第57録 刻印術とエレミアさんのステータス
前回のあらすじ
・【ストレージ】さん、やっぱりヤバかった
・【刻印術】さんがアップを始めました
今回は改めて【刻印術】の確認と、エレミアさんのステータス確認
俺はエレミアさんの部屋にある荷物を【ストレージ】に仕舞いに来ただけ。
その筈だったのだが、そこで自分の持つスキル【刻印術】のヤバさを知らされてしまう。
紋章術士であるエレミアさんの声を奪った【邪霊樹】の樹液を使ったインクでしか消えない刻印は記せない。
それが今のこの世界の常識らしい。
当然このインクを使う以上、いつ自分の声を失うか分からないリスクを背負うことになるわけだが……
……恐らく、俺の【刻印術】はこのリスクを背負わずに、色んなものに消えない刻印を刻むことができる……
【分析】で確認できる【刻印術】の内容はこうだ。
【刻印術Lv.1】
ユニークスキル。
任意の対象に対し、魔術式の刻印が可能。(Lv.1)
尚、この刻印は刻印術でのみ破棄が可能。
Lvが上がると刻印可能な術式が増える。
これだけ見れば間違いなくそうだろう。ただ俺は【紋章術】を【分析】したことが無いので、比較は出来ないな……
「……(くいくい)」
「っと、どうしましたかエレミアさん?」
どうやらあまりにもめんどくさくなりそうな現実を前にして、考えに没頭してしまっていたみたいだな。
エレミアさんがメモを見せてくる。
【大丈夫? いきなり黙り込むからどうかしたのかと思った】
「いえ、ちょっと考え事を……あ、そうだ。エレミアさん、迷惑でなければエレミアさんのステータスを【鑑定】させて頂けませんか?」
良く考えずともエレミアさんは紋章術士だ。
彼女の【紋章術】を【分析】させて貰うことが出来れば、比較は出来る。
俺がステータスを見せて欲しいと頼むと、エレミアさんは直ぐにペンを走らせる。
【わかった。これから一緒に行動するわけだし、何処かのタイミングで見てもらおうとは思っていたから、丁度いい】
そう書くと、エレミアさんはポケットから冒険者カードを取り出し、こちらへと手渡してきた。
じゃあエレミアさんのステータス、見せてもらうとしようか。
名前:エレミア・ハーミルトン
年齢:19才
状態:【邪霊樹の呪い】
所属:冒険者
ステータス
Lv.21
HP:360/360
MP:320/320
STR:C
VIT:E
DEX:B
INT:A
AGL:D
LUK:D
所持スキル
【紋章術Lv.4】【風魔法Lv.3】【生活魔法Lv.3】【付与魔法Lv.2】【古代言語Lv.2】【エルフ言語Lv.2】【速記】【速読】
……エレミアさん、俺より一つ年上なのか……見えない……。
あとは、うん、見事なまでのインドアステータスだな。
【付与魔法】と【補助魔法】の違いは今度是非ともご教示願いたいものだ。
さて、では【紋章術】を【分析】して……と
【紋章術Lv.4】
任意の対象に対し、魔術式の描画が可能。(Lv.4)
Lvが上がると使用できる画材、描画可能な術式が増える。
うーん、殆ど【刻印術】と同じような内容だな。
ただ「尚、この刻印は刻印術でのみ破棄が可能」と似た文言が無い辺り、やっぱり【刻印術】は俺が破棄するまで効果が永続する可能性が大ということか。
……取り敢えずいまは、この件については黙っておこう。
【ストレージ】でさえかなり騒ぐ羽目になったんだ。
【刻印術】なんてエレミアさんに説明したら倒れかねない。
なにはともあれ、【紋章術】については見ることが出来たので、冒険者カードをエレミアさんに返す。
「ステータス見せていただいてありがとうございました。エレミアさんて本を読むのが好きなんですか?」
「……(こくん)」
頷くとメモ用紙にペンを走らせるエレミアさん。
【速記】がなければこのやり取りも難しかったんだろうな……
【私は元々、冒険者でもなければ紋章術士でもなかった。家の事情で紋章術士になったけど、本来は考古学に興味があった。様々な本を読み、この国や世界の過去を読み解きたいと。【古代言語】や【エルフ言語】もその為に勉強していた】
「成る程、そうだったんですね」
エレミアさん、かなり苦労してきたんだろうな……
……うちのパーティー、マールにしろララーナにしろ、ちょっと苦労しすぎなんじゃないかな。
一緒のパーティーなんだし、これからはちょっとでも楽しく過ごして貰えるように俺も努力しないとな……
しかし、エレミアさん昔の事とか勉強してたってことだよな?
なら、これからこの世界で生きるために、色々と勉強する俺にとってはいい先生になってくれるかもしれない。
「あの、エレミアさん。実は少し俺についても言っておくことがありまして……」
「……?」
いい機会だからエレミアさんにも俺が記憶喪失(という設定)であることを話す。
そして、首都【レムリアリア】にある大図書館で、この世界について知識を得るつもりだということも。
「なので、エレミアさん。もしよければ、首都の大図書館に着いたら俺の先生になってくれませんか?」
「!?」
俺の話を聞いて驚くエレミアさん。
そして、記憶喪失を気遣うかの用に背中をポンポンと叩いてくれる。
うぅ……マールもだけどこういうとき嘘をついてるのがすごく辛い……
少しするとエレミアさんがメモ用紙に文字を綴り始めた。
【マキジも、辛い状況だったんですね……マキジは私の【無声病】治療に力を貸してくれるといってくれました。なら、私もマキジの勉強に力を貸させて欲しい】
エレミアさんはそう書き終えると、右手を差し出してきた。
……握手、だろうか。
「……ありがとうございます、エレミアさん。改めて、これから宜しくお願いします」
俺は差し出された右手を握ると、そう伝える。
「……(こくり)」
その言葉に頷きを返してくれたエレミアさん。
俺の手を握り返すその表情は、昨日からの彼女からは考えられない、とても良い笑顔をしていたのだった。
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