第98録 シャルロッテさんの謝罪と急な女神
前回のあらすじ
・ララーナさんの意外な特技
・王子さまの想い人
今回は【竜殺し】の称号を得ることになった件をシャルロッテさんから謝罪されます
「この度は、本当に申し訳ありませんでした……!」
「あー、顔を上げてくださいシャルロッテさん。別に悪いことじゃないんですから」
俺に向かって深々と頭を下げて謝罪するシャルロッテさん。
まさかここまで謝られるとは思ってなかった……
テントに戻った俺とララーナは、そのままみんなの帰りを待ちながら、他愛のない話をして時間を過ごしていた。
そうしているうちにマール、エレミアさん、マリアさんと順番に皆が帰ってきたのだが……
最後の最後、シャルロッテさんがなかなかテントに入って来ない。
気になって外に出てみると、何やら神妙な顔をしたシャルロッテさんが立っており、【竜殺し】の件を謝罪されたのだ。
取りあえずテントの中には入ってもらったが、先程からずっと謝り倒しで話が前に進まない。
「先程も言いましたけど、別に悪いことでは無いんですよ。ただちょっと目立ちすぎるといいますか……」
「本当にすみません……私もあの時は良かれと思っての進言だったのですが、たまたま帰りにブライド殿にお会いして、事の次第をお聞きしまして……」
「まぁ、遅かれ早かれ神託の件で騒がれ始めたでしょうから。だからそんなに謝らないで下さい」
「しかし! それでは私の気持ちが治まりません!」
うぅ、真面目なだけあって一向に譲ってくれない……ここはなにか妥協案が必要なところだけど……
「ね~マキジくん~。シャルロッテさんは【教会】の【勇者】でしょう~? 今回の件で~【教会】も随分と名前が売れたと思うのよ~。ある意味マキジくんには貸しがあると言えるんじゃないかしら~?」
俺がシャルロッテさんをどう説得したものかと悩んでいると、横からマリアさんがそんなことを言い出した。
「! そうです! その通りですともアンナマリア殿! マキジ!」
「は、はい!?」
マリアさんの話を聞いたシャルロッテさんが、ズイッと前に出てきた……ち、近い……!
「今回の助力に対して、私が【教会】に掛け合い、マキジ達のサポートが出来るように取り計らいましょう!」
「いや、そう言うことをされると余計に……」
「それです!」
「「「「「!?」」」」」
何処からともなく声が聞こえたかと思うと、テントの中が目映い光で満たされる……!
「……何してるんですかルージェニア様」
「マキジ! 我が使徒! このお話を受けるのです!」
光が収まったあとには、当然のごとく女神様の姿があった。
ていうか呼んでもないのにポンポン出てきていいのか……?
「いや、受けるとまたややこしいことになるじゃないですか。唯でさえこのあと【竜殺し】の称号を有りがたくも受け取らないといけないんですよ?」
「だからこそですマキジ! 【教会】の助力を受けておけば、何かあったとき逃げ込めるんですよ? 【教会】はどこの町にも存在します。便利ですよ?」
「そうかも知れないですけど……」
「それに! 貴方が有名になるということは、私の使徒の知名度が上がるということ! それにともなって私にも力がですね……!」
「本音はそこかーーーー!」
急に出てきたと思ったら! ホントにこの女神は……!
「……はぁ、とにかく! シャルロッテさん!」
「は、はいっ!」
「【竜殺し】の件をこれ以上気にするのは禁止します。さっきも言ったように悪いことじゃあないんです。シャルロッテさんが気に病むことはありません」
「は、はい……」
俺のなけなしの気迫でシャルロッテさんの謝罪を封殺する。
あとは……
「ルージェニア様。取りあえず【教会】の件については見送りです。これ以上急に目立ちすぎると首が回らなくなります。あと急に出てくるのはやめましょう」
「え~……たまには呼んでくださいよ? 神託を下してからはあまりすることがなくて暇なのです……」
「一応今、魔王誕生するかしないかの瀬戸際でしたよね!?」
暇してないで何か考えてくださいよ!?
「そう言われましても、あんまり私が手を出しすぎると人間の成長に影響しますから。やっぱり苦難は出来るだけ自分達で解決して欲しいんですよ」
「神様らしい理論ですね……苦労する側はたまったもんじゃ無いんですからね……?」
「うぅ……そんな睨まなくても……分かりました。今回は諦めます……でも! 一応私の使徒なんですから、【教会】とは仲良くしてくださいね?」
「わかりました。【竜殺し】の件が落ち着いたらちゃんと考えます。なので今日のところはお帰りください」
「私、一応女神ですのに……扱いが酷いです……」
しくしくと泣き真似をしながら消えていくルージェニア様。
駄目だ、ジジ神の事も合わせて、神を敬うということが出来なくなりそう。
「……ルージェニア様……」
あ、いけない。普通に信徒が居たわここに。
「流石は唯一の神……我々の成長を考えてくださっているのですね……」
「……いいんだ、あれで……」
信仰の力って凄いな……
「……ということでシャルロッテさん。【教会】の件はまた今度お願いするかもしれませんから、今回の件の埋め合わせはそれでお願いします」
「……少々納得はいきませんが、わかりました。その時は遠慮なくお声かけ下さい」
ふぅ……漸くこれで落ち着いたかな。
そろそろいい時間だし夕食の用意を……
「マール殿、拙者とてたまたま一緒に居たからご相伴に預かれただけでござるから、だからいい加減機嫌をなおしてほしいでござる!」
「別に機嫌悪くなんてありませんよ? ただちょーっと、ほんのちょーっと美味しいご飯を食べたララーナさんが羨ましいだけです。えぇ、それだけですとも!」
「ではなんでさっきから夕食に使う予定だった野菜を仕舞うのでござるか! 後生でござる! 今日の夕食のサラダ楽しみにしていたんでござるよぉぉぉ!」
……そう言えば、帰ってきてからララーナがマールにお昼の事を案の定話してしまっていたな。
だからあれほど話しちゃ駄目だって言ったのに……
【マキジ、そろそろ夕食にしよう。流石にお腹すいた】
「……そうだね。取りあえずあの二人は置いておいて用意するか」
不毛なやり取りをするマールとララーナを横目に、俺は【ストレージ】から夕食を取り出すことにする。
あの様子だと当分かかるだろう。用意するのは……昼間食べ損ねたシチューにでもしておくことにしよう……
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