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ダーツで始まる異世界転移冒険録〜【阻害】スキルが存外チートだった件~  作者: 奈良よしひろ
1章~現実はダーツのように運任せとはいかない~
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第26録 マールさんとデート②

前回のあらすじ

・デートへお誘い

・おばちゃんのアクセサリー


今回はデートの終わりと共に一章が終わりになります。

 

 おばちゃんの店から撤退した俺達は、大通りを進んだ先にある広場にやって来た。

 中奥に噴水のある、良くあるタイプの広場だ。周囲には屋台も出ており、活気がある。

 結構ベンチで昼食を摂っている人がいるな。


「……そろそろお昼の時間かな。いい天気だし、ここで何か買って食べますか?」

「いいですね! たまには外で食べるのも気持ち良さそうです!」


 よし、マールさんの了解も得たことだし、ここで昼食としよう。


「屋台が色々あるなぁ。何にしようか」

「あ、それなら私おすすめがありますよ!」


 お、流石食いしん坊マールさん。

 ここらの屋台も実食済みか。


「それなら、マールさんのオススメにしようかな。前のシチューも美味しかったしね」

「はい! とっても美味しいですから期待して下さいね!」


 そうだな、割とさっきからいい匂いもしてるし、当たりのお店は間近いなくあるだろう。

 ……そう考えるとお腹減ってきたな!


「じゃあ案内お願いするよ。何だがお腹減ってきたからさ」

「む! それは大変ですね! こっちです!」


 そう言うとマールさんは俺の手を引いて、広場の片隅にある屋台へと連れてきた。

 お客さんの数はそれなりだな。屋台からは湯気が上がっているが……さて。


「この屋台の名物はお饅頭です! フカフカの生地の中に、沢山の具材が詰まっていてとっても美味しいんです!」

「へぇ、何て言う名前なの?」

「そのまま肉饅頭ですよ。ここの屋台の店主さんが開発したそうですよ?」

「一から作ったんだ、凄いな」


 今聞いた感じだと肉まんみたいなものだろうか。

 全く同じってことは無いだろうが、楽しみだ。

 俺達も屋台に並んでいる列の最後尾に並ぶ。

 ……近づくと分かるが、中の肉種は予め炒めているようだ。肉の油が焼けるいい匂いと、それに合わせて香辛料の香りも堪らない。

 これは凄く楽しみだ。


「いい香りだ……2つ位食べられるかな?」

「ひとつは結構な大きさです……私は2つ食べちゃいますけどね」


 えへへ、と恥ずかしそうに笑うマールさん。

 彼女が2つ食べられるなら、俺も大丈夫だろう。

 ……そうこうしているうちに、俺達の番になった。


「らっしゃい! うちは見ての通りこの肉饅頭しか売ってねぇが大丈夫か?」

「はい。肉饅頭4つ、お願いします」

「毎度! 4つな! ちょっとまってくれよ!」


 そう言うと屋台のおやっさんは蒸し器……まぁ見た目せいろだな、それから白い生地を取り出すとナイフで切り込みを入れる。

 そして鉄板で作っていた粗挽きの肉と野菜の炒め物を詰める。

 ……肉まんかと思っていたが、結構違うのが出てきたな。

 でもこれはこれで美味しそうだ。


「はいよ!肉饅頭4つな!合わせて銀貨1枚と大銅貨2枚だ」

「はい、丁度です」

「……おう!確かに!また来てくれよな!」


 ひとつ300円か……安いな。

 俺とマールさんはそれぞれ肉饅頭を2つづつ持つと、噴水近くのベンチへと腰掛けた。


「それじゃ、頂きます」

「はい! 頂きましょう!」


 じゃ、早速一口…………っ!

 一口噛むと柔らかい生地のフワッとした食感、その後に濃く味つけられた肉と野菜の旨味たっぷりの肉種が口一杯に拡がる……!

 肉はあんまりしつこくなく、豚と鳥の中間位の肉質だ。


「……旨い! これ凄く旨いよ!」

「ふぉうでふよね! ふぉんとにおいひいれふ!」


 ……もぐもぐしながら喋ってる。


「……んっと、すいません、ついつい食べながら……はしたないですね」

「いや、美味しそうに食べてるのを見てるのもいいもんだよ」

「そ、そうですかね?」

「うん、少なくとも俺はそうだよ」


 嬉しそうに頬張るマールさんは見てていいのはホントだ。

 なんというかこう、小動物的な可愛さがあるというかなんというか。

 その後は二人でとりとめのない話をして、饅頭を食べ終えるまで広場のベンチでゆっくりと過ごした。


 ※※※※※※※※※※


 昼食を終えた後、大通りに戻って露天を覗いたり、少し飲み物を買って飲んだりして過ごした俺達は、最後にこのアレグレッテの街の観光スポットになっている小さな庭園にやって来た。

 国からこのアレグレッテを任せられている領主が趣味で手入れしているらしい。


「へぇ……綺麗な所だな。いろんな花がある……」


 様々な色の花が咲き誇っているが、決して乱雑にならないよう、綺麗に纏められている。


「はい、私もここはお気に入りで。マキジさんにも見てもらいたかったんです」


 そう言ってこちらを振り返ったマールさんはこの数日間で一番いい顔をしていた。


「あの、マキジさん」

「どうしたの?」

「……いえ、何でもないです」


 とてもではないが何もない、という雰囲気ではない。

 さっきまでの良い表情も曇ってしまっている。


「あのね、マールさん」

「はい、なんですか?」

「言いたいことがあるなら、言って欲しい。俺は昔、それで失敗したことがあるから。話さないと伝わらないこととか、話すことで解決出来ることって意外と沢山あるんだよ」

「昔……と言うことはマキジさん記憶が!?」


 あ、そう言えば俺、記憶喪失だったな。


「……うんまぁ、少しだけね。だからちょっと、そういう記憶もあって、マールさんには失敗してほしくないからさ」

「……それは……」


 ……ズルいとは、思う。ロイドさんにはああいったけど、これじゃ誘導してるようなもんだし。

 でも本当にマールさんが一緒に来たいって思ってくれているのなら、一緒に行きたい。だから言って欲しい。


「あの……マキジさん!」

「はい」


 意を決したマールさんが俺を真っ直ぐに見てくる。


「私を、マキジさんの旅に連れていって貰えませんか!?」

「うん、いいよ」

「無理なお願いだって言うのは分かっ……え?」


 多分、断られるんじゃないかと思ってたんだろう。

 俺が即答したせいで良く状況が呑み込めてないみたいだ。


「いいよ、マールさん。俺もマールさんが来てくれるなら心強いよ」

「……本当に、いいんですか?」

「うん、いいよ」

「……ほんとのほんとに?」

「ここで嘘言ってどうするのさ」

「……うぅ……よかったよぅ……」


 ……相当頑張って伝えてくれたんだろう。安心したのか泣いてしまうマールさん……ありがとう。


 俺は泣いているマールさんを宥め、セーフハウスに戻るとロイドさん達にことの次第を話す。するとマールさんが俺に付いてくることは即座に許可された。

 ……ロイドさんが話していてくれたんだろう……何処までもできた人だ……


 こうして、俺の首都迄の旅にマールさんが着いてくることになった。

 ……これからどうなるかはわからないが、俺がこの世界で生きていく第一歩だ。

 首都に着くまでにも色々あるだろう。

 もしかしたら命の危機に晒されることもあるかもしれない。

 それでも俺は自分に出来ることを全力でやるしかない。

 ゴブリン討伐任務がそうだったように。


 ……現実は、ダーツのように運任せとはいかないのだから。


 ~第一章 結~

続きが気になるぞい!な貴方も、なんじゃつまらんのぅ、な貴方も下の☆から評価して頂けますと作者が泣いて喜びます。

気に入って頂けたらブックマークも宜しくお願いします~!

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