第31録 銀の跳ね馬亭
前回のあらすじ
・盗賊とおさらば
・宿屋へGO!
今回はマリアさんの知り合いが登場
盗賊の引き渡しを終えてアーダジオに入った俺達は、マリアさんの先導で大通りの馬車道を進む。
アーダジオは旧辺境の街であり、その歴史は結構な長さと言うことだ。アレグレッテが出来るまではここが冒険者達の最前線であり、遺跡等の発掘も盛んに行われていたらしい。
先程通った城壁も、幾度となく魔物の襲来を跳ね返した古強者だ。
現在は辺境の街アレグレッテとその他の地域を繋ぐ流通の交差点となっており、人と物の集積地のような街へと発展している。
その為、多くの商人が訪れお金が動くようになった。
当然そうなると俺達が道中で出くわしたように、盗賊が頻繁に現れたり、後ろ暗い物を取り扱う闇商人等も集まってくる。
そういうこともあって、このアーダジオの衛兵と冒険者ギルドは相互協力関係を結んでおり、レムリア王国の中でも屈指の治安維持力を持っているそうだ。
衛兵さんが非常に礼儀正しかったのもこの為だったりする。
……ここまでは宿に着くまでにマリアさんに教えて貰った受け売りだけどね。
「……そう言うわけで~、大通りなんかはとっても治安がいいのよ~」
「成る程……ありがとうございますマリアさん」
「私もそこまで詳しい訳ではなかったので助かりました」
「いいのよ~、ちょっとでもお役に立てて嬉しいわ~」
マリアさんは頼りになるなぁ……あのゴーレムも凄かったし、俺ももうちょっと頼れるような人間にならないとな!
「……さぁ~、着いたわ~。ここがオススメの宿で~、【銀の跳ね馬亭】っていうの~」
アーダジオについてマリアさんに教えて貰っている間に、件の宿に着いたらしい。
宿の看板には躍動感のある馬が描かれており、馬体が銀色に輝いている。
建物はレンガ造りの三階建てで、俺からすればレトロモダンな感じがするな。
「お洒落ですね! こう言う所に泊まるのは初めてなのでちょっとドキドキしちゃいます」
「うん、俺もかなりお洒落だと思う……マリアさんここの宿代ホントにギルド持ちで大丈夫なんですか?」
今回俺達はギルド直々の依頼としてマリアさんの護衛をしているわけで、その間の宿泊費等はギルド持ちになっている。
「大丈夫よ~、何処かのギルド長がやらかした宴会よりは安く済むもの~。それにこのお店は私の知り合いがやってるから~」
「そうですか……ならあまり気にしないでおきます」
あのハゲは自業自得なのでこれ以上俺がとやかく言うことはない。折角なので甘えておこう。
「私は馬車を見てるから~店員さんを呼んできてくれる~?」
「わかりました。マールはどうする?」
「私も馬車を見てます。マキジくんお願いできますか?」
「了解。じゃあ呼んでくるよ」
二人に馬車を任せて、【銀の跳ね馬亭】の扉を開ける。
すると、建物の外観にピッタリと合った内装が俺を出迎えてくれた。そして……
「いらっしゃいませー! ようこそ【銀の跳ね馬亭】へ! お泊まりですか? お食事ですか?」
元気良く挨拶してくれたのは見た目13~16位の銀色の髪をした少女だった。
「あ、宿泊です。それで連れを二人、店の前に待たせてまして……馬車があるんですが、そこに」
「畏まりました! ではうちの厩舎担当を呼んできますので少々お待ち下さい!」
「あ、はい。お願いします」
そう言うと少女はササッとカウンターから裏へと姿を消した。
ずっとここで働いているのだろうか、随分と身のこなしが良いな……
そうして言われた通り少し待っていると、入り口からマリアさんとマールが先程の少女と共にやって来た。
「それにしても久しぶりねマリア! 前に来たのは何時だっけ?」
「そうね~、かれこれ2年は経つかしら~元気そうでよかったわ~」
……なんか少女がマリアさんとタメで話してるんだが……マールもちょっとオロオロしてるぞ……
「あ、マキジさん~、こちらが昔私と一緒に冒険者をしていて、今は【銀の跳ね馬亭】を経営しているアンジェよ~」
……今なんと? 昔? 一緒に?
「あー、今化けてるからそうなるか。じゃあちょっと失礼して……解!」
そう言って指パッチンするアンジェ、さん。
すると足元から勢い良く煙が吹き出して視界が遮られる!
そして、煙が晴れると……
「よし! これなら違和感ないでしょ? とにかく、ようこそ【銀の跳ね馬亭】へ! 歓迎するわ!」
そこには、先程までいた少女は居らず。
代わりに馬の耳と尻尾の生えた、銀髪の溌剌とした大人の女性が立っていた。
※※※※※※※※※※
「へぇー、マリアが首都に行くなんて何事かと思ったけど、あのピッカリアタマへの報復措置なら頷けるね!」
アンジェさんが元の姿に戻ったのを見て、唖然とする俺とマールにマリアさんが説明してくれたところによると、アンジェさんは【身体変化】と呼ばれるユニークスキルを持っていて、自分の外見年齢を変えることが出来るらしい。
……因みにユニークスキルをバラされたアンジェさんはお返しにマリアさんのスキルもバラそうとしたが、マリアさんから凄いオーラが発せられて言うのを止めている。
……何となく当時の力関係が伺い知れるな……
「そうなのよ~、事後申請の宴会予算とかどうしろって話よ~。だから~、丁度首都への定期報告の時期だったのを利用して~長期の休暇にしてやろうかな~なんて~」
「まぁ、アレもやろうと思えばちゃんとできるんだし、たまにはいいんじゃない?」
「えぇ~、だから将来有望なこの二人にくっついて、一緒に首都に行くの~」
アンジェさんの秘密を知った後、俺とマールも一緒に今はアンジェさんの私室で飲み物を頂いている。
……殆ど二人で仲良く話してるから入って行きにくいんだよな……
「成る程ねー……その件のお二人はさっきからだんまりだけど、もしかしてそれ美味しくない?」
そう思っていたらアンジェさんの方から話題を振ってくれた。
「いえ、これは美味しいですよ。ただ久し振りに会ったみたいですし、お邪魔したら悪いかなと」
「わ、私もこれは美味しいと思います!」
……久し振りにテンパるマールを見たな。
ジュースの方はとても美味しい。味わいはリンゴのそれだな。
「そっか! ならよかった。そのリンプルジュース、うちのお勧めだから不味いって言われたらどうしようかと思ったよー。それで、折角だからマリアのお気に入り二人の話も聞きたいんだけど、いいかな?」
「えぇ、俺でよければ」「私も構いませんよ」
リンプル……やっぱりリンゴなのかな? 名前はよく似てるけど。
まぁその辺はあとで聞けばいいだろう。
取り敢えず折角話を振ってくれたんだし、色々と話してみるのもいいかな。
「もう~、アンジェったら~この後三人で街に出かける予定だったのに~」
そう言うとちょっと頬を膨らませるマリアさん……年齢は知らないけど、幾つだろうがその仕草は反則だと思います!
「あはは! ごめんごめん! でも最近宿にかかりきりでさ! たまにはゆっくり人の話を聞きたいんだよー。夕食サービスするからさ! ね? お願いマリア!」
「……はぁ~、しょうがないですね~、しっかりサービスしてくださいよ~?」
ため息をつきながらも納得したマリアさん。
……意外とマリアさんも食べ物に弱いんだろうか?
「よーし! じゃあマリアの許可も貰ったし、色々聞かせてよね! まずはねー……」
そしてそこから、アンジェさんによる質問ラッシュが飛び交い、結局、夕食もアンジェさんの部屋で取ることとなるのだった……
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