第99録 首都への帰還
前回のあらすじ
・シャルロッテさんの謝罪
・唐突な女神降臨!
「はぁ……長かった……」
「結局、解体に一週間、分配に三日かかりましたもんね。私も治療所で顔を覚えられちゃうくらいでしたから」
【私なんて持ってきた本をあらかた読んでしまったから、最後の三日間なんて暇で仕方なかった】
ゴトゴトと音だけは聞こえるが全く揺れない馬車に乗って、俺達は今、【レムリアリア】への帰路についていた。
マールのいった通り、飛竜の解体にはあれから五日を要しており、丸一週間という時間が俺達に与えられていた。
まぁやることと言えば、魔物討伐、解体の手伝い、治療所の手伝い位だったわけで、流石に同じことの繰り返しには飽き飽きし始めていたのだ。解体が終わったときいて漸く帰れると思ったのは記憶に新しい。
……まぁ結局そのあと分配で三日もかかるとは思いもよらなかったのだが。
俺達は直接討伐したこともあって、何事もなく肝と何本かの牙と爪、鱗、翼膜といった部分を貰ったのだが……
「今回の野営設備は王国軍が出しているんだぞ! その分鱗を多めに分配すべきだ!」
「飛竜を押さえ込んでいたのは実質俺達だったんだから、残りの牙は俺達がもらってもいいはずだ!」
……こんな調子でなかなか折り合いがつかなかったのだ。
そして漸く落ち着いたのが昨日。話し合いが始まって三日目の事だった。一番始めに決まってしまっていた俺達は当然この間することが無くなった……という訳でもなく。
出発前にもう一度、今度は全員でとグウェン王子から会食を願われたり、密偵の正体がこの大陸にある別の国のものだったとバルドレイさんから聞かされたりと、三日間お腹一杯になるほどお偉いさんの相手をさせられて、精神を磨り減らされた。
そして今日、漸く野営地を出発することが出来たのだ。長く感じるのも仕方がない。
「とは言え~これでも早く帰れるほうなのよね~。まだ皆、野営地の解体作業をしていたし~」
「でござるな。恐らくグウェン王子が手を回したんでござろう。城では先に着いた早馬から、既に情報が上がっているはずでござる。早く返してやれ、とバルドレイ殿に言ったとかその辺でござろうよ」
「グウェン王子、一応お忍びって言ってたけど、実際は飛竜の討伐状況を見に来てたんだろうな」
「放蕩王子等と呼ばれていますが、あの方も王族の一人ですから。国に害を成す魔物に関しては放っては置けなかったのでしょう」
当のグウェン王子は、俺達と二回目の会食が終わった次の日に野営地を出ている。
流石は近衛騎士達は凄いというか、撤収作業を見ていたが、見事に統率された動きで、素早く用意を済ませて野営地から撤収していった。
一日しか差は無かったが、恐らく追い付くようなことはないだろうな。
「まぁ、何はともあれこれでシャルロッテさんの依頼は無事に達成出来た訳だ。飛竜の肝も手に入ったしね」
【こんなに早く薬の材料が手に入るなんて思わなかった。これは街に戻ったらマキジの先生を頑張らないと】
エレミアさんには先生をお願いしてるけど、今のところ大図書館には一回しか行けてないからな。
【分析】で詳細は分かるとは言え、どういったものを調べればいいかは、やっぱり誰かに教えてもらった方がいい。
「後はギルドで飛竜討伐の報酬を貰わないとね~。シャルロッテさんの依頼で付いていったとはいえ、元々討伐依頼は冒険者に出ていたから、ちゃんと貰えるはずよ~」
「そう言えば額とかは見ていませんでしたけど、どれくらい貰えるものなんですか?」
「うふふ~、マールさん驚いちゃダメよ~? なんと~! 金貨3000枚~!」
「えぇ!? そんなに!?」
「初耳ですよ!?」
余りの金額に隣で聞いていた俺も反応してしまった……だって三億ですよ三億。
……まぁ、あんなの倒して三億はちょっと少ない気がしないでもないが。
「だって~誰も聞かなかったじゃない~。討伐参加の報奨金はそこまで高くないけど~、流石に討伐ともなれば高いわよ~」
「しかしそれでも金貨3000枚……全員で分けても一人500枚でござるか……大金でござるな……」
「待ってください。今回は私共【教会】の依頼でしたので、私の分は必要ありませんよ。皆さんで分けてください」
「俺達と一緒に【竜殺し】になった人が何言ってるんですか。ちゃんと分けますよ」
「で、ですが」
「わ、け、ま、す、よ、!」
「は、はい……」
全く……シャルロッテさんの真面目振りにも困ったものだ。
「マキジくん。これだけあればお家が買えちゃうんじゃないですか?」
「お家……あ、拠点か。今のところ宿暮らしだもんなぁ……確かに、買うとまでいかなくても、太陽の剣みたく借り上げでもいいからそろそろ落ち着く場所が欲しいかな」
【私ものんびり読書できる場所があると嬉しい】
「そうでござるなぁ。拙者も瞑想等ができる空間があると助かるでござる」
ふむ、じゃあ戻ったらまず拠点を探すとしようか。
……ナタリアさんに相談してみよう。多分なんとかしてくれると思う。
「それじゃあ、戻ったらギルドでお金を貰って、そのまま物件探しといこうか!」
「はい!」
「わかったわ~」
「承知でござる!」
【異議なし】
……よし、皆の同意も得られたことだし、戻ったら早速動くとしようか。
「……(羨ましいですね)」
「……? シャルロッテさん、どうしたんですか?」
「いえ、この数日間非常に楽しくて……この後別れるかと思うと、少々寂しさを覚えてしまいまして……すいません、ご迷惑ですよね」
「あ……こっちこそすいません。そうですよね、シャルロッテさんは【教会】の【勇者】ですもんね……」
そうだ、シャルロッテさんは別にうちのパーティーメンバーと言うわけではない。この依頼が終わったらお別れだ……
……もう半月も一緒に居たからこのまま一緒に冒険するような認識になってたな。
「何言ってるでござるか。拙者達は全員【竜殺し】のパーティーメンバー。いつでも遊びに来たらいいでござる」
「そうですよ! せっかく仲良くなれたんですから!」
「マール殿……ララーナ殿……」
……そうだな。マールやララーナの言うとおりだ。
「私たちのパーティーは~、ちょっと前衛が居なさすぎるからね~。何かあったとき助けてほしいわ~」
【それに、シャルロッテは騎士だから頼りになる。私は接近戦なんて出来ないから】
「……て事なんでシャルロッテさん。【レムリアリア】に戻っても、何時でも遊びに来てくださいよ」
「……はい!」
こうして、俺達の飛竜討伐任務は終わった。
【レムリアリア】に戻ったら城に呼び出されたりするだろうけど……今は全員で無事に帰れることを喜ぶとしよう。
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