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ダーツで始まる異世界転移冒険録〜【阻害】スキルが存外チートだった件~  作者: 奈良よしひろ
2章~自分の行き先はダーツでなんて決められない~
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第37録 伯爵へのお願い

前回のあらすじ

・お屋敷の中を歩く

・伯爵さんと御対面


今回は領主さんにお願い事

 

「……まぁ立ち話もなんだな。先ずは座るとしよう。ダスティン、茶と何か摘まめる菓子を用意してくれ」

「畏まりました」


 ハーマン伯爵のオーダーを受けて、一礼をしてから部屋を後にするダスティンさん。

 そして俺達は、言われた通りにソファーへ座ることに。事実立ったままするような話でもないしな。

 話をするマリアさんを中心に俺とマールがその両隣に座る形だ。


 どうせ俺が喋ることはあまり無いだろうから、ハーマン伯爵とマリアさんの話をよく聞いておくとしようか。


「……さて、ではダスティンが頼んだものを持ってきてくれるまでの間に、用件について聞くとしよう」


 全員がソファーに落ち着くと、早速とばかりにハーマン伯爵が切り出してきた。

 当然、相手はマリアさんだ。


「では~、単刀直入に言わせて頂きますね~。現在私達は~、アーダジオにあるとされる闇ギルドの構成員に狙われています~。その対処として~彼等との戦闘行為を領主権限で許可していただきたく~」


 マリアさんはマリアさんで一直線に本題へと斬り込んで行く。

 回りくどいのはなし、と言った雰囲気だ。


「……! なんと……闇ギルドの連中に……うぅむ、しかしアンナマリア殿、貴女ほどの方ならお分かりかと思うが、あやつらの拠点は支援している連中のせいで全く絞り込めない状況が続いておる。それに我輩が表立って動けば、奴等と利益を共有しておる法衣貴族共に何をされるか……なので協力したいのは山々なのだが……」


 戦闘許可を出すとなると、領主側も何かしらのアクションを起こす必要があるものな……敵対する貴族に報復措置を取られる可能性が出てくると、そう言うことだろうか。


「えぇ~、ですので黙認という形で構いませんわ~。特に助けてほしいと言ったことではないので~。対処はこちらでします~」


 対してマリアさんの要求は、「戦闘が行われても衛兵は関与しないでいい」と言ったものだな。

 拠点情報の共有や、戦闘に対する補助は必要ないということになる。

 これならハーマン伯爵は関与の否定をするのに苦労はしないだろう。すっとぼけるだけで証拠は無いわけだし。


「黙認……? つまりアンナマリア殿と、マキジ殿、マール殿の三人で対処すると?」

「えぇ~、そう言うことです~」

「馬鹿な! 幾ら貴女とそちらの二人が強いと言っても、相手は組織ですぞ?! 一体どうされるおつもりで?」


 ……まぁ、そう言う反応になるよな。ていうか俺も三人で何とかするのは、幾ら【阻害】スキルがあるからって、ちょっと無理があるように思うんだよなぁ……なにか考えがあるんだろうけど……


「そこは~、このマキジくんが特殊なスキルを持っていますので~。それに私のスキルを合わせれば何とかなると思います~」

「特殊なスキル……ですか。内容をお訊きしても?」


 特殊なスキル、と言うところにハーマン伯爵が反応する。

 ……ちょっと、ダンディーな男に熱視線贈られても困る。


「うふふ~、それは本人がいいっていったらね~? でも基本的にスキルは冒険者の生命線ですから~無闇に聞いたりするものではないと思います~」

「む……そうですな。マキジ殿、無粋な質問だった。済まぬな」


 そう言って軽く頭を下げてくるハーマン伯爵。

 ……貴族ってこんなに簡単に頭を下げちゃ駄目だろ……


「い、いえ。気にしていませんので。頭を下げられる様なことではありませんよ」

「……今ここには我々しかおらんからな。こういうとき位、頭の一つ下げられんようでは人の上に立つ者としてどうかと我輩は思うのだよ」


 ハーマン伯爵、貴族とは思えない潔い人だな……俺の貴族への偏見かも知れないが。


「……まぁ兎に角。援助が無くて本当に大丈夫なのですかな?」


 ハーマン伯爵の性格を考えれば、本当に打算抜きで此方を心配してくれているのだろう。しかしそれでも……


「えぇ~、下手に伯爵が闇ギルドへの攻撃に荷担したのがバレたら~、首都の法衣貴族がどんな政治的報復に乗り出すかわからないもの~。なら~、何もせず

 黙認してくれるのが一番の協力になります~」


 マリアさんの姿勢は変わらなかった。


「……そうですか……そこまで申されるのであれば、わかりました。三人の闇ギルドへの攻撃に関しては衛兵隊に黙認するよう、裏で通達しておきます」


 ここまではっきりと言われればこれ以上言っても仕方ないと、ハーマン伯爵も思ったのだろう。案外あっさりと引き下がってくれた。


「しかし、いざとなれば我輩を巻き込んでもらって構いませんからな?」

「うふふ~、そうならないように頑張るわ~」


 それでも、何かあれば頼ってくれというハーマン伯爵に笑って答えるマリアさん。

 一体過去にどんなことがあったのやら……


 そんな事を考えていると、部屋の扉がノックされ、外からダスティンさんの声が聞こえてきた。


「お話のところ申し訳ありません。お茶の準備が出来ましたので、失礼しても構いませんでしょうか?」

「おぉ、ダスティン。頼む」


 ハーマン伯爵が答えると、ワゴンを押したメイドさんとダスティンさんが一礼してから部屋に入ってきた。


「お茶とお菓子をお持ちいたしました。只今ご用意致しますので、もうしばらくお待ち下さい」


 そう言うと、メイドさんとダスティンさんは手早くワゴンから人数分のティーカップを各人の前へとおいて行く。

 ……薫りは紅茶のそれだな。いい匂いがする。


 ティーカップが終わると今度は焼き菓子が小さな皿に盛られ、それぞれの前に置かれた。


「うむ、では取り敢えず先程の件については了承した故、今はお茶を楽しむとしようか」

「そうですね~。マキジくん、マールさん、頂きましょう~」


 ……まだどういう作戦で何をするかとか、何も聞いてないんだけど……

 ゴブリンの時もだったけど、いきなりこう言う展開になるのは勘弁してほしいなぁ……


「……そうですね、頂きます」

「頂きます!」


 まぁ、その時に全力を出すしか無いわけだし、今は言われた通りお茶を楽しむか……

 俺はこの後のことを考え、内心ため息をつきながら、美味しそうに焼き菓子を食べるマールを横目で見ながらお茶を貰うのだった。

続きが気になるぞい!な貴方も、なんじゃつまらんのぅ、な貴方も下の☆から評価して頂けますと作者が泣いて喜びます。

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