第43録 不憫すぎるNINJA
前回のあらすじ
・ドーモ、ララーナ・サン。
・クイーンオブ不幸
今回はララーナさんの雇用内容を話します
「どうやら話も纏まったみたいね! ちょっと遅くなっちゃったけど夕食にしよっか!」
「そうね~私もお腹減っちゃった~……アンジェ、お願い出来る~?」
「それはお任せ! ちゃんとお代は頂いてますからね~バッチリ用意はしてあるよ!」
俺達の話し合いが一段落したのを見て、アンジェさんとマリアさんが夕食の話を始めた。確かにもういい時間だ。
丁度良いし夕食を取りながらララーナの雇用話を詳しく聞こうか……
そう考えていたときだった。
急に地の底から沸き上がるようなうなり声が部屋に響いたのだ。
「……!? もしかして闇ギルドが……!?」
「ちょ、ちょっと!お店の中は困るよ!?」
「……敵の反応は無いわね~」
「じゃあ一体今のはなんの音ですか……!?」
なにか攻撃してきたのだろうか!?
そう、俺達は身構えていたのだが……
「……でござる」
「「「「?」」」」
「拙者の腹の虫の音でござるよ!!! 捕まってからもう、丸2日何も食べてないでござる! 仕方ないのでござる!」
顔を真っ赤にして半泣きでこちらに訴えるララーナ。
……まぁ、捕まってたんならしょうがないね!
取り敢えず警戒を解いた俺達は、腹ペコ忍者を連れて宿の食堂へと向かうのであった。
※※※※※※※※※
時間的に誰もいない食堂に移動した俺達は、アンジェさんが夕食を用意してくれている間に、親睦も兼ねて話をすることに。
話のお供は最初に宿に来たときにも出してもらったリンプルジュースだ。
……うん。やっぱり美味しい。
「ふぅ……漸く人心地ついたでござるよ……五臓六腑に染み渡るでござる……」
喉も渇いていたんだろう。あっという間に出されたリンプルジュースを飲み干したララーナは一息付くと、自分から話し始めた。
「では雇用契約をしていただけるようでござるので、改めて。
拙者は東方にあるダークエルフの住まう森、【黒い森ベルデナット】にて暗殺術を学びし者、ララーナ。契約期間は主人の影となり尽くす所存にござる。何卒御願い申し上げまする」
そう言って俺に頭を下げるララーナ。
さっきまでのポンコツさは鳴りを潜め、これぞ忍者! と言ったキリッとした表示と仕草だ。
……美人だから余計にカッコ良く感じてしまうな!
さて、こう言ってくれてはいるが、元はと言えば俺のお節介が招いた事だ。幾ら契約とはいえそうお堅くならなくてもいいと思う。
「いえ、俺のせいでこうなってしまった面もあるので、そう畏まらないで下さい。普通に接していただければいいので……」
「そう言うわけには参らぬでござる。やはり雇用主は大事にすべ……熱っ!?」
俺が普通に接してくれ、と言ったのに対してララーナが断ろうとした時、急に何かに熱がるララーナ。
一体何が……?
「あら~……多分隷属紋が光ってるわね~。多分マキジくんが言ったことに対して反抗したと取られたんじゃないかしら~?」
「「えぇ!?」」
マリアさんの言葉に二人して驚く俺とララーナ。
だって、凄い些細なことだよ? さっきのやり取り……
「私たちが思ってたより条件付けが厳しい隷属紋だったんですね……」
「ほんとね~」
マリアさん、他人事だと思って……
「と、取り敢えずララーナ。普通に喋ってくれればそれでいいから」
「しょ、承知したでござる……」
うぅむ、早速厄介なことになったな。
下手にララーナにお願い事とかはしない方がいいだろう。
余計なことを言って何かあったらもうこれ以上責任の取りようがないし……
「ま、まぁとにかく、今はララーナの雇用料について話そう。隷属紋のこともあるから俺は余り余計なことは言わないようにするけど」
「そうしてもらえると助かるでござる……」
折角さっきまでカッコ良かったのにもう元に戻ってしまったな。
まぁ俺のせいなんだけど……
「じゃあパーティーメンバーの私がお話しさせて貰いますね。ララーナさんはアサシン、ということでかなり能力も高い方です。私も相場などが分からないので、そちらからまず金額や条件を提示していただけると」
俺に代わってマールが話を進めてくれる。
いざというときホントに頼りになるなぁ。
「うむ、まぁ今回は特殊な事例での雇用になるでござるからな。実はこちらからそう大きく要求することは考えていなかったでござる。なにせ……」
ん? なんか言いにくそうだな……なんだろ。
「何せ拙者、稼いでも稼いでも何故かお金が無くなるでござるから……正直、隷属紋が消せるまでの間の宿代と食費、雑費をそちらが持ってくれるなら文句はないのでござるよ……」
……ふ、不憫すぎる……
すると突然マールが立ち上がり、そのままララーナを抱き締めた!?
「な! なんでござるか突然!」
「うぅ……お金が無いってことはいつもあんまり食べられなかったってことですよね……グスッ……私だったら辛すぎますもん……」
あぁ、マールは食べるのが好きだもんな……そりゃいつも満足に食えない状況なんて考えたくもないだろう……
「大丈夫ですよ……宿代と食費、雑費は私達が持ちます……それにちゃんとお給金もお支払しますから……」
「……それは間違いなく?」
「はい! ……まぁ私たちも裕福とは言えませんが、そこはちゃんとしますから!」
「マ、マール殿ぉ……拙者……拙者今まで契約を反故にされたり、お給金払わずにとんずらされたり……うわぁぁぁん!」
ララーナはマールに抱き締められたまま泣き出してしまった……
いやまぁ、大分酷い目にあってきたみたいだし、しょうがないのかもな。
「う~ん、私の方がお姉さんなのに~何だかマールさんの方が母性に溢れている気がするわね~」
マリアさんはその……体の一部は間違いなく母性の塊なんですが、普段の言動がね……?
「あら~? なにか言いたげね~?」
「イエナンデモアリマセン」
……まさか心の中まで探知出来るんじゃないだろうな……?
「お! 何だか面白いことになってるね? ……取り敢えずロースト肉とサラダ、それにタモタのパスタおまちどおさま!」
そんな事をしているうちにアンジェさんが大皿に盛った料理を運んできた。
ローストされた何かの肉が乗ったサラダに、タモタ……? 見た目と臭いはトマトっぽいソースのかかったパスタがてんこ盛りになっている。
「さ! あとの話は食べながらね? 暖かいうちに食べて食べて!」
うん、アンジェさんの料理の腕は昨日も今朝も体験済みだ。
美味しく頂くとしよう。
食べながら今後の話もしないとなぁ……
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