「そうでござるな。床に敷かれてる絨毯も実によい踏み心地でござる……これ、幾らくらいするんでござろうか……」
「……(くいくい)」
「ん? なんでござるかエレミア殿……何々? 【大体このくらいで15000エネカ。金貨1枚と銀貨50枚くらい】……あ、主殿! 拙者の靴汚れてないでござるよね!?」
「大丈夫だよララーナ。それにしてもホントに広いなぁ」
「このレムリア王国中のギルドを纏めてる場所だからね~。一番奥にある大会議場なんて見物よ~?」
真っ直ぐに伸びた廊下の左右の扉には【第○○会議室】と書かれたネームプレートが取り付けられており、それがズラッと並んでいるのだから壮観だ。
……夜来たら絶対怖いだろうけど。
「あの、皆様。一応会議をされている部屋もありますのでお静かに願えますでしょうか……」
「あっ……スミマセン……」
いかん、ついつい盛り上がってしまった。
「あれ? でも部屋の中の声とかは廊下に聞こえてきませんね?」
「そういえばそうだなぁ」
こっちの声が向こうに聞こえる可能性があるなら向こうの声も聞こえそうなものだが……あ、そうだ。
「ララーナはどうなの? 確か耳いいんだよね?」
ララーナの受け売りだが、エルフ種族はその長い耳の見た目通り、非常に耳が良いそうだ。
これは森で昔から狩りをしてきたからだという……ホントかどうかはわからないらしいが。
「う~む、特に何の声も聞こえないでござるよ」
「うふふ~それは当然ね~。ナタリアちゃん説明してあげて~?」
おや、なにか部屋の声だけが聞こえない仕掛けがあるのだろうか。
「あの、アンナマリア女史。私もいい歳なのでちゃん付けで呼ばれるのはちょっと……」
「えぇ~良いじゃない~それに年齢のこと言うと私の方が上なんだからちゃん付けしてもいいことになるわよ~?」
マリアさんのステータスに表示されていた年齢が本当なら確かにそうだろう。結局聞けていないけど、多分純粋な人間ではないんだろうな。
因みに、マリアさんにちゃん付けで呼ばれているナタリアさんだが、キリッとしたクールメガネ美人さんなのでちゃん付けは個人的には無いかな……
「はぁ……わかりました。ちゃん付けで構いませんよ……それで、部屋から声が聞こえない事でしたね? それは、こちらの廊下に【遮音魔法】がかけられているからです」
「遮音魔法ですか……でもそれだと私達の声も向こうに聞こえないのではないですか?」
マールが当然気になる疑問を投げ掛ける。
「【防音魔法】をかけた場合はそうなります。【遮音魔法】は片側からの音を遮る魔法ですので、こちらの音は向こうに伝わるのです」
それに対するナタリアさんの解答がこうだ。
ややこしいなぁ……こういう微妙な違いが効果に差異をもたらすんだから、俺も【阻害】スキルはよくよく意味を考えて使わないといけないんだよな……
「でもなぜ【防音魔法】でなく【遮音魔法】なんですか? 別に【防音魔法】でも良いような……」
「ふふふ……拙者、何故かわかるでごさるよ!」
ビシッと手を挙げるララーナ。随分と自信満々だな。
……そこまで自信満々に答えにいって間違えるなよ?
「ズバリ! 有事の際に逃げ遅れたりしないためでござる! 廊下からの音も聞こえないとなると、何かあったとき扉を開けて伝えなければならないでござるからな! 音が聞こえれば何かあったとき中の人間の判断で動くことができるでござるよ!」
ふふんっ! と音がしそうな程のドヤ顔で答えるララーナ。
答えは凄い模範解答っぽいが果たして……
「その通りですララーナさん。流石は【黒い森ベルデナット】のダークエルフですね」
「えへへ……其ほどでもないでござるよぉ……」
おぉ、正解だ。
其ほどでも無いと言いながら顔は凄いにやけてるぞ。
「こちらのギルドはこの国のギルドを統括する施設。当然重要な人物も多くいらっしゃいます。ここを襲うなどといった行為は国と敵対するようなものですのでまずあり得ませんが、火事等といった災害が起こる場合もありますから。名のある方々が素早く避難出来るようにこういった処置がしてあるのです」
なるほどなぁ……一国のギルドを統括する場所ともなればそこまで考えておかなくちゃならないってことか。
「……っと。説明している間に着いたようです。この【第21会議室】は本日使用申請が無かったので今から使用しても問題ありません。皆様どうぞ、お入りください」
そう言ってナタリアさんがドアを開く。
開かれたドアから中を覗くと、部屋の中央には長机が置かれており、壁には木の板がかけられている、「現代オフィスの会議室」を感じさせる配置の風景が広がっていた。
「どうかされましたか?」
俺がまじまじと部屋の中を見ていると不思議そうな顔をしたナタリアさんが声をかけてきた。
まぁ会議室の入り口で中を見てるなんて変なやつだもんな。
「あぁ、いえ。何でもないです。失礼します」
なんとなく癖でそう言って中に入る。
「皆様お好きなお席にどうぞ。私はお茶の用意をしますので少しはずします。暫くお待ちくださいね」
俺達が全員部屋に入るとそう言ってナタリアさんが扉を閉めていった。
「……取り敢えず座って待ってようか」
「そうね~、立っててもしょうがないし~」
俺がそう言うと皆思い思いの場所に座っていく。
机は大きく、椅子は結構あるがバラけていても仕方ないので自然と皆集まって座る形にはなったが。
そして待つこと数分後……
「お待たせいたしました。お茶とお茶請けもご用意しましたので、ご自由どうぞ」
そう言って各人にお茶を配ったあと、机の真ん中に……なんだこれ、せんべい? みたいな物を置くナタリアさん。
……マールの目がせんべいらしきものをロックオンしてるな……
「さて、では僭越ながら【ギルド特別派遣員】についてご説明させていただきます」
漸く【ギルド特別派遣員】について聞けそうだ。
一体どんなものなんだろうか……?
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