第65録 ギルド倉庫にて
前回のあらすじ
・無駄に広いギルドの倉庫
・【レムリアリア】のギルド長、エドワードさんは大男
今回はマリアさんが秘密してたことが……?
「まぁそうなるだろうな。そもそも彼が居れば【ストレージバッグ】が製造可能なんだ。闇ギルドどころか貴族連中にまで目を付けられかねん」
「そうなのよ~。私としてはマキジくんには冒険者としてこれからも頑張って欲しいし~、そういう事態は避けたいかな~って思ってるのよ~」
【ストレージ】からギルドの荷物を出した後、始まったエドワードさんとマリアさんの話。
話の種は当然俺のことである。
やはりというかなんというか、マリアさんが俺達に付いてきたのは俺が原因ようだ。【アレグレッテ】の冒険者ギルドには迷惑をかけたかもな……ハゲは苦労したほうがいいかもしれないが。
「ふむ、では彼をあれに認定して欲しいと言うことかな?」
「そういうこと~。問題はないわよね~?」
「あぁ、問題はないぞ。後は彼次第だ。」
俺が黙って聞いている間にもどんどん話は進んでいく。
自分のことが話されてる訳だし、流石にちょっと会話に混ざっておかねば。
「えっと……認定と言われても俺にはなんのことだかさっぱりなんですが」
「なんだアンナマリア殿、説明してなかったのか?」
「到着するまでは秘密にしておこうかと思ったから~。じゃあ今回の護衛任務について私が詳しく説明するわね~」
お、どうやら直々に説明して貰えるようだ。
「事の始まりはゴブリン討伐任務の時なのよ~、マキジくんに資材の運搬を頼んだでしょ~? それを見てたある冒険者が【アーダジオ】に行って、闇ギルドに情報を流したっていう情報が上がってきたの~」
う~む、そこまで遡るとは思わなかった。あの時はこっちへ来て間もなかったからあまりスキルの重要性を分かってなかったからな……
「私も【ストレージ】スキルを見るのが初めてで~、ついついあの時はマキジくんに荷卸をお願いしちゃって皆の前で使う原因を作ってしまったわ~。申し訳ない事をしたとは思ってたんだけど~なかなか言い出せなくて~…ごめんなさい~……」
いつも明るいマリアさんがしょんぼりとした顔で頭を下げてきた。
「顔を上げてくださいよマリアさん。俺はあの時スキルを使ったこと、後悔してないんですから」
「マキジくん~?」
「俺はあの時、自分に出来ることが出来て、それが皆の役に立って嬉しかったんですから。だから、いいんですよ」
あの時はこの世界に来て、自分のスキルで何ができるのか考えていた時だ。あの経験は決して無駄じゃなかったと思う。
「それにマリアさんには良くして貰ってますからね。黙ってたことなんて気にもなりませんよ」
「……ありがとう~、マキジくん~」
「おほん。そろそろ続きをお願いできるかな?」
おっと、今はマリアさんが説明をしてる最中だったな。
「ええっと~、そうそう、情報が流れた事に気が付いた私達【アレグレッテ】ギルドは~、マキジくんが首都に行くって話してた事を思い出して~定期報告に行くギルド職員の護衛任務にかこつけて私を同行させることにしたのよ~」
「なんだ、じゃあハ……ロドリゲスさんも一枚噛んでたんですか」
「そういうこと~」
じゃあ今回の任務はどっちかっていうと俺達がマリアさんを護衛するというより、俺がマリアさんに守られていたことになるわけか。うぅむ、任務達成を素直に喜べなくなってしまったかも……
……まぁ、いいか。ここまで楽しかったしな。
「それで~、実は私が付いてきたのにはもう一つ考えがあってのことでね~?」
「もう一つですか?」
「そこからは儂が説明しよう」
ぬっ、と音が聞こえそうな動きでエドワードさんが前に出てきた。ちょっと怖いぞ……
「ちょっと~、私が説明するって言ってるじゃない~!」
「まぁそういうな。正直アンナマリア殿はその間延びした話し方で中々説明が前に進まんからな」
「むぅ~」
リスのように頬を膨らませて不満を表現するマリアさん。
あざとい。
「さて、では【アレグレッテ】ギルドが君を案じて打ったもう一手を教えよう。それは……」
それは……!?
「君を【ギルド特別派遣員】に認定することだ!」
【ギルド特別派遣員】……!
「……ってなんですかね?」
「うむ、まぁそういう反応になるだろうな。では【ギルド特別派遣員】についてだが……ナタリアくん」
「はい? なんでしょう」
「……詳細の説明を」
おい! あんたが説明するんじゃなかったのかよ!
まさか認定することだ! って言いたかっただけじゃないだろうな!?
「……はぁ、分かりました。では僭越ながら私が説明させて頂きます。ですがその前に」
……まだ引っ張るのか……
「ギルド長。先程認定するのは問題ない……そうおっしゃいましたね?」
「ん? 確かにそう言ったが……あっ!」
……これ、なんか日本で働いてたときおんなじやり取りを見たことがあるぞ。
「では【アレグレッテ】からの荷物の確認、アンナマリア女史が確認したかった【ギルド特別派遣員】認定の許可も終わりましたので直ちに執務に戻ってください」
「い、いやしかしだな!」
「戻ってください」
「わ、わかった……その代わり後でどうなったか一報は入れてくれ……」
有無を言わさぬナタリアさんの言葉の圧力に屈する大男。
正直ギルドのトップはハゲといいこの人といい、本当に大丈夫何だろうか。
大きな体をすぼめて扉から出ていったエドワードさんを見送った所で、ナタリアさんが再度口を開いた。
「はぁ……それでは説明を、と思うのですが、わざわざこの様なところですることもありません。ギルドの会議室を押さえますので、そちらでご説明します。お茶もご用意致しますよ」
言うが早いかナタリアさんはスッと俺達の横を抜け、扉を開いてくれる。
ここだとずっと立ちっぱなしになるし、有難い話だ。
ギルド職員というよりメイドさんのような事をしてるよなこの人。
「分かりました。それじゃ皆、移動しようか」
「はい!」「わかったわ~」「承知!」「……(こく)」
「それではまず空いている部屋へ案内いたします。そのままその部屋を押さえてしまいましょう」
そういうと前を歩き始めるナタリアさん。
先導するナタリアさんについて、俺達は倉庫を後にしたのだった。
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