プロローグ①
のんびりと続けていきたいと思います。
「――――ん……?」
俺は気が付くと、真っ白な空間にいた。
上下左右がわからない。影さえない白い世界。
ただ、足が地面? に着いているのだけは感じることができる。まぁ真っ白過ぎて地面なのか何なのかという話ではあるが。
……うーん、立ってるのに浮いてるようで気持ち悪い……
「なんだこれ……夢か……?」
夢だとしても寝た記憶が無いんだよなぁ……
覚えてるのは確か、久しぶりに酒を飲んでそれからシャワーを浴びようとして……
「そんで前の日に落としてそのままになってた石鹸で足を滑らせて頭を強打。見事にポックリ死んだわけじゃな。ギャグマンガみたいな死に様じゃのうwww ぶわっはっはwww」
「!?」
後ろから聞こえてきた声に振り向くと、なんというか、見るからに神っぽい爺が一人立っていた……
……いや、笑いすぎだろ。
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横島政二、27才独身。フリーター。
特技という特技があるわけでもない、最近ちょっとおなか周りが気になるどこにでもいる日本人だ。
趣味は色々。
読書にゲーム、映画鑑賞、後はちょっと遠出することくらいだろうか。採用面接で使えば一発アウトを貰いそうな趣味群といえるし、一つの事にのめり込めない中途半端野郎と言われてしまえば否定はできない。
髪を染めるでもなく、髭を伸ばすでもなく、タトゥーその他変わったことは一切していない。
だからこれといって特徴もない。
……自分で言ってて正直悲しくなる。
まぁ俺については別にいいだろう。
それよりもだ。
俺に残ってる最後の日の記憶と言えば、いつも通りシフトに従って出社し、それなりに業務をこなし退社。
帰りに近所のスーパーに寄って、値引きシールの商品を購入。
ここまではルーチン、代わり映えのないいつもの光景を繰り返していたはずだ。
……いやホント悲しいまでの日常風景だな!
えーっと、確かその日は、たまにはと思い立って珍しく酒を買って帰ったハズだ。
……まさか飲酒が原因だとでもいうのか……?
「いやぁしかし、あんな見事にすっころんで死ぬなぞあり得るんじゃのぉwww 笑いが止まらんわwww」
「……」
そして現在、目の前には人の死因で大爆笑する爺が一人。
見た目はそれはもう神様のテンプレっていえばコレ! である……神が人の死に方で笑うってのはどうかと思うが。
「いかん、思い出しただけでまた……www」
「……すいません、流石にそこまで笑われると泣きたくなるんで止めてもらっていいですか……」
マジで死んだのなら泣くも何もないが。
「ほっほwww すまんすまんwww こちとら娯楽が下界を覗くことしかないんでのぅ。いやー、久し振りに大笑いさせてもらったわい」
「はぁ……」
よくわからない空間で目覚めて、狼狽える間もなく目の前で大爆笑されたあげく、死んだと告げられる身にもなってほしい。絶対御免被りたい。
……いやまぁ、当事者なんだけどね!?
「……俺、死んだってことでいいんですよね?」
死んだわりには元気なんですけども。
「うむ。死んだ。死因はさっきも言った通りじゃ」
うん。だとしたら本当に死因が間抜けすぎる。
ここが死後の世界だとして、なにか?現在俺の死体は真っ裸で風呂場に存在するわけか?
……恥ずかしすぎる!
しかし、うーん……正直なところ死んだといわれてもやっぱりパッとしない。現状、俺はこの真っ白空間にいるわけだし。
なんとなく死んだという実感がないのだ。
「ふふふ……どうやら混乱しておるようじゃな? まぁなんじゃ、死んだことを自覚して暴れんようにワシがちょちょっとオヌシの精神状態を弄って和らげておる。いやに冷静じゃろ? 今」
精神状態和らげるとか、ちょちょっと何をした!?
「……えぇまぁはい。妙に冷静ではありますよ。それで、ええっと、改めて訊きますけど死んだ俺の前にいるってことは、あなたは神様でいいんですよね……?」
「いかにも、わしが神じゃ」
凄かろう、とふんぞり返る目の前の爺はやっぱり神様らしい。
人の死で笑う神とか実在してほしくなかった……
しかしまぁ、死の直前の記憶がふわっとしてるのもこの自称神の仕業なのだとすれば、なるほど確かに俺は死んだのだろう。
「……で、死んだ俺に神様がわざわざ何の御用でしょうか?」
何はともあれ問題はそこだ。
俺は正直、死んで神様に会うようなすごい人間でも、極悪人でもない。徹頭徹尾、凡人だ。
「ふむ、そうじゃな。大した用事でもないんじゃが、さっき言ったように娯楽と呼べるものがここにはないんじゃ。なので、ちょっと暇つぶしになーんの面白みもない人生を終えたお主をちょちょーっと異世界にでも送って、そこから始まる冒険なり恋愛なりを覗いてやろうかと思っての。ほっほ」
「割と理由が俗物的だし、まさかの覗き宣言!? それは神様としてどうなんですかね?!」
ていうか、そんな理由で人を異世界に送ろうとするんじゃない!
「まぁそういうでない。いまほれ、下界で流行りじゃろ? 死んでから異世界に行く話。リアルにそれが送れるとあればお主にとっても悪い話ではあるまい? Win-Winというやつじゃ」
「うっ……いやまぁそれは……」
うぅむ……そう言われると確かに。
現状、どうあがいてももう死んでるわけだし、俺個人としてはそういう話が嫌いなわけでもない。
異世界……危険なところかもしれないが、もう一度人生をやり直せるのだ。
確かに悪い話ではなかった。
「……どうせもう死んでますし、そう悪い話ではないのはわかりました。俺としてももう一度人生を送れるならこの話、受けます」
このまま断ったところで、無難に生まれ変わるとかそんなとこだろう。
だったらどうなるかはわからなくても勢いで決めてしまうのも悪くないかもしれない。
そうしないままにただただ生きてきたのが、今までの俺なのだから。
しかし俺はこの後、安易なこの考えを早速を後悔することになる……
お、なんだ面白そうだな!と思った方、そんなでもなかった方。
とりあえず評価だけでもしていっていただけると作者が泣いて喜びます。




