第53録 明日の御予定は?
前回のあらすじ
・【無声病】とはなんじゃらほい
・偽善者と言われたとしても
今回は次の日の予定を決めたりしたり
一通り涙を流し終えたエレミアさんは、最後に一筆【今日から宜しくお願いする】と認めると、出されていたお茶に口をつけ、一息ついた。先程までに比べると随分と表情も和らいだように感じる。
漸く落ち着いたところで改めて見るエレミアさんは、金色の長髪がよく似合う美少女だ。碧眼もよく似合っている。身長はあまり高くなく、ララーナと並ぶとかなり幼く見えてしまうな。
まぁララーナの身長が高すぎるのと、凄くいい体型をしてるからというのもあるだろうが。
年の頃は15-6だろうか? 今度本人に聞いてみよう。
さて、エレミアさんの【無声病】治療に協力する、という事でパーティー内の意見が一致し、エレミアさんもそれを受け入れてくれたので、明日からは5人旅になる。もう少しで首都とは言え、色々と準備が必要だろう。
更に言えばエレミアさんはここ【モデラータ】の紋章術士だ。
当然この街に拠点がある。そちらについての話もしないといけない。
「それじゃ、明日からの予定をどうするか話していこうか」
「そうですね……じゃあまず私からですが、【レムリアリア】につく前に食材の買い出しに行っておきたいです。先程宿に帰ってきたときに宿の主人に伺ったんですが、首都の方では食材が値上がりしてるそうで。少しでも安いこちらで買い込んでおきたいんです」
早速マールから意見が出る。
いつの間にかこの宿の主人から話を聞いていたみたいだ。
……食材が値上がりしている、と言うのはちょっと気になるな。
「そうだね、お金には少し余裕が出来たけど、少しでも安く済むならその方がいい。食材の買い出しは明日しておこう」
「はい! 首都まで運ぶのはまたマキジくんに頼むことになると思うんですけどね」
「いいよ。結構【ストレージ】には余裕があるからね」
実際問題【ストレージ】は収納しただけMPが減るのだが、その燃費は凄まじく良い。5人分程度の買い物なら問題にならないのだ。
あのジジ神には言いたいことが山程あるが、それでもこの【異世界言語Lv5】と【ストレージ】のスキルに関しては感謝しかない。
恐らくこれがなかったら俺は最初の【黒狼の森】で死んでいただろう。
「拙者から特になにもないでござる。この街に来るまでに色々身の回りの物は買って頂いたでござるからな」
ララーナはホントに着の身着のままだったからな……町に着く度にマールとマリアさんに引き摺られるように連れていかれて衣料品を買わされてたのは記憶に新しい。
「あれ? でもララーナさん下着のストックあまりなかったって言ってませんでした?」
……ほう。
「まままマール殿! そう言うのはこういう場面では黙っているものでござるぅ!」
こういう時パーティーに男一人だと辛いよね色々。
「じゃあ兎に角マールとララーナは買い出しを頼むよ。男の俺が居ると出来ない買い物とかもあると思うし」
「わかりました!」「承知したでござる……」
さて、買い出しは二人に任せるとして、こっちはエレミアさんの方を対応しないとな。
「一応もう一度確認しておきます。エレミアさんはここ【モデラータ】に住んでるわけですが、俺達についてくるという事で問題ないですか?」
「……(こくこく)」
エレミアさんが頷いてくれる。
頷くと同時に手に持ったペンで紙に文字を書き始めた。
……今考えると凄い速度で書いてるんだよな。
流石は紋章術士と言ったところなのだろうか。
【あなた達についていくことは問題ない。それにこの街に住んでいると言っても借り暮らしだ。友人宅の一部屋を間借りしているに過ぎない。なので荷物もそこまで多くない】
成る程、なら安心かな。
「それじゃあその間借りしている家に明日の朝から伺います」
後はエレミアさんのパーティー加入申請だけど……
「じゃあ私は明日~、ギルドでエレミアちゃんのパーティー加入手続きをしておいてあげるわね~。ララーナさんの時と同じでパパ~っと済ませちゃうわ~」
「すいません、ご迷惑お掛けしますが宜しくお願いします」
「うふふ~、いいのよ~」
さて、これで大体明日の全員の予定はできたかな?
マールとララーナが買い出し、マリアさんはギルドでエレミアさんのパーティー加入申請。
で、俺とエレミアさんがエレミアさんの荷物回収だ。
……ゴブリン討伐が終わったときも言われてたがこのままだと本当に【運び屋】になってしまいそうだなぁ。
明日の予定を頭の中で整理していると、クイクイと袖を引っ張られる。
引っ張られた方を見ると、エレミアさんがいた。
手には紙が握られている。
「……(クイクイ)」
「……これを読めばいいんですか?」
「……(こくこく)」
なんだろう? 別に俺にだけ言いたいことでもあるんだろうか?
先程のララーナの発言により、現在マールとマリアさんはララーナの下着について議論中だ。あーでもないこーでもないと言っている横でララーナが真っ赤になってプルプルしている。
取り敢えずあちらは置いておこう。
エレミアさんから紙を受け取り、中身を読む。
【明日の訪問、済まないけど昼過ぎに来て欲しい。あまり大きな声で言えないけど、結構散らかってしまっていて、正直見苦しい。お、男の人を部屋に入れたことなど無いので、そう言う部屋を見られたくはない】
……エレミアさん、もしかして片付け出来ない系女子なのかな?
読み終えてエレミアさんを見ると、ほんのり顔を赤くして明後日の方を向いている。
何だろう、ちょっと庇護欲を刺激されるな。
「……内容は理解しました。お昼を食べてから伺います。それと、家の場所を地図に認めて貰えますか?」
「……(こくこく)」
頷くと、手近にあった紙に地図を書き始めるエレミアさん。
迷わず行けるといいが……最悪【分析】に頼ろう。
そう思いながら窓の外を見ると、もうすっかり日が落ちてしまっていた。
……なんだか面倒事に巻き込まれて疲れただけの一日になったなぁ。闇ギルドの時よりも気疲れしたかもしれない。
まぁ、それはそれだ。終わったんだからよしとしておこう。
明日も忙しくなりそうだしな!
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