第103録 物件巡り②
前回のあらすじ
・東区の物件へ
・最初の物件は、大きなお屋敷!
最初の物件から馬車で揺られること40分程、皆とさっきの屋敷についてあーでもないこーでもないと話していると、御者台から声がかかる。
「そろそろ次の物件に到着します。皆様下車の準備を」
「あ、わかりました……それにしても結構時間かかったなぁ」
【東区から逆方向に走っていたから、さっきとはギルドを挟んで真逆の方。恐らく場所としては西区辺りだと思う】
「そうね~、ナタリアちゃんのことだから、ギルドを起点に物件を探したんだと思うわ~。出来るだけギルドに来やすいようにってね~」
「それでも馬車で片道10分以上かかるんですから、さすがに首都は大きいですね」
マールの言うとおりだな。この【レムリアリア】に来てから日が浅いとは言え、未だに行ったのは東区の大図書館くらいだ。
他にも色んな建物があるんだろうが、見て回るだけで一日使ってしまいそうな程、この【レムリアリア】は広い。
そんな中で、ギルドから馬車で片道10分程度の物件をしっかり押さえてくるあたり、仕事の出来るナタリアさんらしい。
「ところで西区には初めて来る訳だけど、どういった地区なんですかね?」
「西区は商業地区ね~。食料品に日用品はもちろんあるし~、武器に防具も揃うわね~。露店や酒場に娼館まで何でもあるわよ~」
「拙者も任務で来たときは西区に居たでござるよ。整然と整えられた南区に対してこっちはちょっと乱雑な印象を受けるでござるな」
成る程、西区は商業にあたるものは全部あるような感じなんだな。拠点がこの辺りにあると色々と便利そうだ。
「さぁ、着きましたよ」
「っと、ありがとうございます。すぐに降りますね」
西区について聞いているあいだに、目的の物件に着いたようだ。
皆と揃って馬車を降りる。
そうして俺達の前に現れたのは……
「……あの、これってお店じゃないですか?」
「はい。そうなります。こちらは住居と店舗が一体になっているタイプの物件ですね」
「いや、なんでお店が付いている物件を……?」
「ナタリアが言うには「マキジさんのスキルを考えると、店舗併設型の物件も悪くはないのではないでしょうか」とのことです」
「スキル……あぁそういうことですか」
【ストレージ】というスキルの特徴は、大量の荷物を一人で運べる上、劣化しないという点だ。
あとは【刻印術】で作ったものを売り出すとか、色々考えることは出来る。
確かに店を出すことも出来るだろうな。
「間取りはどうなっているのかしら~?」
「一階には店舗部分と工房、応接間と食堂、調理場、トイレがありますね。二階は部屋が全部で六部屋ありますね」
「あら~お風呂はないのね~」
「まぁでもここは西区でござるから、近くに公衆浴場があるでござる。無くても大きな問題にはならんでござろう」
【流石にお店併設の住居だと書斎はない……】
ふむ、お風呂と書斎がないのか。部屋数としては申し分ないけど、個人的にはお風呂は欲しいかなぁ。
「ところでこちらの物件の値段は?」
「こちらを購入される場合は金貨2000枚、借りるのであれば月々金貨25枚ですね。お店を開かれる場合は別途商業ギルドに登録が必要になりますので、その点は注意が必要ですよ」
ふむふむ、工房も付いた大きめの店舗つき住居としてはこんなものだろうか? 相場がわからん。
まぁでもこの辺りの値段であれば、購入しても金貨1000枚残るし、悪くない気はするな。
「……因みになんですけど、見た感じ家の庭部分がかなり広いですよね? 増築とか出来るんですか?」
「可能ですよ。因みにどういった増築ですか?」
「現状だとお風呂と書斎に出来るような部屋ですかね。どうですか?」
「恐らく大丈夫だと思います。先程のお屋敷と違って拡張性のある造りをしていますので。お風呂と書斎に出来る部屋の増築となると……そうですね、金貨150枚もあれば大丈夫かと」
大体1500万円ね。増築だとちょっと割高感が出ちゃうか。
「わかりました。ありがとうございます。皆は他に聞いておきたいことはあるかな?」
「うーん、私は特に。あ、でも調理場の大きさは気になります!」
「調理場は元々店舗従業員の食事も作ることを考えて建てられているので大きいですよ」
「そうなんですね! それならお料理も楽しくできそうです!」
そういえば太陽の剣のセーフハウスでマールは料理してたな。
食べるのだけじゃなくて作るのも好きなんだ。
「拙者は特にないでござるなー。庭が広いので鍛練も出来そうでござるし、個室があるだけで十分でござる」
「私もないかしらね~。お風呂を作ってくれるなら言うことはないかしら~」
【私も同じ。それに今はそんなに本がないから書斎じゃなくて自分の部屋でなんとかなる】
マリアさんとエレミアさんはいいとして、ララーナはもう少し自分の欲しいもの言っても良いんだけど……まぁいいか。
「職員さん、ありがとうございました。この物件に関してはこのくらいでいいです」
「承知しました。それでは最後の物件の方に向かいましょうか。最後の物件があるのは南区になります。それでは馬車にどうぞ」
最後の物件は南区にあるのか……南区は【レムリアリア】の正面門がある方だけど……一体どんな物件なんだろうか。
ちょっとわくわくしながら、俺達は再び馬車に揺られて移動するのだった。
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