第101録 不在でも完璧なナタリアさん
前回のあらすじ
・シャルロッテさんと一旦お別れ
・別れ際の誓い
今回はナタリアさんに色々と話そうとしたのだが……?
「「……」」
「うぅ……凄い見られてるなぁ……」
シャルロッテさんと別れた後、俺達はギルドの中へと入ったのだが……
「まぁ仕方ないわよ~。いきなりあんなこと目の前でされたら誰でも気になるもの~」
【とは言え二人とも動揺しすぎだと思う】
別れ際にシャルロッテさんが俺の手の甲にキスをしたのだが、マールとララーナがそれから一言も話すことなく、じぃーっと俺の事を見てくるのだ。
「あの……二人とも、何か言いたいなら言ってね……? そうじっと見られ続けるのも何て言うか凄い気になるから」
「いえ、別に特にはないです。ないんですけど……」
「こう、ちょっとモヤモヤすると言いましょうか、何とも言えない気持ちになっているだけでござる」
「えぇ……? まぁ、俺の事見て納得がいくならそれでいいけどさ」
もしかしなくても、ちょっと嫉妬してくれているんだろうか。
だとしたら嬉しいんだけど……流石にそれは自惚れすぎか。
「二人もその辺にしておきなさいな~。マキジくん、ギルドカウンターに報告よろしくね~」
【二人はその間に落ち着かせるから。行ってらっしゃい】
俺がそんなことを考えていると、マリアさんとエレミアさんが俺にギルドカウンターへ行くよう言う。
……そうだな。取りあえず二人のことはお願いして、俺はさっさと用件を済ませることにしよう。
「わかりました、じゃあ行ってきます。もしかしたら時間がかかるかもしれないので、四人で拠点の話でもしながら待っててください」
「そうするわ~……ほらほら二人とも、こっちへ来てお話ししましょ~」
マールとララーナを誘うマリアさんを横目に見ながら、俺はギルドカウンターへと歩く。
カウンターは前回より人が多い。飛竜の驚異が去ったことで人の動きも活発になっている証拠だろう。
俺が空いている窓口へと近付くと、受付嬢の方から声をかけてくる。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。本日はどういった御用件でしょうか?」
「ええっと、飛竜討伐任務に関して少々……ナタリアさんはいらっしゃいますか?」
このままこの受付嬢に説明をしてもいいのだが、事情を知っているナタリアさんの方が早いだろうと思い、取り次いでもらおうとする。
「ナタリアは現在席を外しておりまして、戻るのももう少し後になる予定です……あの、不躾で申し訳ないのですが、もしかしてマキジ様でしょうか?」
「えぇ、確かに俺がマキジ・ヨコシマです。これが身分証になります」
「確認いたします……はい、確かに。実はナタリアの方からマキジ様が帰られたら案内するように言われている物件がございまして……」
「え? 物件、ですか?」
いや、確かに飛竜の討伐報告が終わったら、今の俺達でも買うか借りられる物件を探して貰おうかと思ってたけど……何故既に調べてあるんだ?
「あと、こちらにナタリアからのメモがございますので、どうぞご覧ください」
「はぁ……では失礼して」
訳がわからないまま、受付嬢さんからメモを受け取り、読む。
【拝啓 マキジ様
これを読んでおられるということは、無事に任務を終えられ、帰られたと言うことでしょう。そして、任務の方も達成しておられると思います。
あなた方のパーティーであれば、恐らく飛竜を倒してしまったのではないでしょうか。
現在のマキジさんのパーティーの状況を鑑みるに、倒した飛竜の賞金に関しては、拠点の為に使用されるのではと思い、何人かのギルド職員へ、マキジさんが帰られたときに私のオススメ物件を案内してもらうように言付けてあります。
無理に買ったり借りられたりする必要はありませんが、【特派】のマキジさんに十分魅力的な物件を選ばせていただいておりますので、ご検討頂ければと思います。
それではまた、お会いしましょう。
ナタリア】
「……」
えっ、なにこれ、予言書?
「あの、マキジ様? 大丈夫ですか?」
「え、えぇ大丈夫です……あの、つかぬことをお聞きしますが、ナタリアさんはこのメモをいつ頃……?」
「マキジ様達のパーティーが出発されてからおよそ一週間経った頃だったでしょうか。カウンターに出る大体の受付嬢にはメモの話をしておられましたから、多分間違いないかと」
「そ、そうですか。ありがとうございます……」
一週間位後、ということは丁度俺達が野営地に着いた頃だ。
一瞬、早馬が王城に持ち帰った情報を元に書いたのかと思ったんだが……こうなってくるとますます予言じみてるな。
「あの、それで、物件の案内の方はいかがいたしましょうか?」
「あぁ、それは是非お願いします。ナタリアさんには丁度物件探しについて相談しようと考えていたので」
「そうでしたか。それでは少々用意をして参りますので、しばらくお待ち下さい」
「わかりました……あ、それとさっきいいかけた飛竜討伐任務に関してなんですが……」
「えぇっと……そちらに関しては既に成功で処理されていますね。昨日王家から連絡があったようで、それに合わせて処理されているようです」
「あ、そうなんですね……じゃあ物件案内をお願いします」
流石は王家、既にギルドまで連絡済みとは……【竜殺し】の受勲が怖くなるわ。
「はい、お任せください。それでは一度失礼しますね」
「はい。俺達はあそこのテーブル席にいてますので」
「承知しました」
最後に一礼すると、受付嬢さんはカウンターの奥へと消えていった。
まぁ何はともあれ討伐報告に関してはOK、物件に関しても根回し済みと来たもんだ。
……なんだかどんどんナタリアさんに貸しが出来ていくようで怖いなぁ。今度何処かへ行くことがあれば、何か差し入れでも買って来た方がいいかもしれないな。
俺は軽くため息をつくと、皆の待つテーブル席へと向かうのだった。
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