第55録 エレミアさんの地下室
前回のあらすじ
・エレミアさんの部屋のあるお宅へ
・ボッシュートからのラッキースケベ
今回はエレミアさんのお部屋にお邪魔します。
「……っ!(ぱくぱく)」
急に俺が現れたからか、口をぱくぱくさせながらわなわなと震えるエレミアさん。
「……」
エレミアさんの部屋を訪れるため、家の家主に案内してもらっていた俺は、何故か落とし穴に落とされた。
そしてたどり着いた地下の部屋の扉を開けると、そこには下着姿のエレミアさんが居たのだ。
……エレミアさん綺麗だな。
肌は白磁のように白くすべらか、体には程よく肉がついていて低めの身長からは想像しにくいほどに女性的だ。また腰まで伸びた金髪が神秘的でもあって……
「……っ!」
「うわっぷ!」
そこまで考えた辺りで、エレミアさんが持っていた服を俺の顔に投げつけてきた。
……いかん、俺も急な出来事で動転していたらしい。
ついまじまじと見つめてしまった。
「す、すいませんエレミアさん! あんまり綺麗だったんでつい……!」
「~~~っ!!!」
俺がそう言うと更に顔を真っ赤に染めて、着替えの服を握って奥へと行ってしまう。
……これは嫌われただろうか……?
取り敢えずエレミアさんが着替えるまで何も言わず、クッションの詰められた部屋に戻る。
それから少しすると、部屋の扉が開かれた。
着替えの終わったエレミアさんがじと目でこっちを見ている……
「……(じとー)」
「……あの、さっきはホントにすいません……! まさかエレミアさんが居ると思わなくて……あとその、急だったとは言え綺麗だったので見とれてしまって……!」
あーもう、こういう時何て言えばいいんだ……
俺が弁明を続けていると、エレミアさんが溜め息をついて紙を差し出してきた。この部屋に来るまえに書いたんだろう。
【さっきのが事故なのは何となく分かってる。その部屋から出てきたと言うことは、スティーブがマキジを落とし穴に落としたんでしょう?ならここが私の部屋だと分からなくても仕方がない。だとしても私のあられもない姿を見たことは恨むけれど】
……取り敢えず部屋に急に入ったことはお咎め無しらしいが、下着姿を見たのはアウトらしい……まぁ当然か。
「あの……ホントにすいませんでした……」
「……(はぁ)」
取り敢えず再度頭を深く下げて謝ると、エレミアさんがもう一度溜め息を一つ。そして
「……(くいくい)」
俺の服の袖を引っ張るエレミアさん。
……こっちへ来いってことだろうか。
「あ、部屋に来いってことですか?」
「……(こくこく)」
どうやら合ってたみたいだな。
それじゃ改めてエレミアさんの部屋にお邪魔するとしよう。
※※※※※※※※※※※
エレミアさんの部屋がまさか地下にあるとは思わなかったが、中々部屋は広い。
メインの部屋は14畳位あるだろうか。まぁ【紋章術】の資料やら触媒やらでそこそこの面積が占められてはいるが。
あとは俺の落ちてきた用途不明部屋を含めて三つ程扉があるな。
「それで、荷物は全部持っていくんですか?」
正直、幾らかこの街に来るまで魔物を倒しているので、レベルも上がってるハズだ。
多分これくらいならMP的にもなんとかなると思うが……
そう思っていると、エレミアさんが紙に文字を書き始めた。
【いや、それには及ばない。実はここにある【紋章術】に関する書物等は、ここの家主の持ち物。持っていくものはそちらの部屋にある私物だけ】
紙を渡すと、部屋の一番奥にある扉を指差すエレミアさん。
成る程、あそこがエレミアさんの私室というわけか。
俺が扉を確認したのを見て、エレミアさんが扉に向かって歩き始めたので、俺もその後ろに続く。
……なんだかいい香りがするな。これは香油か何かだろうか?
「エレミアさん、もしかしてお風呂とか入りました?」
「……!」
俺の発言にこちらを振り向き、少し驚いたような表情をしたあと、エレミアさんは手元のメモ用紙に素早く言いたいことを書いていく。
【良く気が付いたね。あまりこう言うところを気付いてくれる人は少ないのだけど。やはり女性ばかりのパーティーにいるからこう言うことには敏感なのかな?】
あー……現代日本だとシャンプーに香りが付いてるのも多かったから、ちょっと懐かしくなって反応したとは言いづらいな……
「そうですね。やっぱり周りが女性ばかりだと気を使いますから。そう言う変化にも気を配ってますね」
取り敢えず今はういうことにしておこう。今後は皆のそういうところも注意して見ておいた方が良さそうだな……
次から気を付けよう、そう決意している俺のまえで更にエレミアさんのメモに文章が増える。
【成る程。ゲイル以上の女たらしと言うわけ。まぁ誠実ではあるようだし、ゲイルのように女を泣かせるようなことは真似はしないのでしょう。あんまり手を出して愛想を尽かされないように】
「ちょっ……! 誤解です! 俺は別に女性を誑かそうだなんて思って言ってませんよ!?」
いきなりなんてことを!?
俺がツッコミを入れている間にもペンはどんどん走る。
【冗談です。さぁここが私の部屋になります……襲わないで下さいね?】
最後にそう締めると、こちらを向いてウィンクを一つ。
むむむ……なんか手玉に取られてる気がする……
「はぁ……この弄りはさっき見た光景の代償だと思っておきます。さぁ荷物を仕舞いましょうか」
悔しいのでドアを開ける前にさっきのことを蒸し返しておく。
「~~~!!!」
すると顔を真っ赤に染め直して、エレミアさんが俺の背中をポカポカと叩いてきた。
……この人意外と可愛いところあるなぁ……
マールさんといい、エレミアさんといい、こういう時に可愛い反応返してくるのずるいよなぁ色々。
マリアさんはお姉さんだし。可愛いとはちょっと違うからな……たまに可愛いけど。
ララーナは……なんていうか、その、ねぇ?
って何を考えてるんだ俺は!
仕事仕事っと!
俺は未だにポカポカしてくるエレミアさんを背中に、荷物の仕舞い作業を始めたのだった。
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