第104録 物件巡り③
前回のあらすじ
・西区は商業地区
・二件目は店舗兼住居
今回は最後の物件へ!
「さて、最後は南区ってことみたいだけど……正直南区って何があるんだ?」
「南区は主に民家が多いでござる。所謂市民街でござるよ。反対に北区は貴族街でござる。北と南で住み分けているのでござるな」
「朝になったら西区に仕事に行ったりするのよ~。南区にもお店はあるけど~、外から来た人向けの宿屋や、食料品と日用品を売ってるお店が殆どね~」
「成る程ね。じゃあ普通の家が最後の物件ってとこかな」
今のところ、東区の屋敷と西区の店舗兼住居となかなか凄いラインナップで来てるから、そろそろ普通の物件が来てもいい頃だ。
そう考えていると、馬車が止まる。
「皆様、最後の物件に到着しました」
「ありがとうございます……っと」
職員さんの言葉に従って外に出る。
最後の物件、その全容が俺達の前に広がった。
「これはまた……寮ですか?」
「はい。そう思っていただいて問題ありません。元々は東区の学院生向けの寮だったのですが、何分ここから東区は遠いものでして、徐々に入居者が居なくなり、つい最近売りに出されていたものをギルドの方で押さえていました」
「あぁ……確かにここからは結構距離がありますね」
【ここから行くことを考えたら、多少高くても東区で部屋を借りる。流石に立地が悪すぎる】
エレミアさんも同意見みたいだな。これを作った人は何故ここに寮を建てようと思ったんだろうか……
「元々が寮ですので、設備はしっかりしてますよ。入ってすぐにエントランス兼居間のスペースがあり、食堂、調理場、談話室、トイレ、浴室、それと部屋が二つ。二階は吹き抜けでエントランスから階段で上がる形になってまして、二階には部屋が六部屋あります」
「大きさとしては東区の屋敷より少し小さいくらいですか。部屋数が多いですけど、一部屋辺りの面積は狭そうだな」
「そうですね、寮の性質上部屋の大きさは小さくなります。その代わり談話室と食堂、浴室は複数人で使えるよう大きめですね」
ふむふむ……でもいままでの中で一番拠点らしい拠点だな。
あとは、お値段だ。
「では職員さん、値段の方を……」
「はい。こちらの物件を購入される場合は金貨1200枚、借りるのであれば月々金貨15枚になります」
「……随分と安いですね?」
正直2000枚越えは覚悟してたんだが……曰く付きじゃないだろうな。
「こちらが安いのは経営破綻して潰れたこの寮をギルドで改修したからですね。【特派】のマキジ様への特別価格だと思っていただけますと」
「あ、そういう感じですか」
要は会員様特別ご招待価格みたいなものだ。
正直必要な設備はきっちり揃ってるので、値段も合わせてここでいい気がしている。
「俺はかなりいいと思うけど、皆はどうかな?」
「私はいいと思いますよ。元々寮だったなら調理場も広くて使いやすそうですね」
「庭もそれなりにスペースがあるでござるな。これなら訓練にも支障が無さそうでござるし、悪くないのでは?」
「寮のお風呂ともなれば結構な広さがありそうね~。それに談話室は模様替えして別の使い方も出来そうだし~。私としてもいいと思うわ~」
【南区でギルドにも近い。馬車を使えば大図書館へ行くのも問題なし。何より談話室は書斎みたいに使っても良さそうだし、いいと思う】
お、全員好感触だな。
丁度ここが最後の物件だし、ここで決めてしまおうか。
「じゃあ全員問題無さそうだし、最後に中を見せてもらって購入か借りるか決めようか」
「はい!」「承知!」「はぁ~い」【わかった】
全員から元気な返事が帰ってきたので、職員さんに頼んで中を見せてもらおうか。
「それじゃ職員さん、中を見せてもらっても……」
「ではここからは私がご案内しますね」
俺が職員さんに中の案内を頼もうとした瞬間、何故か寮の門が開き、中から見覚えのある人物が現れた。
「ナタリアさん!? どうしてここに?」
「用事を済ませてギルドに戻ったところ、マキジさんが皆さんを連れて物件を見に出掛けたと聞きまして。出たタイミングから考えて、そろそろこちらの物件に来る頃だと思い、先回りしてお待ちしておりました。お久し振りでございますね」
「あ、お久し振りです。無事に帰ってきました……それにしてもメモといい今といい、凄いですねナタリアさん」
「いえ、大したことではございません。少し考えれば分かることですから。それより中をご覧になられるのですよね? こちらです」
そういうと門の中へ入っていくナタリアさん。
……取りあえずついていくか。
「それでは私はこれで。恐らくナタリアのことですから、別の馬車を中に用意していると思いますので、お帰りはそちらで」
「あ、はい。ここまでありがとうございます。また任務の報告とかをするときはお願いしますね」
「はい。ギルドカウンターで皆様のお帰りをお待ちしております。それでは!」
そういうと、ここまで俺達を案内してくれたギルド職員さんは、馬車を巧みに操って、通りの向こうへと消えていった。
「マキジくん! ナタリアさんが入り口で待ってますよー! 早く行きましょう!」
「ごめんごめん! すぐ行くよ!」
早足でマールに追い付くと、彼女の言うとおり入り口には既にドアノブを握って俺達を待つナタリアさんの姿がある。
「……多分、ここを買うか借りるかすると思うけど、中がどうなってるか楽しみだな」
「そうですね! どんな内装なんでしょうか……ちょっとワクワクしちゃいますね!」
そうだな。これから自分達が生活するかも知れない場所だ。
ナタリアさんに案内してもらって、しっかりと見ていくとしようか!
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