第105録 拠点、決定!
前回のあらすじ
・最後は南区
・経営破綻した寮はお買い得?
今回は遂にマキジ達の拠点決定!
「ナタリアさん、お待たせしました」
「いえ、こちらこそわざわざ職員をお見送りいただきありがとうございます。それでは皆様、中へどうぞ」
ギィ、と木製の扉が軋む音と共に、玄関の扉が開かれる。
開け放たれた扉を潜ると、正面に階段のあるエントランスホールが俺達を出迎えてくれた。
「おぉ……中々広いですね。エントランス兼居間ってのも頷ける」
「成る程、中央の階段を登って二階、あとは左右に廊下を伸ばして等間隔に部屋を配置。寮としては使われていたのも頷ける構造でござるな。二階からの高さはそこそこあるでござろうか……」
「ララーナさん、妙に構造を気にしてますけど、どうしたんですか?」
「おっと、すまぬでござる。職業柄、建物の内装とかを見ると死角とかを探したくなってしまってでござるな。つい構造を確認してしまうのでござるよ」
「あら~、でも防犯の観点から見てそういう意見は貴重よ~? 気になったらどんどん言うといいと思うわ~」
流石は忍者。着眼点は忍びやすさか。
実際死角なんかは、言われるまで気付かないような場所にあったりするから、ララーナの意見は良く聞いておくようにしよう。
「ご覧頂いてる通り、こちらがエントランス兼居間となります。とはいえ、それは寮の頃の話ですし、折角談話室があるのですから住むときはそちらを居間になさるといいでしょう。談話室はこちらです」
ナタリアさんはそういうと、入って左側にある大きめの扉を開ける。
中に入ると足元からはふかふかとしたカーペットの感触が返ってきた。
「これはまたオーソドックスな談話室ですね……」
「そうですね。個人的には暖炉があるのは評価高いです。冬も暖かくして過ごせそうです」
【学生寮だったのか、備え付けの本棚もある。これなら書斎代わりに使えそう】
部屋はおよそ18畳はあろうかという広さで、部屋に合わせた大きめの暖炉と、壁にはいくつもの本棚がある。
……ソファーなんかもあるのだが、これは……?
「ナタリアさん、このソファーも費用に入っているんですか?」
「もちろんです。既に設置済みの家具についてはお好きにしていただいて構いません。そのまま使っていただいても、捨てていただいても結構です」
流石にベッドとかは気になるけど、ソファーや椅子は中古でもいいかもしれない。家具を新調するにしてもお金がかかるしな。
「わかりました。ありがとうございます。それじゃあ次は食堂と調理場を見たいんですが……」
「かしこまりました、皆様こちらです」
ナタリアさんの先導で談話室から出て、物件の中を見て回る俺達。
食堂は十分な広さで、四人用のテーブルと椅子が幾つかあり、繋がっている調理場も中々に広々としたもので、マールが大層ご機嫌だったのは言うまでもないだろう。
浴室のほうも複数人で入られるように設計されているのか、洗い場が四つもあり、湯船のほうも四人くらいが足を伸ばしてゆったりと入られるだけの大きさがあった。
こちらはあると嬉しいと言っていたマリアさんがニコニコ顔で頷いていた。間違いなくご機嫌だったと思う。
……最後に「マキジくんも~一緒にはいる~? うふふふ~」等とからかってくる程度には、な。
こうして共通スペースを見ていった俺達は、現在それぞれの部屋になる個室へとやって来ている。
「こちらが個室になります。間取りは扉の位置が変わるくらいで、全て同じですね」
「これは……各自の部屋としては十分な広さですね」
「拙者、これだけの部屋を頂いても置くものがないでござるよ……」
各自のスペースとなる個室は、それぞれ六畳程の広さがある。
……下手な日本のワンルーム何かより全然広いな。
「ナタリアさん、案内ありがとうございました……さて皆、中をぐるっと見て回った訳だけど、どうかな? 俺はここでいいんじゃないかなと思っているけど」
立地、価格、間取り。どれをとっても一番良いように俺は思う。
「私も問題ないと思いますよ。これだけの拠点があれば、【レムリアリア】を中心に生活が出来ますし」
「拙者は元より異議無しでござる! 風雨が凌げれば良いような目にもあったことがござるゆえ……それに否定するとまた隷属紋が発熱してしまうでござるし」
「私としては~【アレグレッテ】を拠点に頑張って欲しかった部分はあるのだけど~……でもまぁこれもマキジくんの一歩よね~。お姉さんは問題なし~」
【私も全然問題ない。寧ろ良すぎるくらい。日の当たる部屋で読書が出来るのは幸せ」
どうやら皆問題無さそうだ……とは言えマリアさんには後でちょっと謝っておこうかな? 前にちらっと言ってた【アレグレッテ】の【勇者】の件はこれで無くなりそうだし。
……まぁそもそも【勇者】を助ける使徒になっちゃってるけどな!
「それじゃ、決まりだね。ナタリアさん、この物件購入させてください」
「賃貸ではなく購入、でよろしいですか? 」
「えぇ、この首都でどれだけやれるか分かりませんけど、いい機会ですから、このままここで頑張って行こうかと思います。これからも宜しくお願いしますよ、ナタリアさん」
「……そうですか。こちらこそ宜しくお願い致します。【特派】のマキジさんが首都に居てくださるとギルドとしても助かりますので」
そういうとナタリアさんはスッと右手を差し出してきた。
俺も手を伸ばし、お互いにその手を握る。
「……それでは購入の手続きを致しますので、申し訳ありませんが再度ギルドへと移動願います。馬車は用意しておりますので」
「わかりました。皆、もう一度ギルドに戻るみたいだ。行こう」
「はい!」「承知!」「はぁ~い」【わかった】
首都にある三つの物件を見て回った結果、こうして遂にパーティーの拠点を手に入れることになった俺達。
馬車に揺られてのんびりと、ギルドに行って契約を済ませるとしようか。
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