第40録 対決?闇ギルド
前回のあらすじ
・アンナマリアさん、ぶっ壊れだった
・更には二重人格者
・正直属性盛りすぎたと思ってる
今回は闇ギルドと対…決…?
作戦会議を終えた俺達は現在、ハーマン伯爵の屋敷を辞して西区へと向かっている。
当然ながら屋敷を出る前に【認識阻害】と【攻撃阻害】を展開済みだ。
西区へは初めて来るが……闇ギルド構成員に攻撃されたのが昼前、ハーマン伯爵邸を出たのが先程、ということもあって、丁度夕暮れ時だ、かなり活気が出てきているな。
歓楽街というだけあって、そこかしこに客引きの店員がいるし、酒場の中からは男たちの笑い声に混じって、女性の声も聞こえる。
ただ、そんな喧騒のなかにあって、俺達の存在に気付くものはいない。
【認識阻害】を使用した状態でこう言った場所に来るは初めてだが……成る程、ジジ神が言っていたこともあながち嘘ではないらしいな。
「……マキジくん、これ悪用しないでくださいね?」
「しないよ!? マールの中で俺の評価どうなってるの!?」
「だってヴァージニアさんともマリアさんとも凄く親しげですし……何て言うか、女の人好きなのかなって……」
「……否定はしないけど、そこまで節操ないつもりだよ……」
そんな事を小声でやり取りをしながら西区を進む。
……俺そんなに女性に節操無いように見えるのか……?
「もう~、二人とも~もうすぐ敵のアジトなんだから~。もうちょっと緊張感持ちなさい~」
「「す、すいません……」」
いけないいけない……バレないのを良いことに気が抜けてるな……一応戦闘があるかもしれないし、気を引き閉めよう。
さて、地図から見た街の形状からして闇ギルドのアジトはこの辺りだが……
「……マリアさん、この辺りじゃないですか?」
「えぇ~、ちょっと待ってね~……そこの建物がそうみたい~、沢山の闇ギルド構成員がいるわ~」
「じゃあ早速仕掛けますか?」
「う~ん……ちょっと待ってねマールさん~なんだか様子がおかしいのよ~」
様子がおかしい……?どういうことだろうか?
今のところ目の前にある三階建ての建物に変わった様子は……
そう思っていたら、花瓶を床に叩きつけたかのような破砕音と共に、急に窓ガラスが割れて人が……飛んで……来る!?
「任せて~、【テンダーグラウンド】~」
見事な窓割りを見せた人物は、地面にぶつかる寸前にマリアさんの魔法によって柔らかくされた地面に着地……出来なかった。
「ぬあぁぁぁぁぁ! 何でござるかこれは!? 地面がゴム毬みたいに柔らかくぅぅぅ!?」
……柔らかく跳ねる地面の上で翻弄されるござる口調の人。
ていうかござるってなんだよ……忍者か? 忍者なのか?
「この子~、闇ギルドから逃げたしたみたいね~。構成員が今あわただしく追いかけようとしてるわ~」
「……あんまり宜しくない状況ですね」
俺達の作戦では、気付かれずに建物ごと一網打尽する予定なのだ。
チョロチョロ外に出られたりしたら困る。
「可哀想だけど~、ごめんね~?」
「!? んむー!?」
そして有無を言わさず土魔法で拘束してしまうマリアさん。
口を拘束して、更には土の鎖で拘束とは……目の毒目の毒。
……暴れると面倒だから俺も手を貸しておこう。
「【認識阻害】……と、これでこの子は良いでしょう」
「えぇ~、じゃあややこしくなる前に予定通りやっちゃいましょ~」
軽ーく言ってるけど、この拠点だけでも150人ほどの構成員がいるんだよな……パパっと済ますのに異論は無しだ。
えーっと……闇ギルドの拠点を対象に……
「【魔法耐性阻害】!」
かけた瞬間、ガデツさんの小型炉と同じように一瞬建物が光る。
念のため【分析】で状態を確認して……!
分析結果:
アーダジオ闇ギルド本部建屋。【魔法耐性阻害】状態。この建屋は魔法に対して耐性を持たない。
上手くいったな!
【耐性阻害】だと全ての耐性を阻害する状態になりそうだったから頭に魔法をつけたが、どうやら悪くなかったようだ。もしつけてなくて振動耐性もなくなったりしてたらこの建屋がつぶれる可能性もあったわけだ……あんまり頭空っぽで使うといつか偉い目に遭いそうだぞ【阻害】スキル……
っと、そんな事を考えてる場合じゃないな! 後はマリアさんにお任せだ!
「よし……! マリアさんお願いします!」
「りょうか~い! 【クリエイトゴーレム】~!」
マリアさんがそう口にすると、目の前の建物が不気味に蠢き出した。
【クリエイトゴーレム】……要はゴーレムを作る魔法なのだが、マリアさんは【土魔法】の【クリエイトゴーレム】を使っている。
使用できる【土魔法】レベルは3。そこまで高くはない。
だがこの魔法、使用者の魔力や器用さ、そして作り出したゴーレムの出来映えによって性能が上がる側面を持つ。
マリアさんのステータスはさっき見たが、INTとDEXが極めて高い。
そしてその上【精密細工】のスキルを持っていると来たものだ。
このスキルは持っている人の細工技能を底上げする。
つまるところ、マリアさんが使う【クリエイトゴーレム】は最早別次元の魔法になってしまっていると言えるのである。
【クリエイトゴーレム】について、自分の中で整理しているうちに、少しの間蠢いていた建屋がピタリと止まる。
「これでよし~! 建屋の壁や、地下の土を使ってゴーレムを生成して~、中の構成員は全て拘束したわ~」
「……ホントにパパっと終わってしまった……」
「……私、居なくても良かった気がします……」
予想していたとはいえ、余りの呆気なさに呆然とする俺とマール。すると
「あら~? マールさんのお仕事はこれからよ~。建屋の中に捕まってる人も居るから助けないといけないわ~。傷の治療はお願いね~?」
「そ、そうなんですね……分かりました! 頑張ります!」
……【分析】では敵のデータばかりに集中してたからその辺がフィードバックされてなかったみたいだ……万能ってわけでもないようだな、【分析】も。
「さて~、あとは謎の人物を装って~この顛末をハーマン伯爵に伝える訳だけど~……その前にこの子、何とかしないとね~?」
闇ギルド拠点を落とした場合、構成員の身柄の引き渡し問題等が発生するため、ハーマン伯爵とはお茶をしながら事前に話を合わせてある。
俺達がやったとバレないのように、尚且つハーマン伯爵の関与が無かったことの証明のため、「謎の正義の味方が闇ギルドを倒した、そしてその旨がハーマン伯爵に届けられた」という何とも言えないストーリーが用意されているのだ。
あとはそれを実行するだけなのだが……
「むー! むー!」
この長い耳の忍者口調の人、どうしようか?
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